いちうゆたはこ

多摩に生まれて、育ち、いまもそのまま。小さな出版社の営業をへて、編集として日々生きてい…

いちうゆたはこ

多摩に生まれて、育ち、いまもそのまま。小さな出版社の営業をへて、編集として日々生きています。

最近の記事

帰る場所は今この場所

「夏休みはお父さんの田舎に1週間ぐらい帰ったんだ」 そんな同級生の言葉が妙にうらやましかった。多摩の北のはずれに住む私にとって、故郷はこの場所でしかなかった。祖父母も近所に住んでおり、その父母の実家も車で行ける範囲だ。父方の祖父の墓が大月にあるが、そこも墓参りに行く程度の縁しか残っていない。 私は長男で、母が22歳の時に生まれているので、幼いころの祖母は、「ぽたぽた焼き」のおばあちゃん像のような人物ではなく、しゃっきりと元気だった。そんなことも手伝ってか、多摩湖の近くや野

    • すでに使っていること

      AIの進化でどんどんと便利になっている。活用方法も多様だが、ほとんどが今の検索エンジンを活用することの延長線上にしかならないのではないのだろうか? 例えば、僕がしがない料理人で、バズるレシピをAIに想像してもらうとしよう。きっと、インスタグラムとか若い子に受けているSNS、HP、インフルエンサーとか、さまざまなウェブにある情報を検索し統合しそれを一つの回答として提案してくれるだろう。ここで一つの疑問に出会う。これって、現時点での最適解であって、未来の最適解であるかは誰が保証

      • 大叔父さんのはなし

        私の大叔父は本当だったら、旧制中学に進学する予定だった。折しも第二次世界大戦が始まり、大叔父さんは七ツボタンに進まざるを得なかった。七ツボタンは、海軍の予科練のこと。それはたいそう悔しかったそうだ。戦争によって人生の歯車はくるってしまったが、幸いにして出撃前に終戦となった。その後、市役所などでお仕事をされたそうである。 戦争が終わっておおよそ60年。私が、その旧制中学の流れをくむ高等学校に進むことができた。祖母は大叔父さんが旧制中学にどうしても行きたかったことを知っていたの

        • 僕は普通に憧れていた

          最近のいけてる東大生は役所なんか行かない。起業している。 そんな言葉をyoutubeで誰かが話していた。まぁ、このご時世、企業に勤めていたら儲からない。そんなもんかもしれない。いや、そんなことわかってる。僕自身、研究者になって、好きな事をやり通すという未来もあったんじゃないかと思う。 自分の前半生は、それなりにアップダウンが激しかった。両親の離婚や祖父の会社の破綻など、それなりに大変だった。父親の顔だけ切り抜かれた家族写真を見たときの気持ちはいまだに忘れることはできない。

        帰る場所は今この場所

          源氏物語のマーケティング

          娘が学校で漫画版の『源氏物語』を借りてきていた。漫画版の物語といえば横山先生の『三国志』ぐらいしかなかったけれど、世の中かなり変わったなぁと。歴史でいえば小学館の『学習まんが日本の歴史』があった。近世以降よりも何となく蘇我馬子とか古代史が好きだった。今も歴史の本などは、古代のほうが好きなのはそのせいかもしれない。なので、源氏とか中世のお話はさっぱり疎い。 『源氏物語』が部屋にあるのを見かけたので 「源氏はすごいよね。子供から大人まで恋愛対象幅広すぎでしょ。」 と、ありきたり

          源氏物語のマーケティング

          公園の地面から小さな息吹が。自然はしたたかです。

          公園の地面から小さな息吹が。自然はしたたかです。

          本でも雑誌でもない、でもやっぱり本

          仕事の関係で、新書を久々に買った。しばらくの間、新書は買っていなかった。両手で数えられる程度だろうか?かれこれ10年以上前、大学生だったころはよく読んだ。理系だったということもあり、ブルーバックスもよく読んだと思う。 気になったテーマをちょろっと読むにはちょうど良い。岩波文庫を読み切るのがつらいときに、でも文春や新潮はおじさん臭い。いまほど2ちゃんやオンラインソースを外で気楽に見ることができる時代でもなかったので、重宝した本である。雑誌と学術文庫の合間という形で読んでいたこと

          本でも雑誌でもない、でもやっぱり本

          文字を追うことだけが読書じゃない

          何をもって読書というのか?その定義は非常にむつかしい。私自身は子供のころから、辞書や事典、図鑑を読むのが好きだった。ある意味では眺めていただけなのかもしれない。一概に本を好きというと小説などの「読むもの」を想像することが多い。でも、眺めるのも一つの読書の形だと思っている。辞書でいえば、子供のころに『広辞苑』を買ってもらったことが非常にうれしかった。知らない言葉や、関連項目を引くという作業が面白かったのを覚えている。 いま、その言葉の数々を覚えているか?と問われたたらといえば全

          文字を追うことだけが読書じゃない

          モチベーションが上がらなーい!とりあえず、淡々と過ごす。果報は寝て待てモード。

          モチベーションが上がらなーい!とりあえず、淡々と過ごす。果報は寝て待てモード。

          読み損ねた漫画

          自分が改めて買いたいと思っている漫画。というのも、学生時代(あのころはヴィレッジヴァンガードがアングラから多くの百貨店に出始めていたころだ)に集めていて、途中で買うのを忘れていらいそのままにしてしまったのだ。なんといってもミステリーを最後まで読んでいないと、期待以外でこの記事を書けない。しかし、改めて集めたいと思わせる何かが、僕が読んだところまででも余りある漫画だ。 「SOIL」 カネコアツシ 本や漫画に詳しい方はわかっていただけるだろうが、タイミングを損ねるとすぐ絶版に

          読み損ねた漫画

          音楽チャートの意味が変わっている

          スペースシャワーネTVのヒットチャートを見ていてふと、奥さんが一言。 「この曲、一年以上前の曲だけどまだチャートにいるよね。あの曲もそう。なんでなんだろう?そんなに売れているのかな?」 そう言われれば確かに、と思った。一昔前(とはいっても10年かそれ以上前だが)ある程度のCDの売れ行きがないとチャートの上位には来なかったし、それだけ売れ続ける曲なんて、数年に一度あるか無いかだった。でも最近の音楽チャートでは奥さんの指摘の通り一年以上まえの曲がそれなりに残っている。 はて

          音楽チャートの意味が変わっている

          今日はSTONES記念日。 https://open.spotify.com/playlist/0zSMcZkzeexXH3BN3hrd99?si=P3A9WqiLTceKSm6BjFA4Bg

          今日はSTONES記念日。 https://open.spotify.com/playlist/0zSMcZkzeexXH3BN3hrd99?si=P3A9WqiLTceKSm6BjFA4Bg

          ふとした横顔

          随分前だがあるショッピングセンター内にある書店が縮小することになった。そこの店長は、前の勤務地の頃から存じ上げていて、訪店するといつもいじってくれる明るいかたであった。 縮小して間も無くのタイミングで挨拶に行った。半分くらいだろうか、確かに規模は小さくなっていたが、品揃えは考えられ工夫されていたなと感じた。さて、店長の所に行くと 何しにきたの? といつものように、イジリがはいる。こちらもこちらで いやぁ近くまで来たんもんで、遊びに。 と、返す。すると オッケー!営

          結局どっちなのよ

          森林資源を守るために紙の無駄遣いはやめましょう 私は90年代に小学生だったのだが、同年代の方はこんなことを習ったり読んだりしたのではないだろうか?このこと自体を嘘だとも思わないし、今でも順守して紙の無駄遣いはやめるべきだと思っている。 ところがどっこい、このところエコな紙パックが巷に溢れている。プラスチックよりもエコだそうだ。たしかに、マイクロプラスチックをはじめ海洋のゴミ問題を見ればそのこともよくわかる。しかし、いわゆる「ポリ袋」は石油製品の副産物から生まれ、ダイオキシ

          結局どっちなのよ

          頭が穿たれるってのはこういうことか

          たしか大学生の時、古本屋でたまたま買った文庫が筒井康隆の「くたばれPTA」だった。 それまであまり小説を読まなかったのだが、こりゃ面白れぇなと思って少し時間が流れた。早稲田松竹の前を通り、映画「パプリカ」が公開中というポスターを見た。すると筒井康隆と書いてある。それなら買うかと思い、生協だったか地元の本屋で買った。 その日の夜、初めて、本を読んでいて寝れないという経験をした。それだけ夢中になって読んだ初めての本がこれだった。頭に音と映像が勝手に流れ出てくる。あれだけ強く自

          頭が穿たれるってのはこういうことか

          なりゆきまかせ

          せかせか会社員をしているが、会社員になろうなんて大学の頃はこれっぽっちも思ってなかった。 大学三年生の末、図らずも自分が行こうと微塵も思っていなかった研究室に行くことが決まった。第一志望の研究室に行くことも普通にできたのだが、成り行きでその道を選んだ。 その判断自体に絶望を覚えたこともなく、何とかなるだろうと思っていたところ、友人から就職活動の話を持ち掛けられた。それまでは大学院生になる将来を勝手に想像していたが、 「その手があったか!」 と、いう思いで就職活動を始めた。

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