知の伴走者 今 智司

新規アイデアをビジネスで使えるカタチにするために、ベンチャー企業やスタートアップ企業、…

知の伴走者 今 智司

新規アイデアをビジネスで使えるカタチにするために、ベンチャー企業やスタートアップ企業、中小企業の顧客に伴走して日々奮闘する知の伴走者、今知的財産事務所を経営する弁理士です。知財って何?という方にも分かりやすい知財関連情報をお届けできればと思います。

最近の記事

権利のみでビジネスはできない

特許権や商標権等の知的財産権を持っていなくても、第三者から取得さえすればビジネスはうまく回るでしょうか? ほとんどの場合、権利だけではビジネスは回りません。ビジネスは実に数多くの要素から成り立っています。例えば、商品・サービスのサプライチェーンを構築する必要がありますし、サプライチェーンを構成する様々な要素も適切に構築し、維持・管理して運用していく必要もあります。その他にもいろいろありますが、今回は割愛します。 そのような様々な要素の1つに、知的財産権の裏に隠れており、権

    • 知財に問題が発生する原因~昔からの慣行を放置~

      知財に関し、例えば、他社の権利を侵害してしまわないか?というような何らかの問題が発生する場合、そこには大きな原因が存在しています。 その原因の1つとして、昔からの慣行を放置していることが挙げられます。 例えば、これまで知財について何も問題が生じたことがないからこれからも問題ない、と考えたくなる傾向が人間にはあると思います。 特に、同じ企業や同じ業界で長年働いてきた人は、意識して企業や業界の外の情報に触れない限り、これまでと同じように過ごすことができると考えがちです。

      • 特許出願の非公開制度

        令和6年5月1日から、特許出願の非公開制度が始まります。 この制度は、特許出願の明細書等に安全保障上、問題となり得る技術情報(いわゆる、「機微情報」)が含まれており、その機微情報が公開された場合、我が国や国民の安全が脅かされる技術であることが想定される場合には、保全指定手続によって出願公開や特許査定、そして拒絶査定等の手続が留保される制度です。 また、この制度では日本を第一国とした出願の義務(外国出願の禁止)も定められています。 このような制度の概要及びその盲点について

        • 特許出願の「みなし取下げ」

          特許に関し「みなし取下げ」や「取下擬制」という、日常では耳慣れない用語があります。中小企業の方々だけでなく、大企業でも部署によっては日頃から特許に携わっているわけではないので、初めて特許に携わるというような場合、「みなし取下げって何?」と疑問に思われる方が多いと思います。そこで、「みなし取下げ」について、簡単に説明しようと思います。 1.特許出願しただけでは権利化できない特許を取得するためには、まず、どのような背景のもと、どのような発明をし、その発明は具体的にどのようなもの

        権利のみでビジネスはできない

          他社特許が自社事業の障害になりそうなとき

          他社や第三者が特許権を取得し、その特許権の対象である発明が自社事業の障害になるのではないか?という状態が発生することがあります。 その場合、まずは慌てず騒がず冷静に、本当に障害になるのか?障害になるのであればどうするのか?を考えることが重要です。 法務部や知的財産部がある企業等であれば慌てることはないと思いますが、そういった部署のないベンチャーや中小企業等では慌ててしまうかもしれません(時には、ついつい感情論に走ってしまうこともあるかもしれません)。 しかし、ビジネスを

          他社特許が自社事業の障害になりそうなとき

          発明の「種類」

          皆さんの周りのそこかしこに様々な発明が存在しています。 スマートフォン1つとっても、スマートフォンを構成する各種の部品に発明が含まれていますし、様々な機能を実現するプログラムにも発明が含まれています。普段使う物やサービス、そして食品等、実に様々な「発明」が存在しています。 ただ、「発明」と一言で言っても、実はいくつか種類があります。 発明の種類それが、「物」の発明と「方法」の発明です。 更に「方法」の発明は、「単純方法」の発明と「物を生産する方法」の発明とに分かれます。

          「ドローン」+「食べられる」=?

          「発明する」というと、何か難しい印象があるかもしれません。何か特別な才能が必要なのか?とか、先端技術を扱っていなければ発明は生まれない、というようなイメージもあるかもしれません。しかし、既にある技術であってもその使い方によっては新たな発明が生まれることがあります。 食べられるドローンドローン。ただ飛ぶだけでなく、カメラや各種センサを搭載したり、物を運んだり等することができるので、既に様々な分野での応用が考えられています。特に、人間が簡単には立ち入ることができないような場所や

          「ドローン」+「食べられる」=?

          技術を広めるためにあえて特許を取るという考え方

          弁理士という仕事をしていると大学の仕事をすることもあります。そして、よく出てくる話が「特許は独占排他権。発明を独り占めするのはけしからん!」という話です。「確かになぁ。独り占めは良くないなぁ。」と思うかもしれません。よい技術であればあるほど世の中に広まるべきであるから、特許権等の独占排他権は取得するべきではない、ということですね。 そう思ったあなたは良い人です。しかし、世の中、良い人ばかりではありません。例えば、ある技術について特許権を取得しなければ、本当に世の中にその技術

          技術を広めるためにあえて特許を取るという考え方

          発明とアート、意外と関係は深い?

          秋元雄史著「アート思考」(プレジデント社)という本では「アート思考」について説明されています。 アートは人々を幸福にするために追及されるものであり、本質的な部分で共感を起こしているとのこと。そして、アート思考は「何が問題なのか」といった問いから始めるのが特徴であり、既存のものとは全く異なる発想を行う時に求められ、ゼロから何かを生み出す思考方法であると同書では説明されています。 「何が問題」であるか考え、「既存のものとは全く異なる発想」というところなどは発明が創り出される過

          発明とアート、意外と関係は深い?

          発明の新規性とは何か?その真実に迫る?!

          昔、自分がやりたいことを見つけるためには、自分がやりたくないことを挙げていき、残ったものが自分がやりたいことだ、というような内容を何かの本で読みました。確かに、何かを決定する場合にその「何か」がよく分からない場合、その周りから埋めていく、という方法がうまくいくことがあります。 特許法における発明の「新規性」にも似たような考えがあると(個人的には)思います。 まず、発明の新規性皆さんがした発明について特許を取得するためには様々な特許法上のハードルを越える必要があります。その

          発明の新規性とは何か?その真実に迫る?!

          発明の種ってどこにあるの?

          4月18日は「発明の日」です。現在の特許法の基になった「専売特許条例」が公布されたことを記念として定められたそうです。 発明以外にも意匠や商標、著作権等、知的財産は色々あるので「知財の日」にしてもいいかもしれません。しかし「発明」がメインになっているのは、発明が生まれて特許になり、特許が社会で活かされることにより社会はどんどん便利になってきたという側面があるので、やはり多くの人にとって発明が果たしている役割が大きいことが影響しているのかもしれませんね。 ところで「発明」は

          発明の種ってどこにあるの?

          先願主義のお話

          弁理士が登場する日テレのドラマ「それってパクリじゃないですか?」が2023年4月12日に始まり、知財業界では話題になっています。知的財産を扱い、しかも弁理士が前面に出てくるドラマはほとんどないので、少しは弁理士の知名度も上がるかも? 第1話では特許が扱われ、「先願主義」も出てきました。 https://www.ntv.co.jp/sorepaku/story/01.html 今回は「先願主義」についてちょっと説明してみます。 先願主義とは例えば、Aさんが発明Aをし、Bさ

          猫さんを「感じる」技術

          猫好きの方々は多いと思いますが、全ての人が猫さんと一緒に暮らせるわけではありません。マンションやアパートなどでは規約によって一緒に暮らせないこともあります。時には猫さんから癒しをもらいたいと思い、猫カフェに行く人もいるでしょう。 そういった猫好きには見逃せない?技術開発がなされています。 アナログ技術とバーチャル技術の融合による「猫撫で体感」 猫を撫でたときの気持ちいい感覚、いいですよね。しかし、猫が身近にいなければ触ることはできません。 では、バーチャルではどうか?と

          猫さんを「感じる」技術

          中小企業が抱えている実際の課題

          私は弁理士として主に中小・中堅企業やベンチャー企業のお客様とお仕事をしています。ここで、「中小企業」や「中堅企業」、そして「ベンチャー企業」というコトバを見て何をイメージするでしょうか? 色々なイメージがあると思いますが、例えば「中小企業」というと、実際はそうではないにもかかわらず、大企業と比べてマンパワーが不足して知名度が低く、下請けが多い等々のイメージがわくかもしれません。このようなカテゴリー付けによって人はついつい「○○といえば、△△だ」と決めつけてしまいがちです。

          中小企業が抱えている実際の課題

          身の回りに知財はたくさん転がっている

          企業等で特許や商標等に携わっていない限り、「“知財”って耳にすることがあるけど、自分には関係ないだろう」と思う方々は多いと思います。しかし、本当にそうでしょうか? 今回は、実は誰もが、毎日、知財を「使ったり」、「創ったり」していることを見てみます。 (※最初に書いた記事は分かりにくかったため、書き直しバージョンです) 身の回りに隠れている知財皆さんも色々と経験を積んできていまに至ると思います。企業でいろいろとモノづくりや何らかのサービスを提供する仕事で経験を積んだり、企業

          身の回りに知財はたくさん転がっている

          自己紹介 とある弁理士がnoteを開始したワケ

          ご覧いただきありがとうございます。弁理士の今 智司です。現在、知的財産を扱う事務所を経営しています。noteにアカウントを作ったはいいもののまだ何も書いておらず、まずは私が何者かを紹介しようと思い、キーボードをたたき始めました。「自己紹介」、「noteを始めた理由」、「noteで書こうと思っていること」が今回のテーマです。 自己紹介~陸上長距離と高校時代がいまに活きている?まずは私のごく簡単なプロフィールです。 北海道の函館生まれ、埼玉県育ち。中学、高校では陸上の長距離をし

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