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# 知的財産法

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私が執筆したnoteのうち「知的財産法」に関するものをまとめました。
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「商標の類否」判断の3要素はなぜ外観・称呼・観念なのか

■ 重要論点「商標の類否」と伝統的な3要素商標法には「商標の類否」という代表的な論点があります。 この論点は、その名のとおり、2つの商標が類似しているか否かを検討するもので、権利化(出願)の場面でも紛争(侵害訴訟等)の場面でも問題になる重要な論点です。 さて、商標の類否は、以下の分かるような分からないような基準から判断されます。 そして、上記判断基準に従った判断をするための伝統的・代表的な要素として、以下の3つが挙げられます。 もちろん、上記3つはあくまでも「要素」で

【取得?使用?開示?】不正競争防止法上の営業秘密侵害となる行為を図解する

■ 営業秘密保護の「じゃない方」突然ですが、不正競争防止法上の営業秘密の定めといえば何を思い浮かべますか? おそらく、多くの法務パーソンは「あぁ、営業秘密ね。①秘密管理性、②有用性、③非公知性だったっけ?」と思ったのではないでしょうか。これは、不正競争防止法2条6項に定める「営業秘密」の定義のうち重要部分、いわゆる営業秘密の3要件を説明したものです。 もっとも、不正競争防止法には、上記のような「どのような情報が営業秘密に該当するか」(営業秘密の定義)に加えて、「営業秘密に

NFTアートと著作権の関係を考えるにあたって抑えておきたい1つのポイント

■ 本noteの狙いありがたいことに、NFTアートの著作権法上の問題については既にネット上に以下のような優れた解説記事があります。 そのため、ある程度IT&法的な素養のある方であれば、いきなりこれらの解説記事を読めば足り、わざわざ本noteを読む必要はありません。 ただ、ITも法律もちょっと苦手かも…という方や、あまりやる気がなくても読める記事をお探しの方もきっといらっしゃると思います。 そこで、今回は、そんな方々でも無理なく読める超入門として、NFTアートと著作権の関

ストーリーでわかる商標の4つの機能

一般に、商標には以下の4つの機能があるとされています。 読んでみてもわかるようなわからないような…イマイチ腑に落ちていない方も多いのではないでしょうか。 そこで、本noteでは、架空のストーリーに沿って商標の4つの機能の具体的な内容を解説したいと思います。 Chapter 1: コメダさん、米農家になる昔々あるところに、農家のコメダさんがいました。 この地域では皆主食としてパンを食べており、お米を食べている人はいませんでした。 そんな中、コメダさんは、他所で食べたお米の美