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コズミックフロント最終回と超対称性な話

NHKの長寿宇宙番組「コズミックフロント」がついに最終回を迎えました。

テーマは「未知の素粒子とそこからつながる万物理論」。
最終回にふさわしい壮大な話でしめくくりました。

未知の素粒子については、ちょうど先日、その可能性を感じさせるニュースを紹介しました。

番組ではそれと別の話で、ミュー粒子の運動が既存のルールに沿っていないという話でした。それ以上興味ある方のために、過去の関連投稿を貼っておきます。

今回のコズミックフロントでも紹介されていましたが、その謎を解くカギが「超対称性粒子」という、まだ見つかっていない仮想粒子です。

名前がそそりません(私だけ?)

見つかっていないのに予言された経緯について、超ざっくりと触れてみたいと思います。

話は、続々と見つかった素粒子の標準的な法則をどうにか見出したい。

特に、戦後から見つかった「強い力(陽子や中性子内にあるクォークを閉じ込める力)」「弱い力(特定の原子核崩壊を導く力)」のメカニズムが不可思議でした。(それ以外の力は「重力」「電磁気力」)

原子核内でのみ生じるこの不思議な力の詳細は、過去投稿にゆだねます。

横着せずに、超ざっくり流れだけ伝えると、
強い力はクォークの対称性を導入することで何とか折り合いがつきました。
ただ、弱い力は同じ仕組みを使っても解決できない、謎の非対称性が現れます。その非対称を回避すべく「自発的対称性の破れ」が持ち込まれました。

対称性にも色んなタイプがありますが、なかでもヘルマン・ワイルが考案した「ゲージ理論」が主役級の活躍です。過去の関連投稿を貼っておきます。

この対称性の破れこそが世の中でも名が知れ渡った「ヒッグス」機構で、そこからヒッグス粒子が予言されました。

が、まだ謎は残っていました。

この仕組みで理論的には折り合いがつくのですが、破れに関する実観測との数値乖離が激しく(階層性問題といわれます)、悩みの種でした。

そのために導入された考え方が「超対称性」理論が導く粒子です。

表面的にはフェルミオン(イメージしやすい物質の元)とボソン(物質に力や質量を与える媒介的な素粒子)を交換することができる理論のことです。

なぜこれが数値の乖離を回避できるのか?

仮にこれを受け入れると、ヒッグス粒子にも超対称性を持った素粒子が存在します。
その超対称性を持った粒子は、別の対称性で守られることで値が急激に大きくなることを防げることが、理論的に明らかになっています。

つまり、それが実観測があまりにも低い理由です。

ただ、実はその理論の危機を救った超対称性理論は、このために考案されたわけではありませんでした。

それがまさに「万物理論」につながる「超ひも理論」に直結する流れですが、それこそ発散しそうなので、過去投稿で流しておきます。

最後に、コズミックフロントは終わりましたが、すでに後続の科学要素も踏まえた新番組「フロンティア」が始まります。今から楽しみです。

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