長編時代小説「梅すだれ」de 創作大賞2024 其ノ壱
徳川三代将軍家光公御時のこと。
甲斐の国の山間にある小さな村にお千代は生まれた。
お千代の両親、紗代と幹助は幼馴染で、紗代が千代を妊娠したことを機に男手のない紗代の家に幹助が住むようになった。
紗代の母である喜代は、これまた幼馴染の豊吉と結婚し、五人の子を産んだがどれも娘で二人は幼くして死に、残った三人のうち二人は村の男に嫁いだ。残った末娘の紗代と三人、畑を耕しながら細々と生きていたのだけれど、豊吉は二年前に山で怪我をした。そしてそれが元となりあっけなく死んでしまった。突