
プロダクトマネージャーの必読書 5選とそのサマリ: 物事の捉え方と意思決定を劇的に改善する本たち
あなたの脳が1日で行う意思決定の回数を知っていますか?正解は..
3万5千回
多くは無意識の意思決定です。無意識でない意思決定はエネルギー消費が激しいので、脳みそは常に省エネモードで機能しているんです。
こんにちは、@kossmori です。
質のある決断を下す回数には限界があります。Facebook のマーク・ザッカーバーグが毎日同じ服を着る理由も、Amazon のジェフ・ベゾスが自分で食事を選ばない理由も、意思決定のエネルギーを最も重要なことに集中させるためです。
デフォルトで怠惰な脳みそを使いこなし、数多ある認知バイアスを封じ込むには、知識とスキル、フレームワークが必要です。
それらを身につけることは、自分自身の意思決定のエラーを減らすと同時に、サービス提供者としては利用者の取る行動を理解する助けになります。
このNoteでは日々の意思決定とゴール設定、物事を前進させる能力を劇的に改善する良書5冊を紹介します。
注) 全て英語で読んだため、日本語訳版のクオリティを把握しておりません。もし英語に抵抗が少ないかたは英語で読むことをおすすめします。
Predictably Irrational (予想どおりに不合理)
私たちは普段なにかの意思決定をするとき、その判断を自分自身でコントロール出来ていると思いこんでいます。しかし殆どの場合は第一印象や直感に起因していて、環境刺激に対して迅速かつ質素な意思決定行ってしまっているのが現実。

画像: Visualcapitalist 50 Cognitive Biases in the Modern World より
例えば、私たちは絶対的な価値観で物事を選択することは殆どなく、物事が目先の他のものと比べて相対的に優れているかどうかに着目して価値を決めがちなのです。(Anchoring, Availability Heuristic )
この本は私たちの日常に起きる非合理的な行動の要因を理解し、それを如何に克服するかを示してくれていて、行動経済学と認知バイアスに関する名著です。
Thinking, Fast and Slow (ファスト&スロー)
私たちの普段の行動や振る舞いは、脳の中の2つのシステムのうちのどちらかによって決められています。その2つのシステムを使い分けるすべを知ることで、判断ミス、決断ミスを減らすことが可能になります。
システム1は高速、直感的で、感情的な思考プロセスです。エネルギーをあまり必要とせず、迅速な意思決定を可能にしますが、エラーが多い。システム2は遅く、より慎重で、論理的な思考プロセスです。問題解決に優れていますが、燃費が悪いため普段は表面化しません。

脳は常に最小のエネルギー消費を実現する思考法を選択するため、省エネモードが平常運転。システム2を使うべき意思決定のタイミングで適切な切り替えが行われずにシステム1の判断に任せると、多くの場合に間違った意思決定をすることになります。
私たちは日常生活のほとんどすべてをシステム1上で行っており、判断が適切かどうかをあまり吟味することなく行動をとるため、そもそも自分たちの盲点に気づくこと無く日々の意思決定を行っています。
本書は如何に普段の認知バイアスを特定し、システム2の思考プロセスを意識的に表面化するかを説いた行動心理学の名著です。
Super Thinking (日本語訳無し)
Predictably Irrational と Thinking, Fast and Slow での学びを、普段のアクションに落とせるかたちにまとめています。意思決定のエラーを減らし、取るべき行動を最適化するためのメンタルモデルを列挙した本です。
メンタルモデルとは、一見バラバラに見える事象を説明、予測、アプローチする際に繰り返し適用できる概念、思考法のことです。
例えば:
常に正しくあることに集中してはいけない。間違いを少なくすることに集中する。
常に物事を第一原理から捉える。「原子がどのように組み合わされているかを理解することで初めて、新しい分子を構築することができる」
知らないということに気づいていることと、知らないということに気づいていないことは根本的に異なる。

画像: Visualcapitalist 12 Ways to Get Smarter in One Infographic より
日本語版は出ていませんが、著者が一部をMedum (以下) にまとめているので英語が苦手な方はこれを DeepL して読むのが手っ取り早いかもしれません。
Principles (プリンシプルズ)
私たちは生まれ育った環境の影響から、あらかじめパッケージ化された原則、価値観を当たり前のものとして普段の行動に取り入れています。しかしそれが原因で、現実を歪んだ方法で認識してしまうことが頻繁に起こります。
この本は自分の現在の価値観で判断するのではなく、第一原理に従って新たな原則を確立することの重要性について書いています。
自分自身の「オペレーティング・システム (OS)」を作り、意思決定をシステム化すること。そうすることであなたのOSを同じような状況下で何度も適用することができ、エラーを最小限に減らすことができるようになります。
組織づくりの場合には、このOSこそが組織の意思決定プロセスです。明確かつ正確に記述することで、他の誰もが同じ状況下で同じ質の決断を下すことができるようになります。

意思決定、組織、プロセスを「仕組みや機械」として捉え、システムとして自動化できるレベルまで分解すること、常に改善し続けること。
目標設定 → 問題の特定 → 根本原因の特定 → 解決策のデザイン → タスクの実行の5つのステップに以下こだわり、絶え間ない成長と反復を続けること。
人生と仕事を常に高めていくことにフォーカスした、成功への羅針盤のような本です。
Measure What Matters (伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR)
「アイデアを出すのは誰にでもできる。実行に移すことこそが全て。」目標設定の入門書であり必読書です。
Principles のサマリの最後に書いた、絶え間ない成長と反復を組織的に実行するためのシステムのひとつです。最もインパクトのある取り組みにリソースを寄せるための選択と集中、組織連携、アカウンタビリティの明確化を可能にし、計測と反復を続けることを可能にします。

ゴール設定に関しては以下にまとめてあるので、読んでみてください。
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計測できないものは、改善できません。あなたにとって最も重要な指標を選択し、実行に移し、計測すること。その体系的アプローチの1つがOKRです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。良い記事だと思ったら、Twitterでシェアいただけたら嬉しいです。テクニック本ではなく、本当に価値のある本が世の中に広まっていきますように。Twitter でも内容の濃くクオリティ高めのものを投稿しますので フォローしてみてください。(Twitter: @kossmori )
アメリカのスタートアップの経営者やプロダクトマネージャーで読んでない人はいないであろう本5選とそのサマリをNoteにしました。📑
— kossmori (@kossmori) June 17, 2022
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