伽羅

いまのところ本業は業界紙の記者をやっています。ひょんなことから中学生時代からお世話にな…

伽羅

いまのところ本業は業界紙の記者をやっています。ひょんなことから中学生時代からお世話になっているT先生と2人、日本各地に美味しいものを食べに行くようになりました。お取り寄せでは手に入れることのできない感動を追求する私たちの気まぐれな旅の記録をご紹介します。

マガジン

  • 「介護職員初任者研修」受講記

    特にひっ迫した事情があるわけではありませんが、コロナ禍で時間ができたので、全16回の「介護職員初任者研修」を受講してきました。「介護」に対する漠然としたネガティブなイメージが、受講したことでどう変化したかを書いていけたらと思います。

  • きまぐれ歳時記

    清少納言にならい、春は〇〇、夏は〇〇、と思いついたものを、歳時記風にとりあげていく。思い付きなので、伝統的な歳時記とは季節の異なる風物も入る可能性あり。食べ物が多くなる予感。

  • コロナ禍ですが、手術を受けてみました

    2020年5月20日、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言が発出されていた東京で、以前から予定していた卵巣嚢腫の手術を受けるため、10日間入院しました。あまりに暇だったので病院で書いた備忘録的な日記です。※注:性格上、深刻さはほとんどありません。

  • さぁ、有休を取って旅に出よう(注:現在は自粛中)

    東京在住の私と、姉弟子のT先生のご近所から遠方までのちょっとした旅の記録です。

最近の記事

「介護職初任者研修」受講記~episode0~

「介護初任者研修(かいごしょにんしゃけんしゅう」ー『在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修』(厚生労働省より)。 2021年3月11日、東日本大震災から10年を迎えた。あの日私は東京にいて、家族も友人も直接被災した人はいなかったけれど、それでもあの日の衝撃は確かに覚えている。 震災後、被災地でボランティア活動を行う人々の姿が連日メディアで紹介された。私は空調の効いた部屋でお茶をすすりながら、多くの人が自らの身を賭して懸命に働く姿に、ただ

    • 夏はうに

      うに:どんな食べ物にも生まれて初めて食べた瞬間というのがある。 大根、豚肉、卵、今では旧知の彼らとも初めての時があった。 でも、その出会いの瞬間を覚えていることは滅多にない。 翻って、出会いを覚えている食べ物もある。 私にとって出会いの忘れられない食べものが、うにだ。 当時の私は3歳か4歳で、夏、両親と兄2人とともに家族旅行で新潟の海に海水浴に出掛けた。当然母は宿泊先を予約していたが、宿に着いてみると、なんとダブルブッキングで泊まれないという。そこで、近くの民宿を案内され、

      • 春は貝

        貝:貝が好きだ。 蛤も浅蜊も蜆も牡蠣も帆立も、みんな好き。すごく好き。 貝特有のぐにゅっとした食感が苦手だとか、形状が気持ち悪いとか、牡蠣の断面が無理とか、磯臭くて嫌とか、あさりの砂を噛んだときの不快感が忘れられないとか、牡蠣に当たる恐怖がぬぐえないとか、嫌いな人にはとことん嫌われる貝類だが、そういう人はその人なりの価値観を大事にすればよい。 ただ、これだけ嫌われる要素を持ちながら、魚屋の店先から排斥されないところに貝類の強さが見て取れる。 貝の魅力はいろいろあるが、その一

        • 春はうど

          うど:うどは「独活」と書く。 どこが「う」でどこが「ど」なのか、いつか責任者を問い詰めたいと思いながら二十年以上が経ってしまった。 うどには、全体が白くて長い「軟白うど」と、緑色がかっていて短い「山うど」の2種類がある。どちらも同じ植物だが、後者が山などで育つ山菜として知られているのに対し、前者は人によって陽を当てずに育てられたものを指す。 その味わいも対照的で、「山うど」がいかにも山の精気を吸い込んだという野趣溢れる味わいであるのに対し、「軟白うど」はその名の通り、白く柔

        「介護職初任者研修」受講記~episode0~

        マガジン

        • 「介護職員初任者研修」受講記
          1本
        • きまぐれ歳時記
          4本
        • コロナ禍ですが、手術を受けてみました
          11本
        • さぁ、有休を取って旅に出よう(注:現在は自粛中)
          25本

        記事

          春はたけのこ

          たけのこ:春はたけのこ。日本人なら、ここに異論を挟む余地はないはず。 ちなみに、たけのこ狩りは素人にはかなりの重労働だ。 まず、たけのこの生えている山はたいてい斜面が急なので、まっすぐ立つだけで大変。しかも、地面に出ているたけのこはえぐみが強いので、まだ地中にいるたけのこを狙う必要がある。素人には落ち葉の重なった地面にしか見えないが、プロは微細な兆候を見逃さない。「そこを掘ってごらん」なんて言われて掘るとほんとに出てくる。その様子はほとんど超能力捜査官といっていい。 なにや

          春はたけのこ

          退院した今思うこと

          入院中は、ベッドのサイズ+半畳くらいの空間が暮らしのほぼ全てだったので窮屈だなと思うこともあったけれど、その分自分の感覚というものに妙に敏感になっていたと思う。 最初にそう思ったのは、イヤホンをしながらテレビを見ていて、たぶん声をかけてから入ってきたであろう看護師さんに飛び上がるように驚いてしまったときだ。 完全に油断しきっているところだったので、そのショックは相当なものだった。そんな患者の反応には慣れているベテランらしき看護師さんはごく自然に対応してくれたが、私は看護師さん

          退院した今思うこと

          入院9日目

          5月28日(木)術後6日目。 本日最初のミッションは採血。起き抜けに血を抜かれるというのも凄いが、ここにいるとそれも普通の出来事だ。 処置室での処置は終わったので、もう廊下に並ばなくて良いのは嬉しい。 嬉しいついでに朝から病棟内の廊下を10周歩く。 そうそう、寝返りも打てるようになってきた。痛みがないので、夜も起きることなく眠れた。 日々身体が変化しているのが分かる。午前8時過ぎ、売店で週刊朝日を買ってくる。ここにいる間に週刊誌の次号を買うことになるとは。 腹部レントゲンの撮

          入院9日目

          入院8日目

          5月27日(水)術後5日目。 痛みもほとんどなく、快調。 相変わらず主治医は朝7時半ごろ現れるが、この人はちゃんと家に帰っているのだろうか。「変わりありません」と言うと、「うんうん」と頷いて、満足げに去っていった。 今朝のニュースは温泉卵だ。食事が常食になり、初めて白米と温泉卵が出た。味付け海苔もある。 私は狂喜しながら、温泉卵をご飯に流し込み、温泉卵かけご飯を作成。黄色く染まったご飯を海苔で巻いて食べれば、至福の味わいだ。ここでようやくおかずも含め、食事を初めて完食した。

          入院8日目

          入院7日目

          5月26日(火)術後4日目。 朝から主治医がやってきて、退院は今週の金曜日くらいでどうかというので、それで進めてくださいとお願いする。ようやくゴールが見えてきた。痛み止めもほとんど飲まずに済んでいるし、あとは体力の回復が急務だろう。廊下をクルクル歩くのも、最初は5周でへばっていたが、少しずつ距離を延ばしている。もちろん、外の世界に出ればこんなのは運動には入らないだろうけども。 そうそう、今朝から食事が常食になった。お盆に付いてくる紙には相変わらず「全粥」とあるが、お盆には食パ

          入院7日目

          入院6日目

          5月25日(月)術後3日目。月曜の朝は8:30ごろに婦人科の医師らによる回診があると聞いていたが、どういうわけか私の主治医は7:30ごろやってきた。 「どうですか?」と聞かれたので、「お陰さまで痛みも大分引きました」と伝えると、納得したように去っていった。その後、月曜回診に何人かの医師がまとまってやってきたが、主治医は一番後ろに立って何も言わずにニコニコしている。麻酔医が、手術時にいかに大変だったかを語り、「10年に1度の大変さでしたから、もし次、全身麻酔をするときは先に伝え

          入院6日目

          入院5日目

          5月24日(日)術後2日目。 手術から2日目は喜びと共に始まった。痛みが引いたのだ。 看護師さんの訪問ペースも少し減り、ガーゼ交換も、当初の剥がした瞬間から「うわぁ」というものから、随分浸潤が減っているようだ。 さらにいえば、なんとなく意識がはっきりしている。前日もいろいろ考えたり感じたりしていたつもりだが、全然違う。確実に視界も思考もクリアだ。 体内に回っていた麻酔が完全に切れたのだろう。 とはいえ、朝食はまだ無理だろうと朝食のアナウンスを無視していたら、看護師さんが持って

          入院5日目

          入院4日目

          5月23日(土)手術翌日。 朝になっても意識はぼんやりしており、起きているんだか寝ているんだかよく分からない状態が続く。そうそう、そんな私に、看護師さんは手際よくパジャマを着せてくれた。人に着替えをさせてもらうなんて、幼児のようだがこの際仕方ない。 よく延びる滑りの良い素材のパジャマは着せかえやすかったようで「いいですね」と言われたのがちょっと嬉しかった。狙いどおり、という感じ。 医師が診察に訪れ、傷を確認する。「うんうん、大丈夫そうですね、じゃあ抜いちゃいましょう」という感

          入院4日目

          入院3日目

          5月22日(金) 手術当日。 今朝は午前6時前に起こされる。浣腸をするそうだ。この部屋には私の前の時間に同じ手術を受ける人がいるので、看護師さんは彼女に説明をしてから、私のところへ来る。 結果、私は同じ話を2回聞けるので、心構えができる。 処置室に行くと前の人と入れ替わりに呼ばれる。 血圧と血中酸素濃度を測り、13年ぶりの浣腸。あまり良い気持ちのするものではないが、仕方ない。じっとがまん。 今日は絶食で、7時頃までにOS-1を飲みきるように言われていたので飲む。美味しくはな

          入院3日目

          入院2日目

          5月21日(木)手術前日。今朝は午前4時に目が覚めた。 消灯が午後9時だったというのもあるが、ベッドが固いせいで、背中や腰が痛くて寝ていられなかったというのが実態だ。 同室の人が手術後で、痛みで眠れないようで、何度か部屋を出入りしていたのもある。看護師さんも何度か来ていた。明日は我が身と思う。 とはいえ、6時まではベッドで過ごす。6時に電気がつくので、それで晴れて起床できる。 7時過ぎ、朝食のアナウンスが入る。今朝からは繊維食だ。 もちろん美味しいものではないが、しかたない

          入院2日目

          入院初日

          5月20日(水)入院初日。 午前7時に起床。顔を洗ったら、日焼け止めだけ塗って、脱ぎ着しやすい服に着替える。パジャマやシーツは洗濯機へ。持ち物リストをチェックしながら朝食がわりにホットミルクを2杯。これで冷蔵庫はスッキリ。洗濯物をお風呂場に干して、窓の戸締まりを確認して出発だ。 午前9時。駅で母と合流。電車は空いているが、GW前に比べればずいぶんと人が増えた印象だ。 荷物が重い。ボストンバッグとリュックに分けたが、荷物が肩に食い込んでくる。入院準備なんて元気じゃないとできない

          入院初日

          手術をするって決めました。

          2019年10月、激しい腹痛は何の前触れもなく訪れた。とにかくお腹が痛い。どうしようもないほど痛い。じっとしていても笑ってしまうほど痛いのだ。「この感覚、知ってるぞ」と思い、近所の婦人科のクリニックを受診すると、案の定、腫瘍マーカーCA125の数値が高いと言われる。やはりか。 私は24歳で右の卵巣嚢腫で全摘出手術を受けている。ちなみに、医師によると、片方の卵巣が嚢腫になった場合、反対側も嚢腫になる確率は30%だという。卵巣は2つあるので、1つ目を取るときは、大抵「もう1つあ

          手術をするって決めました。