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しられざる地球防衛団

「ウルトラマン」原作では、地球を守る科学特捜隊が存在します。
(余談ですが、シン・ウルトラマンでは「禍特対(禍威獣特設対策室専従班)」)

現実の世界では幸い怪獣は出ませんが、「小惑星の衝突」という脅威は存在します。

実は、あの小惑星探査機はやぶさ(1・2号)の目的の1つも、惑星の起源探索という科学研究だけでなく、小惑星衝突の分析も含まれていました。

はやぶさは、ご存じのとおり成功裏に終わり次のミッションにシフトしました。過去にも投稿したので引用しておきます。

小惑星探査の分野は日本がぶっちぎりの一位といっても過言ではないですが、それを追う巨大なチャレンジャーがいます。

それが、アメリカ版はやぶさともいわれる、NASAの「オシリス‐レックス」です。

正式名称は、Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security, Regolith Explorerの略語で、明確に地球防衛の意図も含めています。
名前の由来は冥界を支配する古代のエジプト神「オシリス」にこじつけています。今回調査対象に選んだ小惑星ベンヌは、2135年に衝突の可能性が指摘されていることもその背景にあります。(ちょっと不吉なネーミングな気がしますが・・・)

2018年12月に小惑星ベンヌへ到達したのですが、想像以上に巨大な岩石(10m以上)で覆われていることが分かり、プロジェクトチームは着陸・サンプル採取計画を練り直す必要に迫られました。

本プロジェクトリーダーのダンテ・ローレッタ氏は、想定外のピンチに直面し、とある方に助言を乞います。

はやぶさ2のプロジェクトリーダー津田雄一氏です。

元々近いプロジェクトなのでお互い交流はあり、津田氏も協力的でした。
そしてこれからタッチダウン(地面到着)を迎えるにあたって、当時現場で津田氏がメンバにどう声がけをしたのか、など助言を行いました。

そして2020年10月に、ついに着陸ポイント(通称ナイチンゲール)が決まってサンプルを採取し、2021年に地球への帰路についたところです。

採取時のNASAの公開動画を共有しておきます。

※タイトル画像もNASA提供による

はやぶさ2では、風化していない地中のサンプルを採取するために、小型爆弾を投下するというウルトラ技を披露しました。
同じ考え方で、オシリス・レックスは窒素ガスを噴射して地中のサンプルを採取しています。(実はその際に塵が機械に詰まって不具合を招き一部宇宙空間でこぼすというトラブルも起こりました)

日米2つのプロジェクトは、一部の人的交流だけでなく、共同研究とその発表も行っています。

実は当初、(はやぶさ2が到着した)リュウグウとオシリス・レックスのベンヌは同じ天体が分裂したものではないか?という仮説がありました。

ベンヌ到着で解析を深めた結果、今は異なる母体である説が有力となり、よりその起源や形成過程における研究が進んでいます。

個人的に印象深かったのは、ローレッタ氏のNHK番組での(サンプル採取後に行われた)インタビューです。

元々リモートでの作業には慣れてはいましたが、立ち話や昼食を共にできないことが大きな損失だと気づきました。
気軽な雰囲気で相談できないことを危惧しており、なぜなら大きなトラブルはそのような場面で解決されるからです。

出所:NHK「コズミックフロント」149 

これは、本プロジェクトに限らず、いかなる組織でもトラブルへの対応に関する示唆深いコメントだと感じました。

この日本から見た最大のライバルは2023年秋に帰還する予定です。

人類共通の課題である小惑星からの地球防衛のためにも、ぜひはやぶさに続き、成功裏に終わることを心から願っています。

<主な参考リソース>

コズミックフロント149「「オシリス・レックス サンプル採取に挑む!」


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