本でも雑誌でもない、でもやっぱり本

仕事の関係で、新書を久々に買った。しばらくの間、新書は買っていなかった。両手で数えられる程度だろうか?かれこれ10年以上前、大学生だったころはよく読んだ。理系だったということもあり、ブルーバックスもよく読んだと思う。
気になったテーマをちょろっと読むにはちょうど良い。岩波文庫を読み切るのがつらいときに、でも文春や新潮はおじさん臭い。いまほど2ちゃんやオンラインソースを外で気楽に見ることができる時代でもなかったので、重宝した本である。雑誌と学術文庫の合間という形で読んでいたことがおおかもしれない。

あのころは『生物と無生物のあいだ』がちょうど流行った時期で、実際に生物学を学んでいた私は、
なるほどそんなもんなのかやっぱり生物学は面白いの~。
と、ワクワクしながら読んだ。本書がきっかけだったと思うが、講談社新書はそこそこ読んだ。ちょうどそのあたりでリニューアルしたシンプルな装丁が好きだったことをよく覚えている。自分は人とは違う、変わりもんだなんて思っていても、結構ミーハーなんだよなと思う。

ただ、ネット環境がこの10年で劇的に変わったので、電車の中の暇つぶしの方法は様変わりしてしまった。あまり本も持たなくなってしまった。無料で読めるオンラインコンテンツも、以前とは比べ物にならないくらい充実している。新書のハッシュタグをつけた割には、ずいぶんとネガティブなスタートだとは思うが、これが現状であることは間違いない。

とはいえ、新書がつまらなくなったかといえばそうではない。あたりの数も今と昔でそうそう変わらないと思う。中公新書が『応仁の乱』で、歴史系のコンテンツをヒットさせてから久しいが、僕はそこから中世を飛び越えて、古代史に興味を持った。名前がややこしくて混乱しながら読んだので、いろいろ誤解していると思うが『蘇我氏』は面白かった。学校の教科書で習う限りは、蘇我氏は根絶やしにされてしまったものだと思っていたが、そうではないというのも面白かった。

この本のついでと言っては、語弊があるのだが、私は古事記をちゃんと読みたいと思っていた。しかし岩波文庫はな~と逡巡していた。そこで現れた本が、こうの史代さんの全三巻。東京国際ブックフェアに参加したい際に、平凡社のブースで知り合いにお勧めしてもらった。これはいい買い物だった。ただ、古事記の神代までなので注意である。
こうの史代さんは『この世界の片隅に』なども著名だが、『ギガタウン』などそのほかマンガも名作なのでぜひチェックしていただきたい。

理系でありながら教育学部だったので、橘木先生の新書ちょくちょく読んだと思う。特に格差をテーマにしたものは、自分を省みるきっかけにもなった。
私は母子家庭の出身であるが、親と親族には教育に関するお金は惜しまずに出してもらう機会を得たし、そのおかげで大学に進学し、いまも社会人の端くれとして生活することができている。私の母の収入だけで考えるとまるで奇跡である。教育社会をテーマにした本は、自分の環境を振り返り、新たに作っていくためにも一度読んだ本が良いと特に思う。

ちなみに、最近買った新書は、落合陽一さん。初めて彼を見たときは、いきり得体のしれない人が出てきたなと少々訝しんでいたのだが、Twitterで落合さんが
「他人300%以上働く」
というようなつぶやき(数字もうろ覚えです)を見て以降、自分を追い込めるストイックな人なんだなと、ぼんやりとしているが明確な好感を持っている。

そんなことを思い、久々にnoteに書き込んだ次第。2023年はどうなることやら。本年もどうぞよろしくお願いします。

#新書が好き

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?