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【3分要約・読書メモ】安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方

ご覧頂き、ありがとうございます。
今回は「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方」についての記事となります。


こんな人におすすめ

・日本社会の変化に興味がある人
・安心と信頼の違いに興味がある人
・教養や哲学に興味がある人
・日本社会に関して理解を深めたい人

著者

山岸俊男
愛知県名古屋市生まれ。一橋大学社会学部で社会心理学者の南博教授に師事。北海道大学教授、東京大学特任教授を経て、2011年北海道大学名誉教授、2014年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授。2004年、紫綬褒章受章。2013年、文化功労者顕彰。2005年10月より日本学術会議会員も務めた。

レビュー

これまでの日本社会は、信頼をあまり必要としない社会でした。少なくともアメリカを代表とする欧米社会に比べ、他人を信頼するべきかどうかを考える必要性が小さな社内だった。これまでの日本社会では、関係の安定性がその中で暮らす人々に「安心」を提供しており、わざわざ相手が信頼できるにんげんかどうかを考慮する必要は小さかったらかだ。

しかし現在では、これまでの日本社会を支えてきた安心した社会関係や人間関係の重要性が急速に小さくなっている。これまでの日本社会であれば、一度大企業に就職してしまえば定年までの雇用が保証されていましたが、これからは、難しいでしょう。離婚率も上昇傾向があり、一度結婚したらかといって、安定した関係が継続するとは限りません。

いつまでも安心が継続される社会が日本社会の特徴でしたが、安定性による安心の保証が小さくなるにつれ、「この場面では相手を信頼してよいのだろうか」と考える必要性が大きくなっていく。

信頼:相手の人格や行動傾向の評価に基づく、相手の意図に対する期待
安心:相手の損得勘定に基づく相手の行動に対する期待


日本は、これまで「よそ者」を排除し「仲間内」での安心社会をきずいてきた。現在はその「安心社会」が崩壊しつつある。しかし、それは必ずしも「信頼の崩壊」を意味しない。むしろ「信頼社会」へ移行していく良い機会と考えられる。

「日本人は集団主義的でアメリカ人は個人主義的だ」と考えられているが、調査によればこれとは全く逆の結果があらわれている。

日本人が集団主義的なのは、一言で言えば、日本社会には「相互監視・相互規制のしくみ」が存在しているからである。だから、その「しくみ」から解放されたところでは、日本人は「旅の恥はかきすて」的な行動をとることがしばしばあるのである。

本書より

一般には「信ずるものはだまされる。お人好し」ということが言われているが、実験ではその正反対の結果が出ている。

「高信頼者」は、他人が信頼できるかどうかということについての情報に敏感な「社会的知性」が高い人である。 それに対して「低信頼者」は、最初から信頼度が低いので、「本当に相手が信頼できない人だ」という情報が与えられてもあまり信頼度に変化がない。つまり情報に鈍感である、と言える。

本書より

高信頼者は、仲間内だけではなく、あまりよく知らない相手ともつきあってみようと思うから、人間性検知能力が高い。
低信頼者は、「社会的びくびく人間」であり、仲間内での安心をもとめるから、関係性検知能力は高い。また仲間内でも、その関係性検知能力を使って人間関係を積極的にうまく処理していくことはしない。

感想

今までは正解がある程度決まっていて、そのレールに乗れば安心できていた。今、正解は人によって異なり、多様性が爆発している。今日の正解が、明日の不正解になるのが今の時代だ。日本社会の”安心社会”が崩壊し、だれを、何を信頼するのか?”信頼社会”に変わっていく。

「日本人は集団主義的でアメリカ人は個人主義的だ」など多くの常識が調査によって覆る。日本人は元来個人主義的というのは、驚いた。

1999年に初版が出されていますが、この本が警告している日本は信頼が崩壊は多くの人が感じていることなのかもしれません。単に理論を並べているだけでなく、多くの実証実験を紹介しているので、それだけでも面白いと思います。

最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。

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