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日本人のルーツは?謎に包まれた縄文人

人類(ホモ・サピエンス)の祖先は20-30万年前にアフリカ南部で生まれ、6-7万年前にアフリカ大陸から中東経由で各大陸に渡っていった、というのが有力な説です。

以前は各地方から発生した説もありましたが、分子遺伝学者のアラン・ウィルソンが、ゲノム解析を通じてその系統を突き止めたのが有力なてがかりでした。

ちなみに、その弟子筋にあたるのが2022年にノーベル賞を受賞したスバンテ・ペーボです。
人類(ホモ・サピエンス)と他のヒト属(ネアンデルタール、デニソワ)が交雑していた事実もこの方が発見しました。

詳細に興味のある方は過去記事を。

人類が大陸を渡ってアジア大陸の東端は、日本です。

大体4万年前に到達したと考えられています。

普通に考えるなら、お隣の中国大陸とDNAが似ていると思いますが、ここが不思議なことに独特であることが分かってきました。

NHK番組でも以前取り上げられ、内容が記事化されています。

上記図内の記事

明らかに、縄文人そして現代日本人(東京)だけ異質です。

特に気になるのは、縄文人の位置です。おそらくこれが後世の交雑で現代日本人が右下に近づいたのかな、と推察されます。

同記事では、日本大陸の近隣とのDNA近縁をランキングで表示しています。
それがこちらです。

同上

この仮説に従うと、タイ近辺に住む古代人が南方ルートで日本列島に上陸し(このころは氷河期で海面は低く、今より日本列島の距離は近かった)、そこから列島内で数万年かけて独特の進化を遂げた(その祖先にあたる大陸内の古代人は大陸内でほぼ消失したようです)、というストーリーです。

その後に、北方ルートからも日本列島に渡来してきて混血していき今の現代日本人に移り変わっていった、というわけですね。

ただ、そうなると1つだけやや奇妙なことがあります。

縄文人のDNAを引き継いだ割合が最も高いのは北方にすむアイヌ人、という解析結果が出ています。

もし南方から来たのが源流だとすると、最も遠方にあたる北方のほうが縄文人のDNAが濃い、というのは解せません。

可能性として考えられるのは下記の選択肢かなと思います。

1.初期の上陸者の多くが北方を目指した
2.まだ見つかっていない同類の古代人が(南方よりもっと大量に)北方ルートで上陸していた
3.そもそも縄文人と丸めて括ることに無理がある
4.DNA解析ミス
5.その他

2は東南アジアから中国東方まで移動するのにDNA変質がおこりそうなので考えにくく、1と3あたりが合理的かなと思います。

そもそも「縄文人」と普通に呼んでいますが、約1万6000年前から約3000年前という長い時代に住んでいた人々の総称です。

これらを丸めてくくる、ってのは結構無理があるのでは?と思います。

そんなに簡単に解ける謎ではないと思いますが、ゲノム解析が進むと、このあたりの古代のベールが明かされる日がくるかもしれません。

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