みんなでやろう! ~練馬城址公園開園日を迎えるにあたって~
としまえんを事業として確立した男、小川栄一氏の言葉です。
当会はとしまえん閉園をきっかけとして、入り口に残る謎の建物、「古城の塔」を通してとしまえん開園時の背景や当時の様子を調べるところから活動をはじめました。
それを続けるうちに、としまえんは決して創業者藤田好三郎だけの力ではなく、小川栄一、堤康次郎といった歴代の経営者たちが時代に合わせる形で様々な施策を行い、紆余曲折しながら続いてきたものであることを知りました。
そして改めての歴史を伝えるシンボルとして古城の塔を保全・活用していくべきであると考えるようになりました。
当会は署名集めも行っていますが署名を出す事自体を目的とはせず、署名という形で賛同者がいる前提で、「としまえんの歴史を自分たちも調べた上で保全する価値がある建物であることを東京都に伝える」ということを行っています。
計画を立てる側の東京都を敵として批判をするのではなく、としまえんの歴史を生かした共創の道を模索したいというのが当会の考えです。
それは小川栄一氏の「善意を信じ、自分の良心に従って、人の喜ばれるようなこと」にも通ずると思っています。
としまえん跡地はメディアでは6月のスタジオツアー東京(ハリーポッターの施設)の話題でもちきりですが、明日、都立練馬城址公園として一部開園します。そして5月3日は開園記念イベントが行われます。
このイベントは今回、様々な地元団体や有志がそれぞれ自分にできることをやって参加することになっています。
その基盤を作ったのが「やってくれ」ではなく「みんなで~しよう」と人々に呼びかけ、東京都や公園協会とのハブ役を担ってきた「としまえん水と緑の公園で遊ぶ会」の人々です。
当会の岡田もそれに共感し、遊ぶ会へスタッフとして迎えていただいたほか、その考えに基づいて東京都公園協会さんに提案して実現したのが今回の歴史ツアー企画と、スタンプラリーのスタンプ台に歴史の要素を盛り込んだ解説文を設置することでした。
当初練馬城址公園の開園記念イベントは歴史的要素が盛り込まれていませんでした。その時に「みんなで歴史の要素を盛り込んでいこう」という考えができたことでこれが実現できたと思っています。
もし、ここで「歴史的要素がない」などとネット等で批判していてもこれは実現できなかったことでしょう。
練馬城址公園には現在、ハード的な整備で歴史を伝えていく要素はまだあまり計画されていません。
そもそも日本では練馬城のような、天守閣や石垣の無い室町時代のお城を歴史スポットとして伝えていくことに成功しているところは少ないと思っています。
ではその時代は無視していい時代なのでしょうか。そうではありません。我々が「歴史を学ぶ」=「石垣と天守閣があるお城を見れば満足」という固定観念から脱却しなければいけないのです。
またとしまえんは100年続いた一大事業の歴史でもあります。
東京都も経済産業省も現在、小中学生の起業家教育に力を入れ始めています。しかし小中学生に起業と言ってイメージがつくでしょうか。
練馬区であればとしまえんほど親しみやすく分かりやすい事例はないでしょう。起業家教育は座学のみであるという固定観念からも脱却すべきです。
一昔前、日本はものづくり大国でした。
しかしそれはハコモノ行政と揶揄され、作ったものに対して効果が追い付いてこない事が多々ありました。さらには日本経済が貧しくなるにつれて今やハコモノも作れない行政になりつつあります。空の箱も作れなくなった日本、これから何を作っていくべきなのでしょうか。
そこで考えたいのは市民によるソフト面からの整備です。
人の交流、移動、文化が先にあり、十分に価値が生まれたとき行政がハードの整備をする。そんな時代であってほしいと思います。
練馬城址公園は現在、見た目では練馬城の遺構を伝える施設はほとんど無く、古城の塔を維持するだけの予算も簡単にはとれない状況です。
それならば区民の力で豊島氏と練馬城の歴史を再発掘していきましょう。
としまえんの歴史を伝えるシンボルとして古城の塔が残るくらいに、としまえんの歴史を再評価していきましょう。
練馬城址公園開園記念に合わせて、東京都公園協会さんの協力も得ながら歴史ツアーを企画できたことはその上で大きな励みです。これを第一歩として練馬区民と練馬の歴史が触れ合う機会と環境をこれからもさまざまな機関や団体、行政と協力して作っていけたらと思います。
練馬城址公園開園記念イベントは、5月3日。地域の新たな歴史が始まります。古城の塔はまだ壊される残されるか決まっていません。しかし、東京都が検討を続けてくださった結果、新たな歴史が始まる日はまだそこに在ります。
当会はスタンプラリーの説明文を作成し、当日は歴史ツアーを頑張ります。プレーパークも木工ワークショップもかまどベンチの火起こしも地元の人々主体で行われます。
メディアにもこの地域主体の動きが注目されることを祈ります。
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