マガジンのカバー画像

小説 桜ノ宮

33
大人の「探偵」物語。 時々マガジンに入れ忘れていたため、順番がおかしくなっています。
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

小説 桜ノ宮 ⑥

小説 桜ノ宮 ⑥

広季はいつものように施設のロビーでコーヒーを飲みながら母春子が来るのを待っていた。

コロナ騒ぎの影響か、いつも家族との面会でにぎわっているロビーは閑散としていた。流れているクラシック音楽も心なしかもの悲しい。椅子に深く座り直し、庭に目をやるが人っ子一人いなかった。

コロナのせいで世の中はどんどん変わっていっている。今までズルズルと後回しにしていたことが一気に取り入れられるようになっていた。在宅

もっとみる
小説 桜ノ宮⑤

小説 桜ノ宮⑤

紗雪のスマホにピュアフルスタッフの初芝から連絡があったのは、初出勤の前日、花冷えのする夕方だった。
「市川さん、今いいですか」
母親が入居している施設への支払いの件で、今夜、紗雪は久しぶりに父親と会う約束をしていた。梅田で夕食をともにするため、何を着ていくかクローゼットの中からワンピースを選んでいる最中に電話がかかってきた。
「はい、大丈夫ですけど」
黒いスリップにストッキング姿で、鏡台の前にある

もっとみる

プロットも作らず勢いで書き始めた小説・桜ノ宮の続きをそろそろ書きたいと思い、マガジンを開けて最初から読もうとしたら1話が登録されていなかった。自分の書いた小説を検索して探す羽目になるとは。それにしてもあの2人をこれからどうしようかしらね。自分が決めるのに何だか楽しみ♪。