弁護士 増田昂治|Koji MASUDA

景品表示法などの広告表示規制、特許法・著作権法・不正競争防止法などの知的財産法、Tec…

弁護士 増田昂治|Koji MASUDA

景品表示法などの広告表示規制、特許法・著作権法・不正競争防止法などの知的財産法、Tech分野を主に取り扱う弁護士です。2022年1月から2年間、法規専門官として消費者庁に出向していました。第二東京弁護士会所属。

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「景品表示法 執行事例データベース」の使い方

こんにちは、弁護士の増田昂治と申します。 本noteでは、私が運営する「景品表示法 執行事例データベース」の使い方をご説明します。 その前に簡単にご説明すると、「景品表示法 執行事例データベース」は、その名のとおり、景品表示法の執行、すなわち景品表示法に基づく措置命令、課徴金納付命令等の事例を集積した、調査・研究用のデータベースです。 2009年の消費者庁設立以降、同庁が行った全ての処分等を収録しているだけでなく、フリーワード検索やタグ検索(フィルター)機能も備えており、ま

    • 「景品表示法 執行事例データベース」で見る、過去の違反事例との付き合い方と消費者庁の最新動向(ダイジェスト版)

      先日、「『景品表示法 執行事例データベース』で見る、過去の違反事例との付き合い方と消費者庁の最新動向」と題して、約30分間のウェブセミナーに登壇しました。 このウェブセミナーは、大きく分けて、①景品表示法の超基本、②過去事例との付き合い方、③消費者庁の最新動向(データベース実演)の3パート構成でしたが、本noteでは、ダイジェスト版として、このうち「②過去事例との付き合い方」でお話した内容をご紹介します。 1 景品表示法の運用状況上記スライドは、2015年度から2023年

      • 不実証広告規制の効果範囲?~否定された立法担当者見解~

        景品表示法の特徴的な制度として、「不実証広告規制」があります。この不実証広告規制を巡っては、かつてその効果範囲について、立法担当者の見解を巻き込んだ議論がありました。 今では決着した議論ではありますが、同法の歴史的(?)なトピックとして、本noteで解説します。 1 不実証広告規制とは不実証広告規制とは、ある表示に対して消費者庁が資料提出要求をした場合において、事業者が15日以内(景品表示法施行規則7条2項)に「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」を提出しなかっ

        • 求人広告に景品表示法は適用されるのか?

          我々が普段見聞きする「広告」と呼ばれるものには様々な種類がありますが、そのうちの1つとして「求人広告」があります。 求人広告も「広告」である以上、景品表示法上の優良誤認表示(5条1号)又は有利誤認表示(同条2号)となることはあるのでしょうか? 本noteでは、前提として「求人広告」の種類を整理した上で、それぞれに対する景品表示法の適用可能性を検討します。 1 「求人広告」の多義性?一般に、「求人広告」とは、会社等が新たな従業員を募集するための広告をいいます。ただ、そのよう

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        • # 広告表示規制
          6本
        • # 知的財産法
          4本
        • # 契約法務
          2本

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          実は根拠規定がない?景品表示法に基づく処分の公表の位置付け

          消費者庁が景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令(以下「措置命令等」)を行った場合、当該措置命令等の事実は消費者庁HPで公表されます。 ところが、実は景品表示法には措置命令等の公表に関する規定がありません。それでは、どのような整理でこのような公表が行われているのでしょうか? このnoteでは、そもそも法律の根拠が必要な行政活動はどのようなものなのか?といった疑問に答えながら、公表の目的に応じた法律の根拠の要否などについて解説します。 1 公表規定が存在しない?冒頭に

          実は根拠規定がない?景品表示法に基づく処分の公表の位置付け

          図解でわかる?化粧品の効果効能について広告可能な56項目

          1 はじめに薬機法には、医薬品のような「ザ・お薬」以外にも様々な人の健康に影響を与える物品に関する規制が含まれています。 (※実際には「ザ・お薬」以外も薬機法上の医薬品に含まれますが、今回は割愛。よく聞く「医薬品的な効果効能を謳うと健康食品やサプリメントでも~」というやつです。)。 本noteでは、そのうち「化粧品」に関して、その効果効能として広告可能な56項目についてざっくりと確認していきます。 2 法令等の定め (1) 薬機法66条1項 さて、法令の解説である以上

          図解でわかる?化粧品の効果効能について広告可能な56項目

          「商標の類否」判断の3要素はなぜ外観・称呼・観念なのか

          ■ 重要論点「商標の類否」と伝統的な3要素商標法には「商標の類否」という代表的な論点があります。 この論点は、その名のとおり、2つの商標が類似しているか否かを検討するもので、権利化(出願)の場面でも紛争(侵害訴訟等)の場面でも問題になる重要な論点です。 さて、商標の類否は、以下の分かるような分からないような基準から判断されます。 そして、上記判断基準に従った判断をするための伝統的・代表的な要素として、以下の3つが挙げられます。 もちろん、上記3つはあくまでも「要素」で

          「商標の類否」判断の3要素はなぜ外観・称呼・観念なのか

          【取得?使用?開示?】不正競争防止法上の営業秘密侵害となる行為を図解する

          ■ 営業秘密保護の「じゃない方」突然ですが、不正競争防止法上の営業秘密の定めといえば何を思い浮かべますか? おそらく、多くの法務パーソンは「あぁ、営業秘密ね。①秘密管理性、②有用性、③非公知性だったっけ?」と思ったのではないでしょうか。これは、不正競争防止法2条6項に定める「営業秘密」の定義のうち重要部分、いわゆる営業秘密の3要件を説明したものです。 もっとも、不正競争防止法には、上記のような「どのような情報が営業秘密に該当するか」(営業秘密の定義)に加えて、「営業秘密に

          【取得?使用?開示?】不正競争防止法上の営業秘密侵害となる行為を図解する

          プロフィール

          はじめまして、弁護士の増田昂治と申します。 このnoteでは、私のこれまでの経歴のほか、主な取扱分野やnoteで発信したいと考えているテーマについて、簡単にお話したいと思います。 ■ これまでの経歴弁護士になるまで 静岡で生まれ育ち(厳密には、転勤族だったため、静岡→東京→名古屋→静岡と転々)、大学進学を期に上京しました。 2012年に中央大学法学部法律学科を卒業、2014年に慶應義塾大学ロースクールを修了した後、2015年に弁護士登録しました(第二東京弁護士会)。

          悩める若手必見、会議に便利なスケジュール調整ツール「トントン」

          ■ 若手あるある「スケジュール調整が地味に手間」チームで仕事を進めるにあたってメンバー間の十分な意思疎通は欠かせません。 そのため、プロジェクトものの仕事では、例えば「この件、一度内部会議をしましょうか。メンバー全員のスケジュール調整して来週あたりに設定してもらえますか?」なんてことがしばしば発生します。 もちろん、こういった細かい作業は若手の大切な仕事の一つですので、若手がスケジュール調整役になるわけです。 ただ、何かしらの手法で効率化されていない限り、調整役は手作業で以

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          NFTアートと著作権の関係を考えるにあたって抑えておきたい1つのポイント

          ■ 本noteの狙いありがたいことに、NFTアートの著作権法上の問題については既にネット上に以下のような優れた解説記事があります。 そのため、ある程度IT&法的な素養のある方であれば、いきなりこれらの解説記事を読めば足り、わざわざ本noteを読む必要はありません。 ただ、ITも法律もちょっと苦手かも…という方や、あまりやる気がなくても読める記事をお探しの方もきっといらっしゃると思います。 そこで、今回は、そんな方々でも無理なく読める超入門として、NFTアートと著作権の関

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          ストーリーでわかる商標の4つの機能

          一般に、商標には以下の4つの機能があるとされています。 読んでみてもわかるようなわからないような…イマイチ腑に落ちていない方も多いのではないでしょうか。 そこで、本noteでは、架空のストーリーに沿って商標の4つの機能の具体的な内容を解説したいと思います。 Chapter 1: コメダさん、米農家になる昔々あるところに、農家のコメダさんがいました。 この地域では皆主食としてパンを食べており、お米を食べている人はいませんでした。 そんな中、コメダさんは、他所で食べたお米の美

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          【コロン:編】英文契約書における記号の取説

          ■ 日本人にとって馴染みの浅い句読点英文契約書(やちょっと賢そうな英文)でさも当然のように登場するセミコロン(;)やコロン(:)。 日本人的にはあまり馴染みがないけど、せっかくなら理解しておきたいこれらの句読点(punctuation)について、2記事にわたって解説いたします。 本noteでは、第2回として、コロン(:)を取り扱います。 第1回とセットで読めば、謎記号でしかなかったセミコロンとコロンが少し生き生きして見えるかもしれません。 ※ 第1回のセミコロン編はこち

          【コロン:編】英文契約書における記号の取説

          【セミコロン;編】英文契約書における記号の取説

          ■ 日本人にとって馴染みの浅い句読点英文契約書(やちょっと賢そうな英文)を読むと、さも当然かのようにセミコロン(;)やコロン(:)といった句読点(punctuation)登場します。 しかし、少なくとも田舎で意識の低い学生生活を送っていた私の記憶の範囲では、これらの謎記号がどのように使われるのかについてきちんと教えてもらう機会はありませんでした。 ただ、英文契約書で出てくる以上ルールを理解しておきたいし、ちゃんと使えれば便利そう…。 こんなご要望にお応えするべく、セミコロ

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          ビジネス文書以上内容証明未満なレターの起案

          ■ 内容証明の起案は大丈夫なんだけど…「内容証明や準備書面の起案は大丈夫なんだけど、そこまでいかないようなソフトだけど法律的要素の絡むレターの起案がいまいち苦手…」 例えば、以下のようなケースで、ソフトな法律文書を起案する必要があるけどどうにも筆が進まない。そんな悩みを持っている弁護士や法務の方は意外と多いのではないでしょうか。 このようなお悩み解消のヒントの1つとなれば思い、本noteでは、私が個人的に考える「ビジネス文書以上内容証明未満なレター」への苦手意識を解消す

          ビジネス文書以上内容証明未満なレターの起案