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マゾヒズム関連

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痛みのアーカイブ

痛みのアーカイブ

 「苦しみの総和のようなものは存在しない。われわれがひとりの人間が体験しうる最大限の苦しみに達したときには、疑いなく、大変恐ろしいものに達したのであり、宇宙に存在しうる苦しみのすべてに達したにちがいない。百万人の苦しむ人間どうしを足しあわせても、その痛みを加算することにはならないのである」。
C.S.Lewis,”The Problem of Pain”(New Yrok:Macmillan,19

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マゾヒズム論の歴史についての簡単な覚書

マゾヒズム論の歴史についての簡単な覚書

 マゾヒズムという語は、精神科医のクラフト=エビングが1886年に刊行した著書『性的精神病理』の中で初めて現れる。語の定義と共に、数々の症例が提示され、考察が加えられている。クラフト=エビングのこの本は大きな影響力を持ち、後にフロイトが『性の理論に関する三つのエッセイ』(1905年)、『子供が打たれる』(1919年)においてマゾヒズムに言及し、フロイトのマゾヒズム論は『マゾヒズムの経済論的問題』(

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マゾヒズムとは何か?のための補稿1

マゾヒズムとは何か?のための補稿1

 マゾヒズムは苦痛の中に快楽を見出すとされている。この前提があってこそ、他者に苦痛を与えることを快とするサディズムと、苦痛を与えられることを快とするマゾヒズムは相補的な関係、互いに変転可能なものであるとみなされている。しかし、本当にそうだろうか。マゾヒスティックな嗜好を持つ人間が、ありとあらゆる苦痛に対して、無条件に快楽を引き出すことが可能であるなどと考えることは妥当であるか。

 生活実感と照ら

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なぜマゾヒズムなのか

なぜマゾヒズムなのか

 こんにちは。先々週からnoteを始め、5日連続更新と快調な滑り出しを見せ、毎日更新するのかと思いきや、先週まったく記事を書きませんでした。その間何をしていたのかというと、DLチャンネルというサイトでマゾヒズム関連の記事をひたすら書いていました。面白いので読んでみてください。

 なぜ突然マゾヒズムなのか。僕がマゾヒズムについて書く理由は、だいたい百個くらいあって、一つ目は単純に性癖であること。二

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