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それでも男を信じてすがる頑固な女のサガ

私の中国人の友人(女性36歳)は、私たちがベルリンで出会った時からそれ以降もずっとベルリンに住み続けていて、2013年から6、7歳年上のドイツ人男性と交際していました。

当初は、大学生でシェアハウスに住んでいた彼女の部屋に居座る形でずっと半同棲で、大学卒業でシェアハウスを出るタイミングで二人は同居を始めましたが、それが大誤算だったと言い、5年ほど前に会った時には同居を後悔していました。

彼はベルリン郊外で育って、両親たちも郊外にいるそうで、元々住んでいた家がベルリン都心から離れていたのも、利便性を求めてシェアハウスに転がり込んでいた一つの要因でしょう。

大学を卒業してから彼女は事業を立ち上げてそれに集中していたので、同居を後悔したり生活に不満があっても、プライベートなことに気を揉む時間がないと言って関係はぬるま湯のまま続いていました。

また、仕事や帰省で年のうち数ヶ月は中国に滞在することもあり、なおさら彼との関係性や生活のことについて向き合うことが難しかったと思います。

彼は年齢の割には計画性がなく、引越しの際も使うかわからない大荷物を持ち込んで挙句何年も場所を占拠するだけで放置していたり、
彼の家族に差別的な扱いを受けても擁護してくれなかったり、
物事を整理整頓できなかったり、
将来の展望もなく、宙ぶらりんな人です。

同居し始めて、彼の使いもしない大荷物が部屋を占領しているのを目の当たりにすると、迫り来るものがあったようで
後やっぱり、間取り的に個別の部屋がないのはきついと。
(半同棲と同棲の差なのか?本格的同居は逃げ場がない)

3年ほど前に彼女と電話した時、彼に対してはすでに恋人として期待できることもなく、性生活も退屈の一辺倒でもう日常的にはほとんど営みがなかったと言いました。
直近で中国出張時に出会った人と刺激的な性行為をして、今まで自分が彼氏としていた性行為をなおさら陳腐に感じてしまったとも。
その時点で、以前彼氏には一回プロポーズされたけど自分の思うタイミングでもなかったし、何も計画性がないのになんで?と違和感を感じて断ったと言っていました。
思い当たる節といえば彼女が30歳になったからかな?と言うことでしたが、仕事に邁進している彼女にとっては結婚するタイミングではないし、二人の関係性は不満があるまま改善も何もなく何年も過ぎているのが見過ごせなかったと。

私は、彼との関係に不満があって改善もしないし彼と将来も望めないのであれば、中途半端に浮気するより別れたら?と言いました。

だから、1年前に彼女が私に「彼と別れた」と言ってきた時は驚きました。
とっくに別れたと思っていたからです。
なぜ今別れを決めたのかと聞いたら、40代にもなって彼は将来の展望もないし子供を持ちたいかどうかもわからない、というような煮え切らない態度だったから。
確かに、10年も付き合ってきたのにこの先君と家庭を築きたいかどうかわからない、とか先が見えないとか40代の年上彼氏に言われたら、
いつか家族になりたいと願う彼女の立場からすると別れしかないでしょう。

しかし、別れ話をして彼女は別れたと思っているのに対し、彼は別れ話などなかったかのように振る舞い続けたそう。

どちらかが家を出ていくなどの話も進まず、
変わらず日常生活が続いていると。

1年前の状況としては彼女は自営業を一旦留保して、コンサルティング会社に勤めていました。
コンサルティング会社は国内外の移動も伴う激務で、プライベートの時間があまりなく、
またベルリンでは住居を探すのが至難の業で(どこの都市でも家探しは苦労しますが)彼女が家を出ていくにしてもすぐには難しいと。

それ以降たまに連絡するたびに状況確認をしましたがいまだに同居関係が続いているようでした。

そして先週、彼女からの連絡で
「彼に実家に引っ越すよう告げた」と言われ
私としては…
その選択肢があるのになぜ1年もそのおかしな状況を放置してきたの?と思いましたが、彼女が言うには

「彼が隠れて2台目の携帯を持っているのを発見した。問い詰めたら、出会い系などで女性を探して連絡を取ったり中には性行為をした人もいるらしい」
とのことですが

確かにそれは現行形式で付き合っている相手のしたことなら問題ですが、正直1年前に関係を終えていると彼女が思っているのなら、なんでその事実に慌てふためくのか?

実は、別れ話の後もこの一年、毎晩同じベッドで寝て(性行為はずっとなし)一緒に買い物に行き、料理して食事をし
最近は一緒にパリ五輪を観戦しに行こうと彼が言ってきたり、あたかも別れてなどいないかのように生活が続いていたのと言うのです。

私は呆れて、なんでそんな関係性を続けたのかと聞くと
「私は馬鹿で、やっぱりどこかでもしかしたら結婚できるかもしれないと信じる気持ちがあった。
楽しかった思い出や好きだった気持ちもあるし、10年も付き合ったんだからこの時間を信じたかった」
と言いました。


女性心理として、今現在と将来がどんなに不幸であっても、付き合っているという状況や過ごしてきた年月の良かった部分の幻想に縛られ続ける傾向があります。

第三者が冷静に考えて、すでに何年も本音で話せていない、性行為もない(したいと思えない)、将来的な計画を共有できない、けれどそれらが私には重要な項目であるならば、その相手はすでにニーズに合っていない人。
しかも、百歩譲ってまだ彼に愛情があるとか彼でないといけない部分があるならまだしも、もう愛情ではないことが多い。

まだ別れないという状況でいるだけでなく、この人と結婚できるかもしれないと思ってしまう。
それが、いくらでも自分で生活できる能力があって一人でも生きていけるのにも関わらず、女が男にすがってしまうサガです。

結婚するべきという、社会的に連綿と刷り込まれてきた呪縛はとてつもなく大きいです。

どうしても、結婚という人生の一目標に囚われてしまう女性がほとんど。

この人とずっと一緒に生きていきたい!と思うような人が現れたら結婚もいいと思いますが、
結婚することが目的になっている人の気持ちが私には全くわかりません。

どんなに不幸な交際関係の中にいても、改善することがないとわかっていても、結婚すればなんとかなるかもしれないと願い、すがる女性が多い。

別の友人でも、結婚を前提に付き合ってもう5年も経とうとしているのに、デートもほぼしないしもうずっと性行為もなければスキンシップもない相手と付き合ってる子がいて、その悪影響が彼女の外見にも出てきている状態だったのですが、それでも結婚できるかもしれないと信じてなかなか別れようとはしませんでした。


話を元に戻すと、ベルリンの友人は、金曜日に初めてはっきりと彼にソファで寝るように、そして週末のうちに実家に移るように告げました。

別れたことになっている相手と一年も同じベッドで寝続けるのもびっくりしますが、
そういうところって男ははっきり線引きできるけど女はずるずるほだされやすいのかも。

1年も引きずって何も行動していなかった結果、最終的な終わりの引き金が彼の不実だったというのがなんとも皮肉と言うか、
実際には二人の関係は彼女の中で本当には終わっていなかったということです。

いくら友人である私が、そんな不健康な状態から早く抜け出して、家探しも手伝うからひとまず同居関係は解消しなよと言っても、本人が本心で状況を変えようとは思っていなかったということ。

今までずっと彼氏がいたから一人になって自分の人生を生きることが怖い。
いくら中身が虚無でも、相手がいるという体裁は都合がいい。

長い付き合いの女友達よりも、結局のところは男に頼るんです。

それが女のサガ。

「だから言ったじゃん」ととどめを刺さずに、同情してくれる女友達がいる人はそれを幸運と受け止めて感謝するに越したことはありません。

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