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カーツワイルのSXSWでの講演と感想
以前に、SXSWというイベントでカーツワイルが講演した、という話をしました。
その講演動画が公開されていたので、その要約と感想を書いてみようと思います
要約
Ray KurzweilはAI分野の先駆者であり、60年以上にわたってAIの研究に従事しています。彼がAIについての自身の見解や予測を語りました。特に、「大規模言語モデル」の進歩と予期せぬ進展に触れましたが、コンピューターが2029年までにチューリングテストを合格するという予測は変えていません。ただし、単にテストに合格することよりも、人工一般知能(AGI)を実現することがより重要であると強調しました。
Kurzweilは、AIと技術の顕著な進歩が人間の寿命を延ばす可能性について楽観的であり、人々が次の5〜6年以内に「寿命脱出速度」に達し、最終的には技術を通じて人間の意識や体験を再現できるようになると提案しました。
彼は、AIが生活や経済のさまざまな側面に与える影響について話し、AIが多くの産業を変革し、特定の仕事を置き換える可能性がある一方で、新しいセクターや機会も創出すると示唆しました。これは、歴史上の技術的進歩と並行しています。
対話は、プライバシー、人間の意識の本質、AIと人間の心を統合することの意味を含む、AIに関する倫理的および実存的な問題に触れました。これらの分野で慎重な検討と規制が必要であると強調しています。
Kurzweilはまた、彼の予測の正確さやAIが人間の創造性や問題解決を強化する可能性についての聴衆からの質問に答え、AIが私たちがまだ完全に理解または予測していない方法で人間の知性を補完できることを示唆しました。
ちょっと抜けている箇所があると感じたので、Googleが提供する生成AIのGeminiでも要約してみました。
カーツワイルは、AI のバックグラウンドと、大規模な言語モデルが 2029 年までにチューリングテストに合格するという予測について説明します。また、これがなぜ重要だと信じているのかも説明します。
インタビュアーは、人間の脳の全内容を機械にダウンロードする可能性について質問します。カーツワイルは、彼と彼の娘が彼の亡くなった父親のスタイルで質問に答えることができるチャットボットを作成したプロジェクトについて説明します。
カーツワイルは、ナノテクノロジーの潜在的な危険性について話します。たとえば、自己複製するナノボットがすべてを紙クリップに変える可能性があります。また、これらのリスクを軽減する方法についても説明します。
インタビュアーは、AI がより知能化されるにつれて、人間の役割について質問します。カーツワイルは、人間は AI システムを設計および開発する上で重要な役割を果たし続けると信じており、AI は最終的に人間の知性の延長になると信じています。
インタビュアーが「創造性や人間の役割」にやや偏った質問をしたと感じましたが、SXSWなので聴衆の期待値に沿ったのでしょう。もともとは音楽祭として始まり、今でもアーティストやそれを楽しむ人向けの舞台も用意されています。
それで、講演を聞いた印象ですが、大筋は以前から唱えている予測を変えてはいないようです。大規模言語モデルの登場でやや補正した、というところでしょうか。
前回もふれましたが、彼の最新著作が6月に発売されます。(和訳版は未定)
前回が”The Singularity Is Near”でしたので、その最新の予測をお披露目するようです。
本当はもっと前に出る予定だったのですが、今回の講演で、大規模言語モデルの登場で遅らせた、と本人が明かしています。
ですので、前作(2002)の著作を読めば大体の彼の予測(か予言)はわかります。
参考までに、こちらでも書いたので載せておきます。
カーツワイルは、楽観主義者としても知られ、今回も全体としてその雰囲気が漂っていました。(ただ、やはり老いましたね・・・)
だからかもしれませんが、批判する人も少なからずおり、特に上記Noteでも書いた最後の箇所「宇宙の覚醒」は物議を醸しました。(Essential版からは除外されています)
一応それについて触れておくと、カーツワイルはシンギュラリティを2045年にセットしており、それ以降は予測不可能と置いています。(だからこそブラックホールの中心にあたるシンギュラリティという言葉を採用)
分からない中での想像を膨らましたにすぎず、それが合ってるかどうかを議論することは不毛かなと思います。(娯楽ならよいですが)
講演の中で気になった点を2つほど触れて締めておきます。
1つは、そろそろ「チューリングテスト」という言葉を使うのはやめた方がいいかなと思います。これは、チャットしている相手がAIかどうかを試すテストですが、すでにそんな水準は軽く超えていると感じます。過去の関連投稿を載せておきます。
もう1つ、「寿命脱出速度(直訳)」を超えて500歳まで生きれる方法を「勤勉(Dilligent)」、でくくっていたのでモヤモヤしました。
大予測よりも、彼の日々の勤勉さを教えてほしいと思う今日この頃です。
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