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量子コンピュータの国内実用化と今後期待されるトポロジカルな研究

量子技術は国家レベルでも注目され、最近ついに国内産の量子コンピューター実用化への発表が行われました。

ようは、
富士通と理研が、2023年に「汎用型」の量子コンピュータを基礎研究だけでなく企業などの実用的な用途に対して提供に踏み切る、
という話です。

わざわざ「汎用型」と書いたのは、量子コンピュータの拡大解釈によっては、「アニーリング」型と呼ばれる決まったアルゴリズム(解法)で実装したタイプも含められ、それはある程度実用化してます。

汎用型は、比較的米国一部企業が先行しているイメージがありましたが、これからは面白くなりそうです。

量子コンピューターの基礎原理については過去にも触れました。

でも、実際その量子効果を技術的にどう表現するのか? 
なかなかイメージわきにくいと思います。

そんな中、コンピュータ演算装置開発大手のNVIDIA、つまり当事者に近い方が、基礎解説を行っているサイトを見つけました。

結局は、この「量子もつれ」という摩訶不思議な物理現象をどのように人工的に制御できるのか、に大きな壁がありそうです。

その「量子もつれ」の実用化について、基礎理論でも興味深い発表が、理研からありました。

ようは、
絶対温度以上だと、2つでは距離で急激に減衰するため、一定の条件をつけた3つ以上の量子もつれを利用する必要がある、
という話です。

記事内で「トポロジカル」(トポロジーの形容詞)という表記があり、なかなかとっつきにくい言葉なのでおもいきって砕いて書くと、「連続的に変化させても変わらない性質」を指します。
このトポロジーは、重要な言葉で、量子コンピュータの制御に関わらず、様々な分野で研究が進められています。(発散するのでそれ以上は割愛)

トポロジカルな量子コンピュータの基礎研究で、もう1つ面白い取り組みを紹介します。

実は量子コンピュータの性能に寄与するかもしれない未発見の素粒子に関する解明が進みつつあります。

ようは、
マヨラナ粒子のトポロジカルな解明で、ノイズに強い量子コンピューターが実現できる、
という話です。

日本人にとって奇天烈な名称ですが、れっきとした学術用語です。

話がいきなり素粒子物理になりますが(その境界をもはや横断しているのもすごい時代だと思います)、ほぼすべての素粒子には自身と逆の性質を持った「反粒子」があるということが理論としては明らかです。
例えば、陽子に対しては「反陽子」、といった具合です。
元々1920年代にディラックという物理学者が唱えましたが、そのなかで逆の性質を持たない、全く同一の性質を持つ仮想の粒子が「マヨラナ」粒子です。

それを組み合わせた仕組み(非可換エニオン)を使うと理論的にはとてもノイズに強くなるわけで、今回はそれを検証出来そうな発表です。

最後のはちょっと小難しくなりましたが、いずれにしても、基礎研究でもまだまだブレークスルーを起こす種はあると期待して、一緒に楽しみましょう☺

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