起業のリアル_001/独立のタイミング

起業して3年、法人は2つ。
現在42歳。

1社目はコンサルやデザインなど、個人で価値を提供する法人。所謂個人法人に近い。2社目はスタートアップとして立ち上げ、仲間を集めて出口を目指し日々奮闘している。

起業としてはまだまだ序章の段階だが、リアルに起きた事、ノウハウ本では語られない実体験をここに残しておこうと思う。途中で終わるかもしれないが、意思も込めて3桁のナンバーをふった。

記念すべき001で語るテーマは、
「独立のタイミング」

自分の場合、①個人法人の立ち上げ=独立と、②スタートアップの起業 の2つのスタートのタイミングがあったので、001は個人法人の立ち上げた独立のタイミングについて振り返えってみる。

まず、独立を実行したタイミングには3つの背景が重なった。

1)考える時間が突然出来た事
自分は14年間(株)リクルートに在籍し、最後の5年間は事業開発部と言われる新規事業の立ち上げをミッションにした部署にいた。この組織は事業を立ち上げたいという血気盛んな人材ばかりで、やりたい企画をボードに否認されたりすると転職したり起業したりする人が多く、5年もいると人が入れ替わり気付けばそれなりのポジションになっていた。
また、新規事業だけでなく既存事業の中長期戦略の検討なども兼務し、外向けのセミナーや講演などの広報も兼務していた。つまり、超属人化していた。そんな中、大きな社会の変化が起きた。
コロナによる社会の大変革である。
当時、単身赴任で名古屋の本宅と東京の別宅を毎週往復する生活を送っていたが、コロナのロックダウンなどもあり、名古屋の本宅でのリモートが中心となった。コロナ前は大量の会議やアポがリアル、かつ毎週名古屋と東京を往復していたのでとにかくMustに追われていたが、突然リモートワークに変わり、移動という物理的な時間が無くなり、突然大量の時間が出来た。余った時間でMustに追われない「考える時間」が出来たのだ。

2)起業を具体的に考える機会があった事
リモートワークが定着しつつあった時、事業開発部門をやっていた事もあり、知り合いを通じスモールM&Aのエージェントから相談を受けた。個人で年間3000万円くらいのビジネスをされていた方がいて、自分のよく知る市場でシナジーも大きそうだったので会社を買わないか?という話だった。話を聞いて「自分ならもっと伸ばせるかも」と思い、もし自分が買収したらどうグロースさせるか?という事を真剣に考えエージェント・先方と何回か協議をした。ただ、希望する買収価格が1億くらいだったので、最終的に金額面で折り合わず破断になった。ただ、その時に真剣にビジネスを考えた事により、起業が漠然としたモノから具体的になった良い機会だった。

3)20代の約束を思い出した事
リモートワークにより考える時間ができ、事業買収を真剣に検討した後、自宅のデスクの本棚にある昔の資料を見た時、ふと自分との約束を思い出した。それは、
「30代で起業をする と20代に決めていた」という事。
20代はデザイナーのキャリアからスタートし、川上を目指そうとNY行ったり、空港会社やリクルートに転職して、とにかく走り続けたが「遅くとも30代で起業をする」と周囲に約束をしていた。リクルートの面接でもそう言って採用された記憶もある。その当時、30代はかなり先と思っていたので難しい約束だとは全く思って無かった。
しかし、30歳の時、第一子の出産があり、同時に営業GMに昇進し、家族だけでなく組織の責任も負う事になり、とにかく死ぬほど仕事をした。その後も第二子の誕生や仕事の増加(仕事の報酬は仕事というのがR社)、30代で4回もした引越し…など、とにかくMustに追われる日々で、その約束を完全に忘れていた。というか、自分の中で向き合わず棚上げし続けていたんだろう。

そんな激務の日々がコロナにより時間ができ、スモールM&Aを通じて起業をリアルに考える事ができ、棚上げしてた自分との約束を思い出し、39歳という30代最後の歳にギリギリセーフで起業をする という事を自宅の汚いデスクで静かに決めた。

但し、起業はあくまで手段であり、重要な「何をやるか?どんなビジネスをするか?仲間は?」が何も決まっていなかった。ただ、上記環境が重なり 自分との約束は絶対に守る  という決意が固まったので、それを上長の役員に素直に話した所「辞めても良いけど、パートナーで手伝ってね」というあっさりとした返答を頂き、まずはサラリーマンを辞めて一旦法人を作り、コンサルなどの個人法人で稼いでいこう。何をやるかはその先で決めよう という方針だけを決めて、半年後に退職する事をR社に伝えつつ、在籍中に株式会社design for Oneを設立した。

振り返ると、初めての起業って心理的なハードルが高いのでタイミングを決めるのって難しく、ある程度企業で出世する程、居心地が良くなるので、ずるずる時間が過ぎてしまうケースも多いと思う。

一方、XX歳に絶対に起業をする とがっちり決めてる人もいるけど、それもイマイチだと思う。その瞬間はまだ在籍していた方が最適かもしれないし。
サイバーの藤田さんが有名にした「自分のタイミングで勝負をするな」という言葉そのものだ。

ただ、その折衷ではないが個人的には
・5~10年くらいの長めの尺でざっくりとした目標(マイルストン)を置く
・ある程度の条件が重なる瞬間があったら一気に動いてみる
・その時に直ぐに動けるよう、法人設立の知識などはつけておく
というのが原体験からのおすすめです。

一旦、個人法人の設立のタイミングはそんな感じです。
その翌年、次はスタートアップを起業する事になるが、これもまた成り行きに近いが、色々とあったのでまた次回書こうと思います。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?