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万人に才覚をもたらすオレ様の欠陥

あなたの欠陥は何だろう?

いや私には欠陥などない。
ひょっとしたらあなたはそう言うかもしれない。あるいはあなたは、欠陥だらけだと応じるかもしれない。

それは欠陥の定義次第だなんて言い出しているかもしれない。

今回はそこはある意味どーでもいい。

しかし、Google先生には日夜洗いざらい聞けることも、他人には、それが親しい間柄であればあるほど、とても積極的に直接尋ねられないことをあなたはたくさん持っているのではないかと思うわけ。

今回まずそれを欠陥の一部とタグ付けしておきたい。

念の為に先にことわっておくが、欠陥のない人間はやはりこの世には独りも存在しないと僕は信じている。

そして、僕からすると、その欠陥こそが才覚になる。
あなたはまさか!とツッコミを入れている事だろう。

しかし、ここでおかしな質問をあなたに投げかけてみよう。

はて、意図的に欠陥を創った覚えはあるだろうか?

いーーーや、欠陥をわざわざ意図的に創りに行く奴はいない。

ってことは、努力じゃない方向にどうやら僕たち人間の欠陥があるようだ。

創りにいった覚えがないのに自然に出来上がっているもの。ある意味それはとても戦慄的だし、畏敬の念さえ覚えるのではないだろうか?

欠陥づくりの天才じゃね?
この意味はまだピンと来なくて大丈夫だ。
段々分かるようになっているから。

気づいたら生み出していた僕たちそれぞれの、唯一無二の欠陥。もっといえば、創る気などさらさらなかったのに発明してしまった神聖な手による匠技。
偶然の産物と呼ぶにはちとチープだ。

とはいえまずは一旦、その代表例から見ていこう。

1968年に3M社中央研究所のスペンサー・シルバーは接着力の強い接着剤の開発に取り組んでいた。試行錯誤を重ねたスペンサーだが、出来上がったのは強力接着剤には程遠い失敗作。通常失敗作はすぐに捨てられ忘れられてしまうものだが、スペンサーは何故かそうしなかった。「よくひっつくけれど、簡単に剥がれてしまう」。そんな不思議な〝失敗作〟に目をつけたスペンサーは、研究所の仲間たちにもサンプルを配り、アイディアを求めてみることにした。けれど、なかなか上手く事は運ばず、みんなはそんな〝出来損ない〟の存在を忘れかけていたときのこと。
奇跡は突然起こった。
それは同僚のアート・フライが日曜日の教会で、賛美歌集に挟んでいたしおりが落ちた時のこと。彼はその瞬間、「ひっつくけれど簡単に剥がれるしおりが欲しいな・・・あの接着剤があるじゃないか!」とひらめいたのだ。

このエピソードは、偶然から大発明を生む「セレンディピティ(偶察力)」の典型例として知られる。1977年には試作品が完成、テスト販売では当初苦戦するが、大企業の秘書課に配られた試供品が好評を博し、1980年の全米発売につながる。それ以降、ポスト・イットは世界中に広まり、現在では100ヶ国以上で販売されている。僕もすごい会議コーチとして日々お世話になっている。

もうひとつ、あのロッテがお菓子を酸化から防ぐ脱酸素剤の開発中。用意されたのは鉄。酸化させて酸素を消費する脱酸素剤の効率を上げるために作った試作品が、予想に反して熱をもってしまいあえなく失敗。
鉄はサビるときに酸化熱を発することに気づく。そしてついに、お菓子メーカーが生んだ暖房用品「使い捨てカイロ」が誕生する。

実は、ワインのおつまみには欠かせないチーズもまた、失敗から生まれた発明品のひとつだ。昔々、あるアラビアの商人はどこまでも続く砂漠をラクダと共に旅をしていた。とはいっても灼熱の砂漠では喉が乾く。そこで彼は羊の胃袋で作った水筒にミルクを入れて、喉の乾きを潤すために旅のお供としてラクダにくくりつけて常備していた。旅の最中にはとても貴重なミルク。休んでは歩きを繰り返し、少し時間をおいてまたミルクを飲もうとしたときのこと、彼はある異変に気付く。なんとそのミルクは「白い固形物」に変化していたのだ。
興味本位で一口かじってみると、なんともいえない旨みが口の中に広がり彼は大感激。
これは羊の胃袋にある酵素が作用し、砂漠を歩く振動によってミルクが固まりチーズになったと言われ、何千年経った現在でもこの原理はチーズ作りに活かされているわけ。

こんなのもある。1896年フランス、ベクレル博士は写真乾板の上に銅製の十字架を置き、ウラン化合物を載せて置いておいたところ、現像した乾板に十字架の形がくっきりと写っていることを発見。
そこから、ウラン自体が目に見えない放射線を放出していることに気づいた。

もう少し遡ってみよう。
1827年、イギリスの薬剤師が硫化アンチモンと塩素酸カリウムを含んだ化学物質の入った鍋を混ぜたとき、混合物が発火剤になることを偶然発見。擦ってみると、たちまちどこかのTwitter並に炎上。世界初のマッチが生まれた。最近使う機会がめっぽうないけどね。

最後、20世紀初頭、フランスの化学者がフラスコを誤って床に落としてしまった。だが、そのフラスコにはセルロースの溶液が入っていたため、それが蒸発して薄い透明の膜ができており、フラスコは割れず。これが、安全ガラスの発明のきっかけになった。挙げていくと意外にもキリがない。

あなたはこれをなんて呼ぶよ?
失敗から生まれた成功?

僕からすると、欠陥ってこの偶発的に意図せず生まれた何かだから。人間の意志を超えた神聖なものだから。

んで、その対照にある象徴的なもんが既製品とか規格品だろ。

良くも悪くも替えがきくんだよ、規格品は。そして、規格品に歪(いびつ)さは許されないんだ。

それが許され与えられているのは人間だけだ。

人間にもし歪さがなきゃそれは何だ?
僕もあなたも猫も杓子も完璧だとしたらどこを目指す?
それはもはや人間ではない。

だから今日からは、欠陥は与えられたギフトととらえたい。即ち才覚ととらえてみたい。

才覚とは、辞書によると

1.すばやく頭を働かせて物事に対応する能力。知恵の働き。機転。「才覚のある人」
2.工夫 (くふう) すること。また、すばやく頭を働かせて物事を処理すること。

とある。

欠陥は〝イマイチ着きの悪い〟接着剤であり、予期せずに〝固まっちまった〟ミルクであり、不注意に〝落としてしまった〟あのフラスコのようなものだ。
ほら、そーするととたんにこの世から、才覚のない人間は一人もいなくなったろ?

あなたにも僕にも誰にも才覚があることを証明できたところで、話を異なる角度からすすめていこう。

才覚とは別に、一般的な退屈な尺度で言うところの優秀な人ほど、又、生産性を強く意識する立場にある人ほど、短時間でものごとを分かろうとする傾向が高くなるようだ。

目の前の人や目の前のことを。
そして、時に自分自身のことさえも。

しかし、ここで矛盾が生まれる。

分かってしまったならば、それ以上聞きようがない。きちんと聞こうとしなくなる。
それはまずい。リーダーに思い込みは禁物だからだ。

誰も言ってくれないことを代わりに言うね。
マネジメントとは、
本来、目の前の人や目の前のことをどれだけ永く分からないでいられるか?だ。

この、全く真逆な指向性をどう扱うか?これがマネジャーやリーダーの腕の見せ所だ。

ところがどっこい、何かに向き合わない方法として僕たちは動き続ける。

僕たち現代人の最も危惧すべき病は多忙中毒だろう。何かにつけて忙しい。余裕がないと言う。あれが終わってからと言う。

子どもたちがネットでどんな言葉を口にしているか?も眺めてみたら感じることができるはずだ。

まるで、そうすることで安心できるかのように、争い、忙しく、せかせかしている。

ほんとうは、僕たちに必要なのは畏敬の念のボイスがきちんと自分の心に届くまでの、ゆとりなのに。

しかしながら、

そう願いながら、決してそうならないのは、僕たちがただそれを許しているというだけの理由から。

なんてこった。

過去は僕の未来に対して指揮をとり続ける。
僕たちの犯しやすい過ちとは、過去の状況に基づいて思考することなわけだ。

ここで世界がどのように創られていくか?を見ていこう。

はじめにことばありき。
創世記で語られているのは、はじめに神は天と地とを創造された。

地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた
神は「光あれ」と言われた。すると光があった。
(中略…)
神はまた言われた、「水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ」。
(中略…)
神はまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。そのようになった。
(中略…)
神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上にはえさせよ」。そのようになった。
(だいぶ早送り…)
神はまた言われた、「天のおおぞらに光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、天のおおぞらにあって地を照らす光となれ」。そのようになった。
…と世界が言葉によって創られていく。

今風に言えば、まるでナイトプールパシャパシャって盛り上がるような描写だ。(よく分からなくても気前よく読み進めよ)

まさに言葉が世界を創る。

だから、気をつけないと。

あなたは、僕は、
「私は」の後に続く、ありとあらゆる言葉を、
そのあと、遅かれ早かれ言葉通りの体験を間違いなくすることになるのだから。

結びに、どんなに僕の持てる言葉を尽くしたとしても、僕の中には常に伝えきれていないあの感覚が身体のどこかしこに残っている。

しかし、こうも言える。つまり、欠陥があるこの記事は、その僕特有の欠陥があるからこそ、僕の才覚の出現を発明できるのだと。

そして、何よりこう言うと少なくとも、僕もあなたもそれを体験し始めただろ?

By オレの殴り書き

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