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ミツバチとテクノロジーのランデブー

とても面白いプロジェクトが欧州で行われているのを最近のニュースで知りました。

ようは、
生態系を守るため、テクノロジーでミツバチの生活を拡張しようとしている、
という話です。

なぜミツバチかというと、我々が摂取する多くの野菜や果物の生育に影響を与える媒介者だからです。花粉を運ぶ役割ですね。

EUとして資金提供をしている「ハイブオポリス(Hiveopolis)」というミツバチのコロニーを守るプロジェクトの一環が今回の冒頭記事です。

背景は、どうもミツバチ含めて昆虫の個体数が減少しているそうです。
特にミツバチは前述のとおり生態系に広い影響を与えるので、それをテクノロジーで救う取り組みです。

以前から行ってきたのは、3Dプリンタで巣箱をつくってあげたり、内部温度調整などをする、さながらミツバチ向けレジデントサービスですね。

今回特に興味を持ったのは、それよりもコミュニケーションを人工的に補助する取り組みです。

まず、ミツバチは女王バチを頂点とした秩序だった社会を形成しているのはご存じだと思います。
ミツバチは巣で子孫を残すことに重きを置き、いわゆる働きバチ(あまり今の時代ではこのネーミングよくないですね^^;)が蜜を持ち帰るわけです。

その蜜を収穫したとき特有の踊りをすることが観察の結果わかり、なんとその研究を進めた方はノーベル生理学・医学賞も受賞しています。

1つだけサイトを紹介しておきます。

そしてダンスの謎を解明した後、それを再現するダンスロボットを開発して効果を上げています。つまりそれを見て蜜の収穫を認識した行動変容を促せます。
こちらでRobobeeと呼ばれるロボットについて書いた論文が読めます。(下記は論文内から写真抜粋)

出所:上記論文内画像。B・Cに写っているのがRobobeeと呼ばれるダンスロボット

今は、もう一歩ミツバチの社会活動に踏み込もうとしており、女王バチへの対話をテクノロジーでコントロールして、たんぱく質を提供できる仕掛けや巣穴で生育しやすいように行動変容を促したり、働きバチへの接し方を変えてコロニー全体の幸福度を高めようとしています。
その他、コロニー全体が危機になることを知らせて引っ越しさせるようないわゆるBCP(ビジネス継続計画)のようなことも企画しています。

冒頭記事の後半では、養蜂、つまり蜜の最大収穫にはほぼ実用性はない、別の方がコスパがよい、という方も登場しています。
そしてむしろ、その生態系へのかかわりあい方から、言語認知など基礎科学への発展に寄与するかも、という指摘もありました。
さらには、そういった活動を通じて、養蜂という旧来イメージをいい意味で変えて参入者が増える期待値もにじませています。

見方によっては、昆虫の生態系に結構踏み込むため漠然とした不安は個人的にはあります。
ただ、このままだと昆虫個体数減少に歯止めがかからなくリスクもありそうで、局所的な実験であれば、ぜひ今後も頑張ってほしいと思います。

少なくとも知的好奇心はとてもそそられる実験です。

「テクノロジーは、人間の能力と自然の能力を拡張するインターフェイスであるべきです」。

出所:冒頭記事の最後

と最後にコメントがあり、おそらくは賛否両論あろうかと思います。

ただ、無関心でいるよりはテクノロジーと向き合っていく覚悟と体験は必要な時代だろうと考えます。

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