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遂に日本人の大量ゲノム解析でルーツの解像度が高まる

以前に、日本人のルーツや古墳時代のミッシングリンクの話をしました。

ようは、
・縄文時代は閉鎖空間で独自の文化を形成したが、日本人が持つDNAの多くが古墳時代に東アジアから流入した人たちかもしれない、
という話です。

このときの現代日本人のサンプルはまだ多くはありませんでした。

別のプロジェクトで3千名以上の日本人サンプルから詳細な系統分析が行われ、発表されました。こちらで公開されています。

要約しておきます。

東京医科歯科大学の寺尾らの研究グループは、日本人3256人の全ゲノム配列データ(JEWEL)を用いて、日本人の集団の成り立ちや自然選択などについて詳細な解析を行いました。

主な結果は以下の通りです。

1. 日本人集団は大きく「沖縄」「東北」「西日本」の3つの祖先集団に由来することが示唆されました。沖縄集団は縄文人に、西日本集団は中国人(漢民族)に近い遺伝的特徴を示しました。

2. 機能喪失変異の解析から、一部の遺伝子では限定された転写産物のみが影響を受けていることが分かりました。中でもPTPRD遺伝子の変異保因者は心筋梗塞や腎不全などの共通の表現型を示しました。

3. ネアンデルタール人やデニソワ人由来の44の遺伝子領域が様々な形質と関連することが分かりました。特にデニソワ人由来のNKX6-1領域は2型糖尿病と関連していました。

4. 自然選択を受けた可能性のある遺伝子領域としてMHC、ADHクラスター、ALDH2などが同定されました。

5. 集団解析の結果、日本人の創始者変異の由来について示唆が得られました。BRCA1 Leu63Terは東北の祖先集団に、BRCA2 frameshift変異は大陸アジアに由来する可能性が示唆されました。

本研究は、全ゲノム解析により、日本人集団の成立過程や適応進化について多くの新しい知見を明らかにしたものです。このようなデータの蓄積は、将来の個別化医療の発展にも寄与すると期待されます。

by Claude3

もう少し砕いて書くと、大きくは3つのパターンがあるようです。地域によってその濃度も違っているようで、なかなか単純化は難しいですが、沖縄本島西部・東北である程度グループ化出来るようです。(統計手法から)

上記の要約で興味を持ったのが「デニソワ人」という表記とそれによる形質(遺伝的性質)の影響を受けている可能性です。

デニソワ人とは、第三の人族として21世紀になった見つかったばかりです。

そしてネアンデルタール同様、我々のホモサピエンスと交雑(交配)したことも分かっています。

もしかしたらほかの地域より日本人の祖先は影響を受けているのかもしれません。古代のロマンが今の我々の遺伝的性質につながっているのは驚きです。

改めてこの発表についてはどこかで(AIだけに頼らずに)深堀してみたいと思います。

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