koharu
不思議の国のアリスのような、異国の、別の世界の、そらのたねの物語
ある時、小さな田舎の小さな宝飾のアトリエで、宝飾の創作をしている店主の頭の中に撒かれた詩、そらのたね。誰もが主人公で必要な存在…。その詩の想いを届ける為、店主と繋がる様々な人を介しながら登場人物に迎え進んでゆく人間の物語。 登場人物の一人でもある、Koharuさんが綴ります。
いつものように木の上のほうを見ていた。 森というには小さく、街路樹とはまるで違う、家を囲う大きな樹木群。 家と家の間隔は広いというより、ぽつりぽつりとある家を囲うように、樹木はあった。 当然、人が棲家とする際に手入れはされていたのだけれど、よもや手入れも行き届かなくなるとは思わなかった頃の樹木だ、枝を張ろうにも、根を張ろうにも邪魔が入る、人工物が妨げる。 わたしが小さい頃は、木の上にチャボが居た、鶏のように鳴いていて、小屋で飼われていた記憶はない。 いつの間にかチャボ
創作活動の場としてこちらのアカウントを分けたから、自分のことは、必要かどうか迷った挙句 https://note.com/ae111_kiiro/n/n14b8a2183d68 こちらに記事を書いた。
「犬と暮らしたい。 黒っぽい和犬。 憧れて憧れて、いつかいつか、と考えていたら、そのイメージが残った。 だから、新聞に載っていた写真ですぐ電話して、一週間後に訪問約束して、話を聞いて、1ヶ月かけて犬を迎える準備物揃えて、さらに1ヶ月待ってもらってお金揃えて、迎えに行った。」 まぁ、そんなふうでしたよ。 姉ちゃんは、一度来てから何回か来るから、なんとなく私はこの人んちに行くんだなぁという雰囲気はわかりました。 暑い夏の日で、注射の後初めてのクルマで酔ったのか、私は吐き
「青いお皿はまだありますか?」 「青は…売り切れたかな…?でも他のはまだあるから良かったら見て行ってくださいね。」 と言っても私はお店番なんだけれど、と言いながら、その人は食器を並べてくれました。 カップを手に取ると、軽いなぁと思いました。家で使っているものは、少し重くて、うっかりナマケモノは時々、こぼします。 土を捏ねて焼くやつだよね、写真、窯だよね、どっしりしてるのかと思ったら違うんだなぁ…。 両手で持つとちょうどそのカタチに合うので居心地が良いな
青いお皿って、ちょっと珍しいね。 そんな声が聞こえて、ナマケモノは、そういわれてみたら、と思い浮かべてみました。 白か黒か、フチにお花とか葉っぱとか、そういう模様も浮かびます。 レストランならあるかもしれないけど。 最近は、ニライカナイのことを思い出しても、涙は出ません、ドキドキしたり、焦ってぐるぐるした気持ちも、大変少なくなりました。 青い食器の話をしていた人たちは、大きな公園の方から来たようでした。そうして周りを見てみるとこれから向かう人や、もう帰る人
ねえ ねえ、キミ。 キミ、道に迷ってるの? それとも旅の途中でここにいるの? だってさ、キミ、そらのたねだろう?ぼんやりしていると、消えちゃうよ、見失うよ。 なにそれ、って聞かれても…。 んー。いま、わからない、ってことは、今まだ、途中なんじゃないかな、ってことしか僕にもわからない。 人間は力を持ってて強くて、まぁ、ちょっと乱暴な部分もあるからさ、人間の近くに居るにもちょっとコツがいるよね。脆い部分もあるから、その部分を隠したり誤魔化したりもして、なん
シルバーの旅路 皆様、ご機嫌いかがですか? カレンです。 先日は、ひっそりとお送り致しましたが、実はわたくし、いえ、わたくし達、お喋りするのが好きなんです。私たちがいるアトリエ愛芽には、意外と、お話がしたい!とワァワァ言うものたちがたくさんいます。 アトリエから出ていなくてもこのアトリエを通過点として出入りする人々や、様々な生き物、そして、たまに…パソコン…あの機器を用いている時に、そおっと聴いていると初めてのお話や懐かしく思うお話なんかも聴けるんです!あらぁ!ま
スペクトラム〖spectrum〗 (名)スル 分光すること。「咲き拡がる白泡は、日光に淡く七彩を━する/青春風葉」 大辞林 第三版 虹の色が7色あるよ、というのは聞いた事があったり見た事もあるかもしれません。また光はどうして色が付いて見えるのか、なども理科や天文学、文学、化学の授業中に習う事かもしれません。 ここで言う「自閉スペクトラムを持っている」とは「そういう特徴的なものを様々な分量で持っている」と言っておきます。 光の説明のように、明るい印象を受けたり、与え
仲睦まじく、雰囲気の優しい鳥がいた。キラキラした尾羽を持つ鳥…。 絵画の中の鳥、その絵画から目が離せなくなりました。優しい雰囲気は好き。でも何故でしょう、絵画から受ける印象は優しさというよりは…。 「愛、とか? なんとなく言葉だけで、目の前で風船がパーンッと弾けたみたいに真っ白になってしまう…。 僕には無い…そのことが、情けないような、未熟さのようで、少し、悔しい。」 以前のナマケモノなら、こんなふうに、自分のことを言わなかったかもしれません。でもナマケモノは今
雨の音を聞いた日、あれからしばらくして、ナマケモノは手紙を書きました。 ニライカナイのオーナーと、文具を色々揃えてくれた梟さんに。 自分の気持ちや出来事を思い出して、いざ文章にすると、書く前に考える時間がたくさん必要でした。 だから、何枚も書き直して、ようやく2枚にまとめて、やっと先程郵便屋さんに出しに行きました。 色々な野菜が育っている畑の傍にある木陰で休んでいると、もくもく雲が育つように土が盛り上がってきました。 「おや、ここまで来たな。引き返すか…向きを
お休みをすることになったナマケモノは、しばらくは食事をしても、お掃除をしても、なんだかモヤモヤした気持ちでした。 あんまりモヤモヤするのでいろんな事をやり過ぎました。他人のアドバイスを素直に受け入れるナマケモノは、アレはコレは、とやったら良い事はとにかく試します。 そしてやっぱり疲れてしまい、どうして自分は上手く出来ないんだろう、と自分を責めてしまうのです。 これではまだなんにも変化も進展もない、手紙が書けない…。 それもナマケモノの悩みでした。 天気が悪くな
ナマケモノは基本的にマジメなので、とりあえずお手紙を書く準備をしようと出掛けました。 小さな文房具屋さんなのだけど、学校なんかに必要そうな物はなんでも揃います。水筒なんかもあります。 そういうお店があるよ、とお客様から聞いていたのを思い出したのでそこへ向かいました。 ちりんカランとドアを開けると、その、教えてくれたお客様の梟さんが居ました。 「おやぁ、いらっしゃいませ。今日は何をお探しですか?」 「梟さん?! 僕、梟さんは和菓子屋さんかと思ってました!」 梟さ
「どうしよう、疲れちゃった…。でも僕が頑張ったことは、喜んでくれてるし、またよろしく、なんて言われたら嬉しい。でも…なんだか、疲れちゃった。」 泣き出したナマケモノに、ニライカナイのオーナーは温かいチャイを渡して言いました。 疲れるなんてみんなあること。でも泣くほどなら、休むことが最優先。涙が出てしまうほど、身体も心も疲れてカラカラなものなんだよ? 「休んだら…また始めるのは大変だって聞いたことがあるの。それは怖いことだよ…続けるか、やめるか、二択しかないの?」
universe seed 「宇宙の種」 そらのたねとは、たくさんの物語が出たり入ったりする箱であって、 それこそ一番深くを、なかを覗き込んだ時になにを見るかは、人それぞれ違うはずだ。 なぜなら、そらのたねは人間の物語で、神様や魔法使いは出てこない。 どんな困難も解決できるような道具も出てこない。 しかし、人が創り出すものはなんだって、いつだって、人の助けになり人を癒し人を勇気づけたり、たまには少し傷付けたりしつつも、それを手にした目にしたひとりひとりの「種」の糧にな
私は、アトリエ愛芽の引き出しに居ます。これからジュエリーになる予定です。私たちはたくさん居ます。色もカタチも様々です。私たちには古来の人々が込めた願いが今もほぼ変わらずそのまま残っています。愛、安らぎ、健康、希望、子孫繁栄、商売繁盛など。 古来、人の願いはいつも自分というより、周りの人々と末永く暮らす為に、というものでした。願いや祈りを自分に向ける様になると、守って欲しい助けて欲しい…まぁ、私たちには手助けする程度しか実力はありません。私たちの力を増幅させるのも、綺麗な石
皆さま、こんばんは。radioカレンの部屋へようこそ。 人間たちの夢の傍ら、わたくし達はゆっくりお喋り致しましょう。 本日もお便りをいただいて嬉しい限りですよ。 でもねぇ、お便りの内容が揃うなんて、ふふふ…。皆さんが気になるのは分かります、分かるから尚更、どうお答えしようかしらと今日に至りましたよ。お楽しみ下さいね。 それでは、ご紹介いたしますね。 季節が巡りましたので、渡り鳥の皆様から連名でいただきましたよ。 「あの「そらのたね」という名前の長い詩は自由に