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【完全保存版】MIDIが必ず理解できるnote

MIDIプログラムは音楽家が避けては通れないプログラミング言語。

ただし昨今のDAWでは
MIDIとオーディオが同じ画面上で取り扱えるようになっているため
初学者の中にはごちゃまぜになっている人も多いです。

このnoteでは音楽家になるためには避けては通れないMIDIの基礎の基礎から
徹底解説していきます。

私はクラシック音楽だから関係ない!
と思う方、その考え方は改めましょう。

MIDIシステム+DAWの知識は
どんなジャンルのどんな音楽を制作するにも必要な知識です。

それでは張り切って参りましょう!

オススメ機材に関しては是非こちらの記事と併用してチェックしてください。


実物のMIDI

MIDIに限らず現在コンピューターを使って動かすプログラムというのは
元々はハードウェアだったんですね。

産業革命で人類は一気に機械化しましたが
機関車一つみても
動かすにはハードウェアのプログラム設計があるわけです。

プログラムのハードとソフトの分岐点はアセンブリ言語と
その前はパンチカードになりますのでここが分岐点となります。

さて、音楽の分野の場合はどうでしょうか?

MIDIとはMusical Instrument Digital Interfaceの略。

現在はもはやコンピューターの中にのみ存在し
コンピューターの中ですべて完結するようになっていますが
当然こちらも元はハードウェア。

現在の姿になる以前はシーケンサーと呼ばれるマシンと
音源となるシンセサイザーやサンプラーなどと
シーケンサーにプログラムを打ち込むためのキーボードが必要でした。

これは筆者の音大生時代の自室。

学生のため低予算で揃えていますが
現在であればうすーいMacBookの中に
この設備の1万倍くらいの機能が詰め込まれています。

筆者の音大生時代は録音はPCの中で行なっていましたが
子供の頃は父がこういったマルチトラックテープレコーダーで
録音していたのを覚えています。

もっと昔のMIDIシステム

Kotaro Studio / ROKKO森の音ミュージアム

もう少し時間を遡ってみましょう。
音楽家になるのであれば教養としてしっかり理解しておく必要があります。

このシーケンサーとシンセサイザーとオープンリールレコーダーの
もっと前はオルゴールになります。

オルゴールもパンチカードで動かすモデルがあります。

オルガン用のパンチカード / 引用:ウィキペディア

このパンチカードの部分がシーケンサーの部分になります。
そして音が鳴る部分が音源になるわけです。

Kotaro Studio / ROKKO森の音ミュージアム

オルゴールはみなさんもご存知のようにコンピューターを一切使わずに
人間が演奏しなくても自動で演奏できますよね。

1925年製のこんな珍しいオルゴールもあります。

Kotaro Studio / ROKKO森の音ミュージアム
Kotaro Studio / ROKKO森の音ミュージアム

アメリカ製ミルズ社の貴重なもの。
こちらもハードプログラムにて指板の部分を押さえて音程を変えます。
弓の部分はモーターになっており松脂さえ続けば弓の返しなく
永久に音が鳴り続ける仕様となっています。

Kotaro Studio / ROKKO森の音ミュージアム

おそらくオプションで
松脂を一定回転数ごとに塗るための装置なんかも
簡単に取り付けられるでしょう。

細かいのが松脂の粉を受ける皿
いいですよね。

どんな形態であれMIDIシステム(旧オルゴール)は
シーケンサーと、音源と入力に分けられるわけです。

これがわかればあとはそのままコンピューターの中に
ソフトウェア化するだけ。

MIDIだとテンポや音程が変えられる理由

DAW等で音楽制作をするときに
オーディオトラックはテンポや音程が変えられないのに
MIDIトラックは自由自在ですよね。
(現在では別の仕組みでオーディオトラックもピッチやテンポを変えられます。)

なぜMIDIトラックだけあれだけ自由自在に変えられるのか?

先述したオルゴールで考えると手に取るようにわかりますね。

手回し式オルゴールで想像してみてください。

あなたがオルゴールの回転速度を早くすると
その音楽プログラムも早くなりますね。

音源の部分のキーを変更すると
変更したキーで演奏されますね。

それと同じことがコンピューターの中でそっくりそのまま
起こっているわけです。

最も進化したポイント

実はシーケンサー部分や入力の部分はオルゴールの時代と一緒
といえば言い過ぎですが
あまり大きな変更点はないんですね。

最大の進化は音源にあります。

音の波形で生成するシンセサイザーが
MIDIの音源としてはこれまで主流でしたが

昨今ではサンプリング音源が主流となっています。

例えば通常ピアノのサウンドというのは
シンセサイザーで生成不可能だと言われており
デジタルモデリング(デジタルでピアノっぽい
音に近づけたもの)のピアノ音源は完全な偽物でした。

しかし昨今はピアノの音をそのまま録音して
再生するため
完全に生ピアノの音でMIDI制作ができるようになったわけです。

サンプリング音源って何?

完全ガイドを目指すのであれば
ここもしっかり押さえておく必要があります。

サンプリング音源とは
通常サンプラーと呼ばれるマシンにサンプルとして録音した音を登録して
その音程に対応した音で随時読み込んでいく機械になります。

これももちろんオルゴールと同じで
現在はソフトウェア内で完結していますが
当初はハードウェアが存在しています。

有名なのがメロトロンというサンプラー。
音聞いてみてください。

プログレッシブロック世代?
現在60歳以上の音楽ファンの方なら悶絶するレベルの懐かしい音なんです。

仕組みとしては一音ごとに録音されたテープが再生されるというもの。
そのためテープの再生が終わったら音は鳴りません。

出せる音の時間がテープの長さだけということになるわけです。

これをソフトウェア化したのが
現在のサンプリング音源ということになります。

筆者がよく使っている
ネイティブインスツルメントという
ドイツのサンプリングメーカーのものでも
例えばギター音源など毎回演奏者の吐息が入ってしまう音源もあります。
まさにメロトロンの仕組みそのまま。
もちろんそれだけマイクアンプやADCの性能が高いため。

MIDIからオーディオへの変換

MIDIトラックからオーディオトラックへの変換作業というものがあります。
現在ではMIDIトラック内でエフェクト処理などを完結して
録音されたオーディオトラックと一緒にミックスダウンができるのは
当たり前になりました。

しかし
この変換の概念をしっかりと頭の中で構築しておく必要があります。

これもハード(物理的)で考えてみましょう。

オーディオへの変換は簡単です。

オルゴールに向かってマイクロフォンを立てて
録音する。

これをコンピューターの内部で処理しているだけです。

するとこれ以降は当然いくらオルゴールの回転速度を変えても、音源を変えても意味がなくなりますよね。
つまりMIDIシステムの外に出るわけです。

オーディオに変換したあとは
全く別のシステムの上で音が鳴っていると
しっかり把握してください。

MIDI制作に必要なモノ

  • パソコン

  • DAWソフトウェア

  • 基本となる音源

  • 入力用キーボード

  • ヘッドホン

現代であれば基本的にこれだけあれば制作を開始できます。

パソコンの選び方

パソコンは私はC言語の使い手だ〜という方以外は
基本的にmacにしておけば問題ありません。

MIDIキーボードの選び方

入力用キーボードはMIDIケーブルタイプとUSBタイプの二種類になります。
昨今だとMIDIケーブルタイプは少なくなってきており
USBタイプ、またはBluetoothタイプが主流となっています。

ピアノ作品を作るわけでないのであれば88鍵盤も必要ないかと思います。

選ぶポイントは3つ

  • ベロシティ対応かどうか

  • USBかMIDIか

  • MIDIコントローラー込みか

この中でも一つ目のベロシティ対応かどうかは超重要になります。
パッド(ドラムなどの制作)もベロシティに対応しているのがベスト。
白鍵と黒鍵でベロシティ未対応のものは少ないかと思いますが注意。
他にある程度MIDIコントロールができる方が便利ですね。

録音や再生などの基本的な操作。
これはどのボタンにどの指示を割り当てるかを
ソフトで決めることができます。
これをアサインといいますので覚えておいてください。

このあたりがおすすめ。

より小規模または携帯性の高いものだとこの辺り。

ローランド、アレシス、アカイ、Mオーディオなどなどは
老舗ブランドですので
大きな間違いは起こりません。

DAWソフトウェアの選び方

ソフトウェアの選び方はたくさんありそうですが
実は限定的。

機能性やお値段も基本的にはどこも同じ・・・なんですがいくつかポイントがありますので順番に解説していきます。

音質がいい順番

まずはMacの方は基本的にLogicで問題ありません。

CubaseやAbletonなど
他にもMacに対応しているソフトはたくさんありますが
Logicはオーディオの処理が優れており
ソフトウェアの中でも音質がいいのが特徴。

Kotaro Studioの音響顧問である金田式DC録音の五島昭彦氏も
普段はWinで作業していますが
Logicの音を聞いて
確かにこれソフトの音はいいねといっていました。

次に音がいいのがCubase(キューベースと読みます)です。
マスタリングソフトであるWAVE Labも展開しているだけあって
音の質はピカイチ。
それでもなんとなく若干Logicの方が音がいいような気がするんです。

一番残念なのがAbleton(エイブルトンと読みます)。
これでオーディオ録音はしたくないなと思うほど音は厳しいです。

ただしGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)は最高で
非常に創造性が高められます。

操作性も他のソフトにはない独特な構造になっていて
合致するジャンルの制作には絶対に欠かせない存在。

Kotaro Studioはオーディオが軸になっているので
選択肢にはなりませんでしたが
筆者個人的に開催したライブなどで
何度もこのソフトにはお世話になっています。

また、Windowsの場合はその昔有料ソフトだったソナーが無料で使えます。

無料なのにかなりしっかりしたシステムになっています。

サンプリング音源について

サンプリング音源は無料のソナー以外のソフトは有料版は基本的にセットで付いてくることが多く、あとから必要な分を買い揃えると言った感じになります。

また、先ほど紹介したMIDIキーボードや
オーディオインターフェイスを購入した時に付いてくる無償版は
音源が入っていないので、別で購入する必要があります。

サンプリング音源はそれに特化したメーカーのものがおすすめ。

例えばNative Instrumentsの音源などは
DVDディスク販売の時期から筆者はもう20年近くの付き合いになります。

相当音はいいです。

シーケンス機能(DAWソフトのMIDIトラックを走らせる機能)だけ無料版のCubaseなどを使って
音源にお金をかけるといったことも検討してもいいかもしれません。

エフェクター類について

これも各種DAWソフトを選ぶ際に有料版
それもグレードが高ければ高いほどよりたくさんの種類のエフェクターが入っています。

こちらもNative Instrumentsをはじめとした各社プラグインがたくさんあります。

DAWソフトの純正プラグインに頼るのか?
好みのメーカーのものでカスタマイズしていくのか?
これも制作の意図によります。

録音エンジニアの場合

例えばKotaro Studioの音源制作の場合は
Logic+Native Instrumentsの音源とエフェクトを使います。

LogicにもリバーブやEQが入っていますが
長年Native Instrumentsを使っていたのもあり
エフェクター類もNative Instrumentsのものを使っています。

余談ですがNative Instrumentsのリバーブはレキシコン(往年の名機)のモデリングリバーブを出しており、こちらの音はもう最高です。

しかし、EQに関してはLogic純正のものもかなりの音質で驚いています。

このようにリバーブだけどうしてもこの音がいい!
などがある場合に買い揃えていけばOKです。

スタジオの音響顧問である五島先生なんかはWAVE Labとソナーを使っておりプラグインはほとんど使うことはないでしょうが、使うとしたらWAVE Lab内蔵のものを使用しています。

ちなみにWAVE Labはマスタリングソフトであり、MIDIデータを取り扱うことはできませんので注意してください。

チャンネルという概念を解説

こちらも現在の制作環境ではほとんど考えることはなくなりました。

知らなくても音楽は作れますし
制作は可能です。

ただし、やはりこのnoteチャンネルは専門家育成塾ですので
しっかり解説しておきましょう。

MIDIにはそれぞれチャンネルが割り当てられています。

2進法8ビット?

日常では10進法ですよね。

コンピューターの世界では2進法。
0か1の世界です。
マトリックスの世界観ですね。
MIDIの世界では16進法でデータの種類を表現するのが一般的。
MIDI信号というのは
パルス(電圧)の「ある」か「ない」かによって判別されます。
MIDI信号は8ビットで構成されています。

オムニのオンオフ

チャンネルの概念でオムニ(無指向)をオンオフにするか問題があります。
オムニをオンにするということは流れてくるMIDIチャンネルの中ですべてのチャンネルを受け取るということ。

オフにすると
単一チャンネルの信号のみ受信することができるようになります。

イン、アウト、スルー

一般的には1〜16chまでのチャンネルが用意されていて
送信側(アウト)のチャンネルが例えば3であれば
受信側(イン)のチャンネルも3で合わせないといけません。

実際にはこの時16chすべての信号が発信されています。

受信側(シンセサイザーやハード音源の場合が多い)の受け取ると指示を出したチャンネルだけ受け取り、残りのチャンネルはMIDIスルー端子から別のシンセサイザーに送られます。

仮にAからFまで6個のシンセサイザーがあった場合
シーケンサーから16ch一気に流し、各シンセサイザーは受信設定したチャンネルの信号をだけを受け取りFまで一気に流れるわけです。

そのため、シーケンサーからAまではシーケンサーのMIDIアウトからAのMIDIインに繋ぎ、AのMIDIスルー端子からBのMIDIスルー端子へと、音源部分はすべてスルー端子で接続することが可能になるわけです。

間違えてAの受信チャンネルとDの受信チャンネルを同じに(例えばCh3)
にしてしまった場合はAとDのシンセサイザーは音は違うのに同じ動きをすることになります。

ここがハードのオーディオとも違うポイントになりますね。

オーディオ信号の場合は(当然アナログですから)ミキサーで物理的に分岐する必要があります。

ここまで上手く伝わったでしょうか。

MIDIで出せる指示の種類

MIDI信号の送信やチャンネルもわかった。
で結局何ができるの?

ということになります。

まずはMIDIシステムで機器に出せる指示の種類を覚えてください。
ここは結構重要ですので要所要所で細かく解説していきます。

チャンネルボイスメッセージ

  1. ノート情報

  2. プログラム・チェンジ

  3. コントロール・チェンジ

  4. アフター・タッチ

  5. ピッチ・ベンダー

さて、1番のノート情報というのはオルゴールでいう突起の部分。

Kotaro Studio

このぶつぶつのところですね。
これがノート情報です。

加えてベロシティという概念があり、これは音の強弱を128段階で区別することができます。

オルゴールで表現するとこの突起の部分の長さを
128種類に変えられるということ。

また、プログラムチェンジもハードシーケンサー時代は重要な要素でした。

現代では別のプログラム(音色)を使いたければ実質無制限に増やせるMIDIトラックで新規トラックを運用すればいいだけなのであまり重要視されません。

ただし、このプログラムチェンジはテンポ情報なども変更することができるため、例えばわずかなリタルダントであったり、部分的にアッチェルをかけたい場合などには現在でも有効に機能します。

モードメッセージ

こちらは受信側のチャンネルを自動で強制的に切り替える信号になります。

こちらも現代ではほとんど意識することのない部分です。

MIDIシステムで複数のシンセサイザーなどの音源をMIDIスルーで接続する場合、受信側(スレーブ)はオムニをオフにしてポリモードにする必要がありますよね?
オムニをオンにしちゃうと設定したチャンネル以外の音も鳴らしてしまうことになり、大変なことになるという点は大丈夫でしょうか。

モードメッセージでは受信側のモードをオムニオフポリモードに強制的に変えてくれるのでトラブル防止に繋がります。

ただし、先述の例のようにA~Gまで音源があった場合はGから逆にシーケンサーに向かって電源を入れる必要があります。

モードメッセージももちろんシーケンサーから信号が発信されるわけですから、理屈は理解できるかと思います。

楽曲の一番最初にモードメッセージを入れて曲ごとに安全確認のような感覚で入れることもできますね。

その他

その他エクスクルーシブ・メッセージや、コモン・メッセージなどの送受信もできますが、現代ではコンピューターで管理できますので
特別意識する必要はありません。

照明とMIDI

MIDIシステムには照明の操作も可能になります。

音楽に合わせて光が動いたり激しく揺れたりするステージがあります
もちろんあれをすべて人力で操作できるはずもなく
すべてMIDIプログラムで操作します。

仕組みは同様。
シーケンサーがあって、チャンネルを合わせて、信号を送る。

大昔のオルゴールだって、音に合わせて電気がついたり消えたりするものがあるんです。

だからこそ、ハードウェアの時代を知る必要があります。

照明に関してはMIDIインが搭載されている照明器具が必要になります。

基本的には照明さんがプログラムしたりするので音楽家の方がそこまでする現場はあんまりないかもしれませんが

やはり知っておく必要はあります。

まとめとファイル管理について

ここまででMIDIの全容は掴めたでしょうか。

MIDIとはプログラミング言語であり
プログラミングとは元はハードウェアの設計のことであり
現在はコンピューターの中で管理されている。

ということ。

DAWソフトは制作の管制塔であり
一番音がいいのがAppleのLogicで、2番目がCubase。
Abletonを選ぶ人はジャンルが合致している人だけ。

ということ。

チャンネルを合わせないといけないが、現在のDAWソフトではトラックとチャンネルはセットになっているためほとんど意識する必要はない。
(サンプリング音源のマルチチャンネルは別)

現代はLogicなどを購入しガイドに従っていけば音は鳴らせますし
簡単に音楽制作ができるようになりました。

しかしハードウェアの仕組みを知っているか知らないかで
大きな差が出てきます。
特に音楽の専門家を目指す方であれば必ず知っておく必要がありますので

頭の中でしっかりイメージができるまで何度も読み返して学ぶようにしてください。


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