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Kei
2020年12月31日 23:30
行く年の 惜しくもあるかな 増鏡 見る影にさへ 暮れぬと思へば(『古今和歌集』342 紀貫之)去っていく 年が惜しいよ 澄む鏡 うつる姿も 衰えゆくから 2020年という歳が暮れます。 歴史に残るこの年の、何を記憶に留めておくべきなのでしょう。ミクロの視点から思い起こされるあれやこれや。マクロの視点からしのばれるあれやこれや。どの一つをとっても、たまらない。 せめて僕は、ひとつ進ん
2020年12月30日 23:35
年の瀬。 最高気温が20度前後を記録した一昨日、昨日から一転。今日はずいぶんと冷え込んだ。昼間から雪が散らつき、日が暮れてからの冷え込みは、凄まじい。 帰省も旅行も諦めた今年。それでも公園に行き、釣りを楽しみ、ニンテンドースイッチで勝負し、ドンジャラで盛り上がった。未曾有の災害に襲われようとも、子どもたちのエネルギーは煮えたぎる。 とはいえ、年の暮れに子どもの元気な姿を見て救いを感じて
2020年12月29日 22:22
さりともと 嘆き嘆きて 過ぐしつる 年も今宵に 暮れ果てにけり(『千載和歌集』470 前左衛門督公光) そうは言ってもこのままでは、と 嘆きを重ねて 日々過ごしてきた。 そんな年も今宵 嘆きの晴れぬまま、暮れ果ててしまったよ 2020年が終わっていきます。 アメリカのタイム誌は、今年を過去最悪の年だと認定しました。かつてヒトラーを「最悪の人」と認定し、表紙に❌付きで掲載したタイム誌で
2020年12月28日 14:53
奥山の 岩垣紅葉 散り果てて 朽葉が上に 雪ぞ積もれる (『詞花和歌集』156 大蔵卿匡房) 奥深い山の 岩に四方を囲まれた紅葉が 葉を散らし果てて地に落ち、朽ちた葉の上に 雪が降り積もっている 人里から遠く離れた山奥に、一本の紅葉が生えている。 その姿を外界から隠すようにして、巨岩が取り囲む。 冬が到来し、秋に染まった葉が、最後の一枚まで散り果てる。
2020年12月27日 10:54
ふる雪に 杉の青葉も 埋づもれて しるしも見えず 三輪の山もと (『金葉和歌集』285 皇后宮摂津)ふる雪で 青青しい杉の葉も すっかり埋まってしまって、ここがそこだ、という目印も見えないよ ここ、三輪山の山麓で 雪量がやばい。 だって杉がすっかり埋もれているんだ。杉は大きいもので、樹高が40〜60mにも及ぶ。それが埋もれるって、積雪量何メートルだって
2020年12月26日 08:51
寂しさに 煙(けぶり)をだにも たたじとて 柴折りくぶる 冬の山里(『後拾遺和歌集』三九〇 和泉式部)寂しい。せめて煙だけでも私の周囲から絶やすまいよ。 そう思って、 薪を折り、火にくべる。ここは、人気もない冬の山里。 月や桜を友として、山の暮らしの寂しさを紛らわすのは、まあ風流だ。そこには「こんなオレが好き」という自己陶酔か、あるいは「こんなオレを見て
2020年12月24日 11:54
思ひかね 妹がり行けば 冬の夜の 川風寒み 千鳥鳴くなり (『拾遺和歌集』224 紀貫之) 恋しさをおさえきれなくなって あのひとの住む方へ行ってみると 冬の夜の 川風が寒いので 千鳥が鳴いているらしい 会いたいなら会いに行けばよい。わざわざ「思ひかね」というからには、何か容易に会えない事情があるのだろう。親世代の干渉か、あるいは仕事が忙しいか。
2020年12月23日 04:13
大空の 月の光し 清ければ 影見し水ぞ まづこほりける 冬の夜空に君臨する月は、冴え冴えとした静謐な光を放ちます。その光は透明で美しく、しかしどこか怖い。 歌は『古今和歌集』の三百十六番歌。詠み人知らずの作品です。「影」は月影、月の光を意味します。 清さが凍結を招くという詩情。水の擬人化。そして「まづ=いち早く」見たものから凍り付かせる無慈悲。 作者は月を振り仰ぐことができたのでし
2020年12月23日 12:12
吹く風は 色も見えねど 冬くれば ひとり寝る夜の 身にぞしみける (後撰和歌集449 詠み人知らず)(訳)吹く風は色も見えないけれども 冬が来ると 一人で寝る夜、私の身に染みわたるものだね 冬の風の冷たさに気がつくのは、僕の場合はまず手だ。 朝のランニング時、寒さと闘って外に立ち、身体をひねって走り始める。やがて身体はぽかぽかしてくる。だけど手先はなかなか