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大人だって夢はある

 きのうの父との会話を振り返ってみた。

 コロナのワクチンを打つ気がサラサラない私に、バカの一点張りだった父。それに対して私はご丁寧にもいちいち反発していた。私が言い返せば言い返すほど、ニヤニヤとそれは楽しそぅに私をバカ呼ばわりした。

 それで気づいた。父は私が反発するのを楽しんでいたのだ。だからしつこくバカバカ言ってきたのだ。

 これを改善するにはどうしたらいいのか、頑張って考えてみた。

 思いついたのは仏陀様のエピソードだった。仏陀様と「様」をつけるのは私が仏教徒だからではない。仏陀様への尊敬から「様」を付けずにはいられないからだ。

 だって仏陀様は、当時の権力者が仏陀様を悪い奴だと排除を企んだけど、よくよく考えたら良いことばかり言っていて悪くないと改心させたのだ。

 うろ覚えのエピソードだけど、当時は髪を束ねるのが常識なのに束ねていないだとか、当時主流の神様を崇拝していないだとか、いちゃもんをつけて懲らしめてやろうと思ったのに、仏陀様が普段民衆に説いていることを一つ一つ吟味したらいいことばかりで、悪いことなどしていないと気付いたという話だった。

 普段の行いの良さのおかげだとも解釈できるのだけど、私はこう思った。

 仏陀様は絶対に反発をしないから、意地悪な人たちは静かになったのだと。

 と言うのも、仏陀様のお弟子さんが托鉢に行って乞食として謗られたと嘆いたら、仏陀様は自分は毎日謗られていると言ったそうで。毎日謗られていても、謗られることに仏陀様は微塵も反発していなかった。

 反発しないエピソードはまだある。アングリーマーダーと言う499人殺した殺人鬼が、500人目に仏陀様を殺そうとした。ところが仏陀様を殺すどころか帰依して解脱したと言う。

 どうしてアングリーマーダーは殺さなかったのだろう。不思議だったのだけど、これも仏陀様が反発をしなかったからじゃないだろうか。

 499人殺している殺人鬼、しかも自分を殺そうとしているののに、彼をそのまま受け入れた。499人殺したことも自分を殺そうとするその心も、一切否定しなかった。だからアングリーマーダーは殺意を失ったのではないだろうか。

 人を傷つける人間は、傷つけられた相手が反応するのが楽しくって仕方ない。反応して欲しくて傷つけてくるのだ。それは裏を返せば反応しなければ傷つけられないということで。

 仏陀様は一切反応をしなかった。解脱されているからそれが可能だったのだと思う。と言うか、解脱とは反応しなくなることなのかもしれない。無の境地に至ることが解脱なのだから、反応も無いということだろうから。

 父がバカバカ言って来るのを黙らせるには、私も反応をしないようにしたらいいのかもしれない。つい思わず言い返してしまうけど、ぐっとこらえてみようと思う。

 そうやって耐えて耐えて頑張れば、いつか木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)様みたいになれるかもしれない。

 仏陀様じゃないのかと思われただろうか?

 YES!

 目指すは木花咲耶姫命。私のイメージでは、塵ひとつない澄みきった心。どんな意地悪な人間の熱にも絶対に溶けない、そんな冷たさを持った氷のような心。それが木花咲耶姫命だ。

 そんな心を目指して木花薫耶姫命(このはなかおるやひめのみこと)になりたい。

 祀られたいとか社が欲しいとかそういうことじゃなくて、宝石よりも美しい心が欲しい。

 この新しく授かった夢へ向けて、日々父の謗りに耐えていこうと思う。

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