セッション定番曲その100:Reason To Believe by Tim Hardin / Rod Stewart / Carpenters / Peter, Paul and Mary, etc.
歌ものセッション定番曲。多くの定番曲を書いたTim Hardinの作詞作曲です。シンプルですが深い歌詞が人気の秘密ですね。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Reason To Believe
今ではマーケティング用語として使われたり、一部のキリスト教団体のスローガンに使われたりしている「Reason To Believe」ですが、この歌詞の中では「自分を裏切った恋人の嘘を、それでも信じる理由を探している」というせつないフレーズで使われています。
If I listened long enough to you
I'd find a way to believe that it's all true
君の話をいつもちゃんと聞いてあげていたら、
それが本当の話だって信じることが出来ていたのかな?
Knowing that you lied straight-faced while I cried
Still I look to find a reason to believe
僕が泣いているっていうのに君は真顔を嘘をついていたよね
でも僕はまだ君の言葉を信じる理由を探しているんだ
恋人の不誠実さを責めたいけれど、でもまだ諦めきれずに
「信じたい」「そう自分に言い聞かせる為の理由が必要だ」と。
Tim Hardinは1960年代後半に発表した初期のアルバム数枚で数々の名曲を生み出しました。Bob Dylanとは違うアプローチでポピュラー音楽の歌詞に革命をもたらした人だと思います。数少ない言葉で、場面や登場人物の心情を表現してしまう歌詞が多いです。すべてを語り切らずに、リスナーの想像の余地を残す。
曲調はカントリーっぽいですね。
ポイント2:Tim Hardinの作品
定番化している曲は
「Misty Roses」
「How Can We Hang On to a Dream」
「Don't Make Promises」
「If I Were a Carpenter」
「Red Balloon」
「Black Sheep Boy」
「The Lady Came from Baltimore」
など多数。いずれも数多くのアーティストによってカバーされています。
初期に傑作を連発した後はアルコールやドラッグ問題で失速して、他のアーティストをカバーして歌うことが増えました。その時期の歌声も味わい深いんですけどね。
フォークソング、カントリーミュージックに分類されることが多いですが、根底にソウルミュージック的なものもあり、ロック畑の人やR&B畑の人にカバーされることも多いです。しいて言うならば「アメリカ音楽の人」という感じでしょうか。
ポイント3:カバーしている人たち
Rod Stewart、1971年録音
まだFacesと並行してソロ活動をしていた時期。カバーとして一番ヒットしたのはこれかもしれません。この時期のロッドはフォークソング、カントリーミュージックの要素をうまく取り入れていましたね。
Carpenters、1970年録音
カレンの透明感のある声で歌われると歌詞の意味が少し違って聞こえます。コーラスアレンジも素敵です。
Peter, Paul and Mary、1968年録音
Lobo、1975年録音
ちょっとメロディを変えて歌っていて、切なさが増し増し。
Marianne Faithfull、1967年録音
Laura Wiley、2012年録音
ピアノ伴奏によるバラードに。
ポイント4:If I Were a Carpenter
機会があれば別途取り上げますが、この曲も傑作で、多くのアーティストにカバーされています。
If I were a carpenter
And you were a lady
Would you marry me anyway?
Would you have my baby?
愛があれば身分の差なんて乗り越えられるよね、という歌詞。仮定法過去というやつです。コンプライアンスがうるさい現代では「職業に貴賎は無い」と批判されそうですが。「大工」と言っているのは収入云々ではなく(腕の良い大工さんは稼ぎがいい)、手足を動かして働く人を象徴していて、いかにも「口下手で、恋愛に不器用そう」という意図だと思います。印象的な曲名であり、歌詞。
Robert Plant、1993年録音
The Small Faces
Bob Seger、1972年録音
Four Tops、1967年録音
Chicken Shack、1972年録音
ブルースロックからハードロックへの移行期。
ロック系のアーティストによるカバーが多いですね。割とストレートなメッセージがハードロックっぽいのかもしれません。
ポイント5:Woodstock, 1969
映画にはフィーチャーされていないのでまったく知られていませんが、実は1969年夏の「Woodstock Music and Art Fair」にTim Hardinは出演しています。今ではロックフェスティバルというイメージが強いですが、実はフォークソング系のアーティストも沢山出演していました。主催者チームはとにかく多くのアーティストに声を掛けまくったようで、セットチェンジが比較的容易なアコースティック系のミュージシャンは重宝されたようです。
あの映画に登場したかどうかで。その後の人気には大きな差が付いたのも事実ですね。下記の音源を聴くと比較的な地味なステージで、そんなにウケている感じも無いので、映画にフィーチャーする対象にはならなかったのかと。
◾️歌詞
If I listened long enough to you
I'd find a way to believe that it's all true
Knowing that you lied straight-faced while I cried
Still I look to find a reason to believe
Someone like you makes it hard to live without somebody else
Someone like you makes it easy to give, never think about myself
If I gave you time to change my mind
I'd find a way just to leave the past behind
Knowing that you lied straight-faced while I cried
Still I look to find a reason to believe
If I listened long enough to you
I'd find a way to believe that it's all true
Knowing that you lied straight-faced while I cried
Still I look to find a reason to believe
Someone like you makes it hard to live without somebody else
Someone like you makes it easy to give, never think about myself
Someone like you makes it hard to live without somebody else
Someone like you makes it easy to give, never think about myself
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