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さぁ、有休を取って旅に出よう(注:現在は自粛中)

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東京在住の私と、姉弟子のT先生のご近所から遠方までのちょっとした旅の記録です。
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初めての旅③~久慈・八戸弾丸ツアー~

この後は八戸駅を目指すわけだが、まだ時間がある。そこで、途中にあるという八戸の種差海岸に寄ることにする。ここは天然の芝生が広がる珍しい海岸だ。T先生は以前来たことがあるらしい。 広い駐車場はきれいに整備されている。海岸自体も手入れが行き届いており、遊歩道を歩けば海風が心地よい。天気が良ければもっと人も多いのだろうが、今日は一日小雨が降ったりやんだりの天気なので人影もまばらだ。 海岸に隣接するインフォメーションセンターは2014年に建てられた、まだ新しい木造のオシャレな建物だ。

初めての旅②~久慈・八戸弾丸ツアー~

2017 年8月18日(金) 金曜日、仕事を終えて、いったん帰宅。シャワーを浴びて、荷物を持って東京駅へ向かう。T先生と落ち合い、八重洲口のバス乗り場を目指す。バスは富士急バス。乗ってみると、ごく普通の4列席の大型バスで、日帰りならこれでもいいけれど、10時間乗ると考えるとちょっと狭い気がする。とはいえ、1週間の疲労もあり、ろくに会話もしないまま寝てしまった。 外が明るくなり、目が覚めると、バスは東北自動車道の紫波サービスエリアに停車していた。もう岩手県に入っているわけだが、

初めての旅①~久慈・八戸弾丸ツアー~

今でこそ、会えば「次はどこへ行こうか」が話のテーマになるT先生と私だが、私たちが初めて旅らしい旅に出かけたのは2017年の夏のことで、そう古い話でもない。記憶の断片を拾いながら、最初の旅を振り返ってみたい。 2017年7月のある休日。茹だるような暑さを避けて、私たちはいつものようにドトールでアイスティーを飲みながら、たわいもない会話を交わしていた。その時だった。きっかけはよく覚えていないが、私が「この時期になると三陸にホタテとウニを食べに行きたくなるんですよね。岩手の久慈の

象潟&三種への道⑬

天然のクーラーで体が芯まで冷えたところで、車へと戻る。 次はどこへ行こうかとこれまた場当たり的に調べ、にかほ高原の「土田牧場」を目指すことに。車で30分ほどの場所のはずだが、その道はかなりの坂道で、途中からは霧まで出てきたため、「高原って標高の高いところにあるんだねぇ」などと当たり前のことを改めて確認し合う。 ネットの情報では「アルプスの少女ハイジの世界」という感想が寄せられていたが、なるほど、周囲には草原が広がるばかりで、その中にポツンと佇む土田牧場は確かにハイジっぽい。少

象潟&三種への道⑫

午前11時、道の駅象潟「ねむの丘」に到着。Googleで「象潟 牡蠣」と入力すると、まず出てくるのがここだ。 平日の午前中だし、そこまで混んでいないと思っていたが、広い駐車場は車で埋まっている。 「牡蠣」の幟の翻る建物に入ると、すぐに牡蠣をはじめとした地元の水産物を扱うお店が並んでいる。予想外の活気に圧倒されながら奥へと進んでいくと、ラーメン屋さんやイタリアンなんかもあり、天井の高いホールのような場所でみんなテーブルを囲んで思い思いに何か食べている。 中国人や韓国人も多い。家

象潟&三種への道⑪

入道崎灯台は男鹿半島の北端にある。 芝生に覆われた公園のような場所に、白と黒のしましまの灯台が映える。 ただ、時間帯の問題か、人影はほとんどない。海鮮を売りにしたお店も並んでいるが、みんな閉まっているため、全体にかなり寂しい雰囲気だ。店自体も寂れた感じで、昭和の観光地、というのがぴったりくる。海の目の前とはいえ、ここで本当に鮮度の良い海鮮が食べられるのかどうかは甚だ疑問だ。 近くにオブジェがあるのを見つけたので近づいてみると、北緯40度を示すものだった。目の前に広がる日本海を

象潟&三種への道➉

さて、「なまはげ館」だが、カーナビに電話番号を入れようとスマホで「なまはげ館」のサイトを確認したところで「なまはげ館」の閉館時間が17時だということに気付いた。 この時点で時間は15:50。カーナビの到着予測は17:10を指している。「間に合わないかもしれません」というと、T先生が「秋田に来てなまはげは外せない。絶対に間に合わせる」とアクセルを踏み込んだ。 そこからは時間との競争だった。曲がりくねった山道や細い田舎道をT先生はためらいなく、ぐんぐん進んでいく。カーナビの到着予

象潟&三種への道⑨

「ドラゴンフレッシュセンター」を一通り眺めた後、三種町の北にある能代に住むT先生の叔母様に電話をしてみることにする。すると叔母様は車で10分ほどのところにある美容院に来ているというので、その美容院を目指すことに。叔母様ご夫婦と美容院の駐車場で20分ほど話す。 美容院というからてっきり髪を整えに来ているのかと思ったが、そうではなく、自宅で使っていない食器などをこの美容院の店主宅に譲りに来たのだそうだ。立派な柳行李の中には洋食器や和食器など大量の雑貨が詰まっている。「今のうちにや

象潟&三種への道⑧

約束の1時間が経過し、おじさんが戻ってきたところで私も岸に上がる。 おじさんにじゅんさいの入ったバケツを渡すと、ビニール袋に移してくれる。 中身を見たおじさんは「楽なのばっかだな」という。どういうことかと訊くと、「茎ごと切って探さないとちゃんとした小さなじゅんさいは取れない。これは水中から見えるところにある楽なやつばかりだ」ということらしい。なかなかの酷評に少しがっかりしていると「大丈夫。最初はみんなそうだ。来年また来ればいい」と慰めてくれたので、調子に乗って「いつが一番いい

象潟&三種への道⑦

さて、本題のじゅんさい摘みだ。 船から身を乗り出すようにして水中を覗くと、確かにくるんと丸まった若芽が見える。慎重に手を伸ばし、習った通りに茎を掴むが、この茎が意外と堅い。仕方なく若芽だけを摘もうと指を伸ばすが、想像以上のぬめりに阻まれ、そう簡単に摘み取ることができない。 しかも少し気を抜くと、船が動いてしまって、狙ったじゅんさいが分からなくなる。 「おじさんは鳥小屋に行ったんですよね」「つまりそこでこれから一羽絞めるってことだよね」…最初こそT先生ともぽつりぽつり話していた

象潟&三種への道⑥(ようやく三種)

9時過ぎに店を出て、一路、三種町を目指す。 約2時間かけて三種町の「道の駅ことおか」に到着。観光案内所で受付をすると、目指すべき農園を教えてくれる。 そう、三種町のじゅんさいは基本的には水深60㎝ほどの人工の池(地元の人は沼と呼ぶ)で栽培されている。 摘み取り体験ができるのは5月上旬から8月中旬とされているが、受付の女性によると、今年は5~6月の天候不順の影響で、あまり出来が良くないという。女性は「今頃だとがんばってもバケツ一杯も取れないみたい」と同情してくれるが、じゅんさい

象潟&三種への道⑤

2019年7月27日(土) T先生と新宿駅の南口で合流して、バスタ新宿21:55発秋田行きのバスに乗車。今回は初めて、乗り心地の良さに定評のあるウィラーバスにした。 T先生いわく「各席に付いている゛覆い″がいいんだよね」とのこと。どんなものかと思っていたので、席に着いたところでさっそく確認する。 なるほど、乳母車の幌のような感じだ。光を遮ってくれるし、寝顔も隠してくれる。こういうちょっとした気遣いが顧客満足度の高さの理由なのだろう。 出発と同時に始まるバスの運転手さんのあいさ

象潟&三種への道④(ちょっと脱線)

ここで一つ書いておかなければならないことがある。それは「秋田犬スポット」についてだ。 「秋田県で秋田犬に会いたい」と調べてみたが、これまたインターネットでは詳細な情報が得られなかったため、思い切って「秋田犬ふれあい処in千秋公園」を運営していると思しき秋田県の観光課に電話をかけてみた。 電話に出た観光課の女性職員は、千秋公園には3頭の秋田犬が日替わりで出勤していること、5月から10月の間はほぼ毎日営業していること、営業時間は午前11時から午後3時までであること、周囲でイベン

象潟&三種への道③

「象潟の岩ガキというのも食べてみたいです」、そうLINEで送ると、T先生は「きさかた、秋田の下の方は行ったことない」とのこと。 さらっと難読地名を読みこなしているあたり、やはり秋田のDNAの持ち主だと思う。その後、仕事先の秋田出身の方から、「きさかたのカキは美味しいらしい。6月なら象潟のカキと山形のさくらんぼのはしごがおすすめ」という情報まで入手してくれた。 確かに6月の秋田→山形旅行は魅力的ではあるものの、そんな相談をしている時点で6月も半ばという状況だったため、6月の旅は