マガジンのカバー画像

ひとり映画祭

33
観た映画の記録。
運営しているクリエイター

#洋画

世界が広がる瞬間|スタンド・バイ・ミー

世界が広がる瞬間|スタンド・バイ・ミー

小学生の頃、わたしの世界は『家』と『学校』で成り立っていた。
学校でイヤなことがあれば行きたくなくなり、けれど体調が悪いわけでもないので親には明るく送り出されてしまう。トボトボと登校するわたしの中に「学校に行かない」なんて選択肢は存在しなかった。今いるこの世界でどうにか上手くやっていくしかない。子どもながらにそう思っていた。

中学生になり『ライブハウス』に行くようになってわたしの世界は広がった。

もっとみる
コロシアムはSNSのよう|グラディエーター

コロシアムはSNSのよう|グラディエーター

最後まで観られるんだろうかとドキドキしながら2001年アカデミー賞作品賞を受賞した『グラディエーター』を観ました。ドキドキというか、もはや動悸。
作品賞以外に音響賞(録音賞)、視覚効果賞、衣装デザイン賞、主演男優賞(ラッセル・クロウ)も受賞しています。

「最後まで観られるんだろうか」というのは内容があまり得意なタイプのものではなかったから。奴隷として人がお金で買われ、命を賭けた戦いの場に出され、

もっとみる
醜く、そして美しく|アメリカン・ビューティー

醜く、そして美しく|アメリカン・ビューティー

今年から使い始めたSUNNY手帳には『MY WATCH LIST』のページがあり、観たい作品を24作品分書けるようになっています。
わたしが書いたのは2000年から2023年のアカデミー賞作品賞のタイトル。毎年3月に発表されるため今年の分は後から書き込む予定です。アカデミー賞には「大賞」が無いので、数ある賞の中から注目度の高い「作品賞」に絞ってみました。

『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のス

もっとみる
まるで幽霊の擬似体験| A GHOST STORY

まるで幽霊の擬似体験| A GHOST STORY

映画『A GHOST STORY』を観ました。

台詞の少ない映画です。
主人公は冒頭で亡くなり、幽霊になるのですから。

これは亡くなった主人公が妻を見守る物語です。

1.33 : 1
この映画は「スタンダードサイズ」と呼ばれるアスペクト比で制作されています。アナログテレビの比率と同じ、と書くとイメージしやすいでしょうか。
1.33:1の四隅が丸くなった画面で映画が映し出されます。

通常より

もっとみる
エル・ウッズにはピンクの戦闘服

エル・ウッズにはピンクの戦闘服

ピンクの服を最後に着たのはいつだっけ。
考えてみても思い出せないほど、わたしとピンクの関係性は希薄だ。

普段取り入れない色こそ足元に、なんて文言を鵜呑みにしてコンバースの真っピンクのスニーカーを履いていた時期はあった。あれはいつだっただろう。やけに足元だけが目立っていて、だけど結構気に入っていた。

グロスも、チューリップも、ランドセルも、それからマイメロディも、ピンクより赤が好きだ。

だけど

もっとみる
「すべてをこえて愛してる」

「すべてをこえて愛してる」

観終えてからいつまでも内容を引きずる映画は久しぶり。

『ビューティフル・ボーイ』

美しいタイトルとポスターに惹かれて再生ボタンを押してしまわないようにご注意を。これ爽やかなストーリーじゃないですよ、覚悟してから観たほうが良いですよ。わたしは覚悟したにも関わらず観終えてから今でもずっと引きずっています。

さて突然ですがティモシー・シャラメは好きですか?
わたしは好きです。

最初に知ったのは『

もっとみる
平凡な風景が意味のあるものに変わる魔法

平凡な風景が意味のあるものに変わる魔法

音楽がこの世にあって良かった。

数々の好きな歌、ヒーローのような存在のアーティスト、同じバンドを好きな友達、学校では習わないことを教えてくれたライブハウス。

音楽がわたしの日常に彩りを与えてくれている。
音楽のお陰で息をするのが楽になったことだってある。

悔しくてたまらない朝に下唇をギュッと噛み締めながらボリュームを上げて聴いたクリープハイプのアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』

もっとみる
忘却はよりよき前進を生む

忘却はよりよき前進を生む

タイトルは哲学者・ニーチェの言葉から。

忘れてしまいたいことを忘却することが出来たら人生よい方向に前進していくものなのでしょうか。

魚の骨が刺さったようにチクチクと残る嫌な記憶。

その忘れたい事柄だけをうまくスポンと頭から忘れることが出来たのなら、どんなに楽だろうと思う。
記憶と感情は結び付いているものなんだろうか。そんな気がするけれど、文系だから脳の構造とかの詳細までよく分からない。

もっとみる
誰もがこじらせて、大人になった

誰もがこじらせて、大人になった

10代の女の子はまさにモンスターのよう。

感情も気分もくるくる変化する。
さっきまで「ああもうっ!」ってムカムカしていたかと思えば、次の瞬間には手を叩きながら笑っちゃったりしている。

さて、こじらせ女子という言葉でピンとくる映画といえば『勝手にふるえてろ』が挙がるのではないでしょうか。

わたしはこれを観てヨシカ(松岡茉優)の気持ちが痛いほどに分かってしまい「あれ、自分もこじらせてるのか」と思

もっとみる
もしも時間を止められるとしたら

もしも時間を止められるとしたら

時間操作は科学ではなく
個人の意識で起こる

失恋直後の時間経過がいつもよりも遅かったり
好きなバンドのライブがあっという間に終わったり
仕事中に時計を見てもなかなか針は進まなかったり
映画を観ているといつの間にか2時間が経っていたり

全員が毎日同じ単位で過ごしている時間。
いつもより仕事が終わるのが早く感じただとか、いつもより時間が進むのが遅く感じただとか、そういう誰しもが時間に対して感じたこ

もっとみる
インスピレーションは無限

インスピレーションは無限

1月1日、今年最初の映画は50分のドキュメンタリー。

ポール・スミスを知ったのは恋人へのプレゼント選びが最初だった気がする。結局わたしが恋人に贈ったことは無いブランドだけど、個人的にはとても好き。
メンズブランドなんて分からないよ〜と思っていたわたしでも「あ、可愛い」と思った最初のメンズブランドだったように思います。デザインから感じる遊び心が好き。このドキュメンタリーを観ると、その遊び心はそのま

もっとみる
きっと君はたどり着ける

きっと君はたどり着ける

沈みそうな舟で 家を目指そう
まだ時間はあるから
希望の声をあげろ 自分で選んだ道だ
きっと君は辿り着ける

(Falling slowly)

今年『シング・ストリート』を観てガツンと衝撃を受けた訳です。なんだこの映画は、と。こんなに面白い映画があるのかと。
生まれて初めて映画のサントラを購入。洋楽のCDを買ったのも初めてでした。おそらく今年いちばん聴いているアルバムになったんじゃないか

もっとみる
命の洗濯になる

命の洗濯になる

旅行の予定をたてた直後の会話。

「命の洗濯になる」
「きっとね」

う〜ん、たまらん!
わたしも「命の洗濯」になる旅行がしたい!

美しき、迷える“羊飼い”の主婦ブリジット。おひとりさまで行く、恋の都パリで出会ったものとはーノルマンディーで農場を営む夫婦のブリジットとグザヴィエ。子供が巣立ってからというものの、穏やかで幸せだけど平凡な毎日。遊び心を忘れないブリジットは、変化をもたらそうと努力をし

もっとみる
夢を本気で追いかけた経験ありますか?

夢を本気で追いかけた経験ありますか?

黄色のワンピース、赤いバッグ、青いヒールの靴。
紫色の綺麗なグラデーションの夜空の下で踊る男女。

上記の予備知識だけで『ラ・ラ・ランド』を観て、わたしは夢を本気で追いかけたことが無いことに気が付かされてしまったのでした。
ミュージカル映画を観て、まさかこういう気持ちになるなんて。

夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア<エマ・ストーン>は女優を目指していたが、

もっとみる