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発明の種ってどこにあるの?

4月18日は「発明の日」です。現在の特許法の基になった「専売特許条例」が公布されたことを記念として定められたそうです。

発明以外にも意匠や商標、著作権等、知的財産は色々あるので「知財の日」にしてもいいかもしれません。しかし「発明」がメインになっているのは、発明が生まれて特許になり、特許が社会で活かされることにより社会はどんどん便利になってきたという側面があるので、やはり多くの人にとって発明が果たしている役割が大きいことが影響しているのかもしれませんね。

ところで「発明」はどのような感じで生まれてくるのでしょうか。今回は、その辺りをちょっと見てみます。

まずは発明の例

発明はそれこそ星の数ほどありますが、分かりやすい例を3つだけ見てみます。

1)傘の袋収納装置

お店等の入口に濡れた傘をビニール袋に入れる装置が置いてあるのを見たことがあると思います。実際使ったことがある人も多いでしょう。

この装置は「傘の袋収納装置」として特許権が成立していました(特許2562806。但し、現在は存続期間満了により、権利消滅)。

2)プライヤ

工具を使っている人は知っているかもしれませんが、ヘッドが潰れたネジや錆びたネジなど、普通のドライバーでは対処できないネジをつかんで回転させることができるプライヤが販売されています。

このプライヤにも特許権が成立しています(特許3486776特許4471315。ただし、現在は存続期間満了により特許3486776は消滅)。

3)剥がせる塗料

東京都大田区の特殊塗料を製造販売する太洋塗料株式会社は剥がせる特殊塗料の技術を有しているのですが、デザイナーと協業し、消費者向けの「剥がせる」塗料を売り出しました(特許はないようです)。「マスキングカラー」という塗料です。ちなみに「マスキングカラー」は同社の登録商標です(商標登録第5575562号商標登録第5595885号)。

これは、ホワイトボード等に絵や文字を書くと、その形のまま剥がすことができ、かつ、剥がした後、再びホワイトボードに貼り付けることができるものです。この商品は第26回の大田区中小企業 新製品・新技術コンクールで最優秀賞を獲得しています(→記事はこちら)。

もちろん、これら以外にも極めて多くの発明が存在していますが、上の例は発明を見つけるためのポイントを示唆しているので取り上げました。それでは、そのポイントとはなんでしょうか?

発明がどのように生まれたか?

「傘の袋収納装置」では、発明者が、濡れた傘を傘袋に入れるのに苦労していた老婦人を目にしたことをヒントに創出されました(日本弁理士会の「ヒット商品はこうして生まれた(令和元年度改訂版)」参照。)。


また、「プライヤ」の例では、他のプライヤの愛用者カードに記載されていたユーザーのコメントをヒントに開発されました(日本弁理士会の「ヒット商品はこうして生まれた(令和元年度改訂版)」参照。)。

更に、「剥がせる」塗料については、大田区産業振興協会HPの上記記事から考えると、デザイナーとの協業により、これまでBtoBで考えてきたコンセプトとは異なるコンセプトを考え、自社技術を活かした新商品として開発しています。

発明が生まれるポイント

上の例から何が言えるでしょうか?

それは、
1)顧客が抱えているボトルネック(課題や問題、欲求)に着目する
2)これまでにないコンセプトを創造し、チャレンジする

のいずれかがポイントであることです。

もちろん、
3)研究開発の結果得られた技術を市場に展開する
という道もあります(例えば、基礎研究をもとにした技術等)。

しかし、3)の道であっても、企業が市場で成功する確率をアップさせるには1)や2)のポイントがとても重要です。

特に、「発明なんて思いつかないよ」という場合、是非1)のポイントに着目してください。

1)では、人々の行動や業務の流れをよく観察し、人々がどのようなことに困っているのか?何が要求されるのか?を考え、それを解決することで知発明が生み出されています。当たり前かもしれません。しかし、当たり前のことを当たり前に「愚直に」実行すると、道が拓けるかもしれません。

これは何も「顧客」の問題に限りません。

皆さん自身や皆さんの家族や友人に何か困ったことはないでしょうか?その困ったことに気が付き、「こうしたらいいんじゃないか?」と考えた時点で「発明」は生まれます。

こうしてみると案外「発明」は身近にある気がしませんか?


東急目黒線から三田線直通で御成門駅近くの今知的財産事務所!
 弁理士 今 智司
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