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史上最大のブラックホールと重力レンズの話

過去何度かブラックホールについて触れてきましたが、先日その最大級のものが発見されたようです。

タイトルが全てですが、コンピュータシミュレーションとジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測が一致したことで陽の目を見たようです。

その大きさは太陽の300億倍以上とのことで、ここまで大きいとピンとこないです。

過去に、ブラックホールのサイズについては触れたことがあります。

出所:上記記事内の図

前回触れた最大級が太陽の30億倍なので、そのさらに10倍の規模となります。

シミュレーションしたのは英国の研究機関DiRACで、あの天才ディラックにちなんで名づけられています。

ディラックは過去にもふれましたが、ネーミングの数で言えば最高クラスかもしれません。

それはともかく、今回の発見につながったのが「重力レンズ」という手法でブラックホールには初めての成果とのことです。

ただ、未知の天体を見つける手法としては以前から使われています。

Wikiによると1924年にOrest Khvolsonが初めてその原理を論文で発表したそうです。

ただ、歴史的にはアインシュタインのほうが知られており、「アインシュタインリング」とも呼ばれます。
1936年に発表した内容はこちらで閲覧することが出来ますが、よくよく見ると、筆頭者がアインシュタインでなくMandl(マンドル)となっています。

こちらによると、どうも発案はアインシュタインでなく、Mandlというアマチュアだったようです。(電気技師出身ですが、発表当時は皿洗いをしていたそうです!)

当初は本人が科学雑誌に投稿してもらちが明かず、雑誌側を熱意に負けたのかなんとアインシュタインへ助言を仰いでは?と促します。
重力レンズは一般相対性理論を元にしてますが、それにしても大胆な・・・。

もっと驚いたことに、アインシュタインはMandlの論文を真摯にチェックして一部計算式の誤りを訂正をします。

ただ、科学的な意義はというとネガティブで、それは大きく2つの理由と考えられます。

1つは、Mandlはこの重力レンズ作用が地球の過去の大量絶滅を引き起こした、という飛躍的な結論を提唱していたこと。

もう1つは、理論的にはありえるものの現実的に観測するのが難しいため机上の空論にすぎないと考えていたからです。

Mandlはそれでもアインシュタインを説得し続けて、結果として大量絶滅の文脈は削除して、計算式だけを載せることと、冒頭に掲載経緯を記述するという風変わりな投稿となりました。(それでも載せるところがアインシュタインの権威というべきか。。。)

ただ、観測不可能と思われていた重量レンズは1979年にツインクエーサーとして発見されることになります。(タイトル画像はWiki「クエーサー」)

クエーサーとは非常に遠方にある活動銀河核の一種で、それ以降も発見が続きます。

そして今回のブラックホール。初論文ではないにせよ、実質的に貢献したのがアマチュアと聞くと、不思議と元気づけられます。

今後もジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測結果と合わせてピントのあった発見が続きそうです。

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