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5 宝石と人の繋がり

 私は、アトリエ愛芽の引き出しに居ます。これからジュエリーになる予定です。私たちはたくさん居ます。色もカタチも様々です。私たちには古来の人々が込めた願いが今もほぼ変わらずそのまま残っています。愛、安らぎ、健康、希望、子孫繁栄、商売繁盛など。
 古来、人の願いはいつも自分というより、周りの人々と末永く暮らす為に、というものでした。願いや祈りを自分に向ける様になると、守って欲しい助けて欲しい…まぁ、私たちには手助けする程度しか実力はありません。私たちの力を増幅させるのも、綺麗な石で留め置くのも、人間がどれだけ自分を信じるか、行動するか、いつも人間次第でしたしこれからもそうです。
 宝石、なんて、そういうものですよ、キッカケです。でもね、叶えてあげたい、チカラになりたい、私たちは微力ながら自分自身を鼓舞しています。そして秘めた力を光に変えて微力ながら持ち主を励まして、応援しています。

 のぶえんさんとMariko さんも、アトリエ愛芽のお客様でした。それぞれが、このアトリエに来る事情も時期も違いましたが、二人は友人でした。
 のぶえんさんは…のぶちゃんは野菜が好きで、野菜の苗を作る会社にいる傍ら、自らの土地を開墾して独自にのぶえんを作りました。
 結構体力が必要だし、梅雨時期、雑草は2、3日で背丈程に育つものです。雨は等しく恵みですから。人間にとってもそうです。雨なら休んで疲れた身体をほぐしながら本でも読んで、晴れたら朝から精一杯のできる作業をしたらいいんです。
 
 のぶちゃんは雨の日は、「晴れたらあれやろう、これやろう」と考え、雨の日に出来ることは、野菜の種のこれからや、生産農家のこれから、それから自分がやりたい何か、いまの自分をしっかり生きています。
 そんなふうに自分のやる事から目を離さないのぶちゃんがいつも身に付けていた宝石は、時々、アトリエにメンテナンスや近況報告なんかで、戻ってきます。こっそり「元気にしてるか?ご主人のチカラになっているか?」と囁くのです。宝石は宝石同士、人間は人間同士の話をします。

 そんなある時、我らがアトリエの愛芽さんは、「のぶちゃんの野菜愛を私以外にも知って欲しいなぁ」となりました。
どうやら、のぶちゃんの持つ宝石と、のぶちゃんの願いや祈りが、リンクしたのかもしれません。宝石は宝石自体が何かできることは少ないけれど、ここぞとばかりに、光を放ちます。キラリ、キラリ…。後押しするように光ります。

 そらのたね「愉しむ野菜と絵とアクセサリー」は、こうして小さな新しい芽を迎えました。

 創意工夫のある人ではあるけれど、のぶちゃんは、作家活動をしていない人です。
しかし、その熱意や「いつかこういう事をやってみたい」という意思や言葉、行動は人を魅了するのです、宝石の輝きにも負けないヒカリを放つのです。愛芽さんはのぶちゃんに魅力を感じました。
 そしてもう一人、のぶちゃんの熱いヒカリの渦にえぃっと飛び込んだのがMariko さんです。人を支えるお仕事をされていました。その勤務時間や仕事内容では今後の自分自身の「どうしていきたいのか、何をしたいのか」を考える時間は少な過ぎたかもしれません。自分の事を考える、って人間には必要ですが人間として生きていると難しいのです。

 仕事やめてどうするの、とか、続けながら考えたら?とか、言われたかもしれません。   
他人の言う事を信じたり従ったり…それが悪いと言う事じゃありません。
 ただ、古来より人間は、人間の輪の中で争いがないよう、よく我々宝石たちに祈りました。たまに、意見が合わないと争いになる人間たちにはその苦い記憶が、我々とは別のカタチで残っているのかもしれません。

 のぶちゃんは、アトリエ愛芽から、Mariko さんへプレゼントを選びました。古来から、宝石やジュエリーは、友人や、大切な人の勇気やお守りになるようにプレゼントになってきました、送り出す我々も、旅立ったあの子も、そんな宝石になれた誇りを持っております。

 Marikoさんも作家活動をしているわけではありません。しかし人間は、オープンにしないだけ、個々、ひっそりと光を持っています。宝石はそんな隠れた光の代わりに、キラン、キラン…と囁くのです。素朴で優しい絵を描くよ、小さくても溢れそうな気持ちが詰まった絵なんだよ…。
のぶちゃんと、愛芽さんにその輝きを見出されたMarikoさんは表に出すことを決めました、やってみよう、と決めました。
 Mariko さんは人に流されない人、自分の人生どうしようか、仕事を辞めてでも一回ちゃんと考えたいと、考えられる人。
 自分の持つチカラを出す!やってみる!と決めた人間を陰から支えたり、大丈夫大丈夫と前へ出す役割の人間も古来から居たのです。
 今回、2人をそうしたのは、愛芽さんでした。愛芽さんは、私たち宝石のように、様々ならカラーを持っています。ひとつのカラーに捉われず、場面や人に合わせてカラーチェンジ出来る宝石のよう。そして私たちが人間を愛しむように、愛芽さんも人間を愛しみ、応援します。そういう似た部分が、私たち宝石と愛芽さんを巡り合わせたのかもしれませんね。

 「進んだ先で幸せになりました、なんて語り継ぎたいに決まっている。そのくらい、自分の気持ちを大事にすること、それを他人に伝えることは尊いことなんだよ」
 
 とある宝石は、この出来事を記憶の一部にしました。

 私たち個々の宝石は、それぞれに、祈りや願い、それから記憶を秘めています。
 
 口癖のように呟いている願いや祈りはやがて実現を迎えます。だから忘れないで欲しい事があります。あなたの願いや祈りで世界は変わるんです。この3次元世界に生きる一人ひとりの心が大切なんだと、覚えていてください。

 今回、特定の宝石たちの名前は、内緒です。
 私たちはあなた方に逢えるのを楽しみにしています。ちょっぴりでも、願いや祈りがみえているなら、あなた方はきっと、相応しい宝石を選びます。
 それに、宝石とは限りません。
 人間が生み出すモノは、絵や野菜に限らず、これから出会う様々なものが心の栄養素足り得る物なのです。
 心を豊かにするものです。
 ほんの少しの余裕を大切にしてください、煌めくヒカリを見逃さない様に。
 
 

どんな展示会だったのかな、もう見れないのかな?興味を持ってくださったかたは、こちらをご覧になってくださいませ。



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