ダークマターの新説・珍説
前回の投稿で、ブラックホールの新説がダークマター検出に貢献する、という話を紹介しました。
ダークマターはまだ未検出の物質で、宇宙の3割弱(我々が知る原子などは4%程度)を占める謎めいた存在です。
発見した人はノーベル賞間違いなし、とまで言われています。
そんな人気者ダークマターが関わる意外な説について、最近のニュースを紹介します。
ようは、
ダークマターは生物絶滅など地球の天変地異に影響を与えた、
という話です。
これだけ読むとトンデモ科学に聞こえるかもしれませんが、専門家によるれっきとした仮説です。
ダークマターの前に、今でこそ定説となっている恐竜絶滅の隕石由来説、結構反論の声はあったのですが、クレーター跡やイリジウム濃度解析など科学的な証拠が集まってきて何とか定説の座を勝ち取りました。
下記にも投稿しましたが、今でもそれに補足的な説も唱えられています。
さて、これとダークマターがどうつながるのか、ですが、この隕石発生由来に関わっている、というものです。
実は、我々が属する太陽系ですが、天の川銀河という渦巻き状の枠組みの1つとして、さながらメリーゴーランドの1木馬のように円運動+上下運動を行っています。(回転速度はなんと秒速240km !)
その運動が太陽系を取り巻く彗星が集中した外縁帯(地球と太陽の10万倍の距離)、通称「オールトの雲」に伝わり彗星が放出され、そのいくつかが地球への隕石落下につながった、という説です。
もう1つ興味深いことに、「地球の生物絶滅が周期的に起こっている」という仮説も提唱されており、これが上下運動という天体周期運動ともつながりがある、というゆえんです。
ニューヨーク大学の研究グループが2020年に提示した説で、その絶滅周期を2700万年と計算しています。
この、オールトの雲への玉突き現象をもたらした球が「ダークマター」という説もあります。
繰り返しですが、専門家からのれっきとした仮説で、その中で比較的著名人を挙げると、多次元宇宙を唱えた物理学者リサ・ランドール氏です。
一般向けの科学啓蒙としても面白い書籍を出しており(特におすすめなのが1作目の「ワープする宇宙」)、その3作目が下記の本です。
ダークマターを多少知っている人なら、
「相互作用しないからダークマターなのに矛盾しているのでは?」
と思うかもしれません。
ランドール氏の仮説では、ダークマターは我々が知る通常物質だけでなくさまざまな未知の物質から構成されます。これには、今素粒子の標準理論の枠組み以外の可能性も示唆しています。
詳細はぜひ上記の書籍を手に取っていただきたいですが、ざっくりいえば大半は重力とのみ、少数は電磁気力とのみ相互作用するというモデルです。
この後者が円盤状となって我々の銀河内に存在するというわけです。
そしてさらにユニークな仮説を提唱しているのが、
「ダークマターが地球と相互作用している」
というものです。
この説は冒頭記事で初めて知りました。
なんとダークマターを地球内に存在するマントルに取り込み、そのダークマターが消滅するときに放出されるエネルギーが生物絶滅として以前から有力とされた火山活動を誘発した、というものです。
ちょっとこの論文までを読んでいないので何とも評価しにくいですが、言い方を変えると論文として受理されている以上科学的な証拠も添えているはずです。
いずれにせよ、このように「ダークマター」というどんな物質にも相互作用をしないと思いこまれてたのですが、そんな単純な話ではなさそうです。
すくなくとも、私の内にある興味という存在とは強く相互作用しており、今後もダークマター新説のおっかけとして活動していこうと思います。
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