![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16773093/rectangle_large_type_2_bd05ea40af54f4232a7079d53b255e9d.jpeg?width=800)
孤独なグルメ『滋賀県信楽にある定食』
山林をくねくね走り抜けると狸、狸、狸。
今日は取引先担当者のミスで全予定が狂ってしまった。
なぜか彼はミスしても絶対謝ってこないが、この歳になるといちいち心揺らさない。
これが大人になったってことか?
ここは信楽。
子供の頃、あちこちの玄関先で見かけた狸の置物もマンションや洋風建築が増えたためかほとんど見なくなった。
これも時代かと大きな狸像を眺めながら通り過ぎていく。
そう言えば彼女がこの狸通りを過ぎたあたりに気になる定食屋があるって言っていたな。
仕事も急ぎじゃないし寄ってみよう。
店舗通りがここらで終わりかなと思っていた矢先、平屋のそれっぽい店を見つけた。
10台は停められそうな駐車場には車が数台。ハンドルを左にきる。
扉には営業中の札。扉を開けると左側にはレジ、奥には調理場、右側には3組のお客さん。
どこに座ればいいか迷っていると、いらっしゃいませの掛け声とともに席に案内された。
鯖、縞ホッケ、鮭など焼魚定食の張り紙が目につくもランチにしてはちょっとだけ高め。
定番らしい大和芋定食を注文する。
先客に運ばれてきた定食を横目で盗み見る。大きめの縞ホッケと脂の輝きにケチらないでコッチにしたら良かったかなと少しの後悔をしつつ今日は初来店、定番を食すべきと自分に言い聞かせる。
「お待たせしましたー」運ばれてきたお膳は、これぞ田舎のお昼ごはん。
ごはんは地元のコシヒカリを信楽焼の釜で炊いているらしい。
小鉢を食す、はやり言葉で言えば優しい味。
みそ汁は主張しすぎない出汁が具の味も引き出している。
大和芋は粘り気も多く醤油も少量で十分味が浸透。
できる限り調味料を控えているが単純に薄味と呼ぶには違う、野菜本来の味を楽しめる味付け。
追加で頼んだ玉子はもちろん黄身は濃く、玉子かけごはんで食べないわけには。混ぜ終わると一気に半分かきこみ残りの半分は案内通りに大和芋のとろろを混ぜる。満足。
正直言うと全体的にパンチはない。でも、こういう昼ご飯を体が求めていたりする。
それを証拠に食べ終わった後、必ずと言っていいほどすぐに眠気が襲ってくるのが全くなかった。
必要なものを必要なだけ食べさせてもらえたような満足感で店を後にする。
いつか彼女を連れて来られる日があったら今度は焼魚定食だな。
そう思いながらギアをドライブに入れた。
もし琴線に触れればサポートしてもらうと喜びます。サポートしてもらった分で手が出せずにいる店などの記事増やしていこうと思ってます。