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ふとした横顔

随分前だがあるショッピングセンター内にある書店が縮小することになった。そこの店長は、前の勤務地の頃から存じ上げていて、訪店するといつもいじってくれる明るいかたであった。

縮小して間も無くのタイミングで挨拶に行った。半分くらいだろうか、確かに規模は小さくなっていたが、品揃えは考えられ工夫されていたなと感じた。さて、店長の所に行くと

何しにきたの?

といつものように、イジリがはいる。こちらもこちらで

いやぁ近くまで来たんもんで、遊びに。

と、返す。すると

オッケー!営業して良いよ。

と、笑顔が返ってくるいつものパターン。

ところがその日は、そのやり取りの後で

〇〇くん、ちょっと来てくれる

と、裏に呼ばれた。なんだろうとついていくと、灯りもない薄暗い広いスペースが。そう、縮小にあたって撤収したエリアだ。つい先日まで店として生きていたはずなのに、何もない荒涼とした空間になっていた。

その時、何を話したか朧げだが、悔しそうで、やるせなさが混じり、どこにも向けられない憤りのようなものが含まれた眼は忘れることはないだろう。売り手のプライド、思いをこれほどまで実感したことはない。

そんな人に支えられている。そう感じてやまない。

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