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老化を抑える仕組みが一歩解明される

すごいニュースが流れてきました。前日同様日本の研究者による偉業です。

ようは、
老化を促進する細胞に影響のあるたんぱく質を見つけたので、これから老化の仕組みとそれを抑える研究が進む、
という話です。

アンチエイジングという言葉もすっかり定着してきましたが、どうも科学的な根拠は?と聞くとムムムとうなってしまいます。何となくは「健康促進」と呼んだほうがいい感覚を持ってました。

今回の研究はまさに老化現象を細胞レベルまで探求した結果です。

その抑制に影響があることが分かったのは、以前に日本の本庶佑(ほんじょ たすく)によってがん免疫療法の文脈で発見されたものでした。この功績で2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しており、開発した薬は商品名としては「オプジーボ」として知られています。

簡単にポイントを触れると、がん細胞は細胞表面にPD-L1を発現しており(リンパ球にある)T細胞PD-1と結合して免疫細胞の攻撃を免れていることが分かりました。そのPD-1の結合を抑制する効果を持つ薬です。

免疫とは、体内で悪者と認識して退治する機能のことで代表例が上に出ているT細胞です。免疫を使った手法は「免疫療法」と呼ばれます。
本庶氏がこの分野を切り拓き、ついにはT細胞を発見した素晴らしい日本の研究者については過去にも紹介しました。

当時本庶氏の研究グループが発見した「PD-1」と結びつく「PD―L1」が、がん細胞だけでなく老化細胞にも作用していた、ということです。

このPD-1ですが、Wikiを読むと命名で面白いエピソードがありました。

PD-1(プログラム細胞死1, Programmed cell death 1)は活性化T細胞の表面に発現する受容体(またはその遺伝子)である。
(中略)
PD-1(Programmed cell death 1)は1992年にT細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子として研究開始時にはまだ京都大学本庶佑研究室の大学院生であった石田靖雅らによって 同定・命名された。T細胞は胸腺で作られるが、その際自己攻撃性を獲得した危険なT細胞がアポトーシスで自死する際に重要な役割を果たすものであって欲しい、という願いをこめて、Programmed Death-1と命名した、と石田は述べている

出所:Wiki「PD-1」

「願望から命名した」というのが、自然科学という無機的な香りのする中に人間臭さが入っていて個人的にはほっこりしました☺
歴史的な結果をみると、皮肉にも反対の作用を起こしていることがわかりましたが、それでも医学には大きく貢献しています。

老化は病気、という野心的な仮説を基にしたLIFE SPANが話題を呼び、私も老化を科学的に抑えるニュースには敏感になりました。
が、そのフィルターを外してもこの成果は偉業といいきれそうです。この研究成果の続報が分かれば、改めて取り上げていきたいと思います。

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