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今年のSCIENCE誌ブレークスルー賞が発表されました

科学専門のSCIENCE誌は、毎年ブレークスルー賞と準優秀賞を選びます。

つい先日2022年版が発表されました。下記が公式サイトです。

とうことで、
2022年は、ゴールデンアイこと「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が選ばれました。

丁度今から1年前の2021年12月25日に打ち上げられました。そのころの投稿を引用しておきます。

ブレークスルー賞を記念して、改めてJWSTの基礎情報と最近の活動を紹介してみたいと思います。

まず、結構苦難の道を経ており、20年以上100億USドルかけてやっと完成にこじつけます。
ハッブル宇宙望遠鏡の後継としてよりバージョンアップしており、分かりやすいところでは、大きさは3倍近い直径6.5mです。厳格な性能比較は難しい(やや見る波長範囲が異なる)ですが、感度は100倍程度です。

無事昨年クリスマスに打ちあがりましたが、大きすぎるとロケットに収まらないという葛藤が生じます。
議論の結果、複数の鏡を組み合わせる方式を採用し、初めは各鏡が折りたたまれた状態で、いざ宇宙空間に到達するとパタパタと展開して、やっと半年後に観測の準備が整います。

そして遂に2022年7月中旬に、バイデン大統領も一緒にその初画像を世界に公開します。おそらく多くの天文ファンがかたずをのんで待ってたのではないでしょうか?

初の画像解説した投稿を引用しておきます。(お勧めは元サイトのNASA公式サイトです)

研究者にもそのデータが公開され始め、なんと10日で20個もの論文が公開されるという入れ食い状態(?)でした。

先代ハッブル(但しまだ現役)との違いの中で、運用面で大きな違いは観測地点です。

ハッブルは大体地上から600kmあたりなので、高度はISSと近いです。そして実際にスペースシャトルから有人修理にハッブル宇宙望遠項を訪れたこともあります。史上最遠の有人修理作業だったでしょう。

一方でJWSTですが、太陽から見て逆方向へ150万kmほど移動して観測を行っています。(これで半年以上も観測に準備を要した理由も納得していただいたと思います)
月までが大体40万km弱なので、実にその4倍の距離を旅しています。

なぜそんな有人修理ができないところまでいくのか?
理由はシンプルに目的にかなった観測がしやすいからで、おおきく2つの理由です。

1つはそのあたりが天体重力(主に地球・月・太陽)の影響が均衡しており(ラグランジュ点と呼ばれます)、運用エネルギーがエコであること。

もう1つ。今回の観測波長が、(目で見える)可視光線より波長が長い(遠くを見通しやすい)赤外線領域を選んだことです。その領域では太陽からの熱の影響を受けやすいので、出来る限り離れました。
さらには機体に日よけシールド(いわゆる日傘)までも実装しています。
下記イメージ図の下部です。

出所:Wiki「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

そこまでして観測したいものは?

応えは、「ファーストスター」の発見です。

名前の通り、最初に出来た星のことです。地球を人間とみると始祖(またはアダムとイヴ)にあたります。

古い星ほど遠くにあって波長が伸びる(赤方偏移)ため、赤外線に照準を合わせたわけです。

過去に世代として近い領域を発見したこともありますが、今回は直接的に最初の星を発見しようとしています。

まだ、公開情報を見る限りは発見のニュースは見つけてませんが、当たり付けは徐々に出来ているようです。1つだけ記事を紹介します。

勿論ファーストスター以外にも観測目的はあり、我々の太陽系以外の惑星(系外惑星)の発見もターゲットです。
そこには、地球外生命体や居住可能性(ハビタブルゾーン)の期待も含めています。

今後も続く最新データの公開と呼応して論文投稿ラッシュが続くことが予想されます。
もうしばらくはJWSTの観測動向を観測し続けてみたいと思います。

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