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ブラックホールは宇宙なのだ、という話

前回、宇宙初期に定説を覆す大量の巨大ブラックホールが見つかった話をしました。

実は、もう一つ宇宙初期には真逆の極小ブラックホールの存在が仮説として提示されています。

巨大ブラックホールは、宇宙初期とはいえ早くて8億年後です。現在138億年が経過しているため、初期という言葉は間違ってはいません。

が、極小ブラックホールは文字通り宇宙が誕生した直後の話です。

以前にもふれたので載せておきます。

その名も「原始ブラックホール」。

宇宙創成直後は「インフレーション」という(物価のインフレが由来)爆発的な空間の広がりからスタートした、というのが定説です。
念のため、関連記事を貼っておきます。

で、このインフレーションによって密度が揺らぎ空間が崩壊することで誕生したのが「原始ブラックホール」だ、ということです。

じつは、その生成プロセスにも諸説あり、最も大胆なものはブラックホールでなく「宇宙」が誕生するというものです。

上記のインフレーションに関する記事でも触れてますが、真空の揺らぎが我々の宇宙を創成し、それは1つとは限らず泡のように多重発生するという仮説です。

「マルチバース宇宙論」という考え方です。

それはそれとして魅力的ですが、話がずれるのでいったん戻します。

そもそもですが、ブラックホールは物理的な性質(超重い物質→時空を歪める)として宇宙創成時に類似しています。
実際に、ブラックホールの研究を通じて間接的に宇宙初期の研究もおこなわれています。

話自体がインフレ状態になってきましたが、そんな空想めいた理論をどのように検証するのか?

その1つのアイデアが「重力レンズ効果」による間接的な存在証拠です。

その発見の歴史は過去にも書いたので引用にとどめます。

ようは、重力を拡大鏡の屈折原理として使って、通常では拾えない光(や他の波長含めた電磁波)を集結させようというものです。

つまり、原始ブラックホールがあるということは、そこがレンズがあるということで、本来は見えない銀河などの天体情報を見ることができます。
言い方を変えると、見えるはずのない銀河が観測できると間接的な証拠(決定打ではないにせよ)になります。

過去から日本の研究グループが運営する「すばる望遠鏡」では試みられてきましたが、現時点では成果は出ていません。

ただ、これがもし検証されると、宇宙の最大ミステリーの1つ「ダークマター」候補にもなるので大発見となります。

ブラックホールの研究は、宇宙のミステリーを解くということにつながっていきそうです。

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