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お前のつくったくだらんアートに閉じ込められはしない

父(88歳)どんどん認知症が進む。

気がつけばレビー小体型認知症・パーキンソン症候群・水頭症といろんな病名がつく人になってしまった。心臓も腎臓も肝臓もなんの異常もないのにね。

お正月
去年の正月は弟一家が来て
その年新卒就職をする孫長男へのお祝いを
必死で用意していた父

今年はお正月だか夏なんだか
お年玉だかなんのお祝いだか
もう時間のない世界にただ浮かんでいる

この冬になってから
夜になるとがらりと人格が変わる。
夜間せん妄というもの
昼間は穏やかで甘えん坊で不安化な
老いてますます
3男末っ子丸出しな性格が豹変し

幻覚と本気で戦ったり
不安に怒りを燃やしたり

昨日の夜は1時間毎に大きな声を出す
ハンガーで扉を叩く
低気圧の寒い夜のせいか
寝る前にうっかり要求に負けて飲ませてしまったビールのせいか

いつもなら
夜中に家の中をうろうろするのを
とにかく寝かしつけて
父の居室をあとにするのだが
ここまで声を荒げたり音を出したりすることは初めてで

3回目の深夜2時に観念し
ベッドサイドにずっとつきそうことにした。

寝ながら怒っている
お前の思う通りになんかならんぞ
これはお前の作品なんか
くだらんアートなんから作りおって
お前の作ったくだらんアートには閉じ込められられんぞ
延々怒っている

ニワカのバリデーションテクニックを使って
一緒に怒る
ただ単調にオウム返しをすると
演技すな!と言ってさらに怒られるので
ちょっとアホに大げさに怒ってみる

そしたらだんだん怖がりだしたので
こんどは一緒に怖がってみる
とにかく感情の発露にずっとつきあってみる

30分ほどずっとつきあっていたら
気がつけば私も父も熟睡して
朝の6時半であった

(結構寝れたな)と思いふと起きあがろうとすると
父も同じタイミングで目覚めたようで
あれだけ騒いでいた人とは思えないくらい

起きていいんかな
着替えたいけどどうしたらいいんかな
なんかわからんから教えて

穏やかにのんびりと尋ねてくる
人間の脳ってどないなっとんねん、と
着替えを手伝いながら
ぼーっとした頭で考えてみる

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