30-4 梅すだれ 御船/木花薫
それ以来小佐井は三月に一度は食べに来るようになった。三人前をぺろりと平らげて三倍の値の銭を置いていくよい常連客となっている。
ある日、部下と思われる二人の侍を連れてきた。一人はお滝たちと年の変わらぬ二十歳くらいの若者で、もう一人は三十歳くらいの男であった。
年上の男の方には見覚えがあった。一人でたまに食べにくる。マサが言うにはこの男は島津の動きを監視しているのだそうだ。
大友家は九州の半分に当たる北と西を支配している。肥後の東には九州の1/4を占める日向の国がある。そし