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古賀慎一郎
2022年11月29日 10:33
規制を飛び越え、のっけからオールスタンディング状態となった客席に、薄暗がりのステージから天空に突き抜けるような歌声が響き渡ってくる。 視線の先にはっきりと映り、鼓膜を圧してくるのは、私を郷愁へ導いてゆくひとつのシルエットだった。その中には、幾人ものフォークシンガー、ロックスター、そして、伝説の歌姫が幻影のように付帯して見える。と、四方からのライトがステージセンターを照射すると、あいみょんがギタ
2022年11月23日 10:30
二〇二〇(令和二)年十二月九日夕刻、私とゴッド(友人)の目的地である日本ガイシホールには、歌あるほうへと、静かにオーディエンスが集まってきていた。その光景を目にすると、コロナ渦にあるこのご時世、言いようのない想いが込み上げてくるような気がした。 日本ガイシホールは、プロスポーツ興行をはじめ、国内外のアーティストのコンサート、商品展示会などが開催される、名古屋最大の体育館である。収容人数は一万
2022年11月18日 10:30
前回からのつづき そしてもうひとつ、ちあきなおみ「復帰なき理由」として私が思い浮かぶのは、歌謡界の時流というものである。 当時(九〇年代)日本は、〝混沌と狂乱の時代〟と呼ばれた八〇年代から、バブル経済が衰退の一途を辿り、〝ジャパン・アズ・ナンバーワン〟という言葉に象徴された未曾有の好景気からデフレ時代へと突入していた。 そんな時代模様の中、歌謡界では小室哲哉サウンドを筆頭として、音楽はア
2022年11月13日 10:51
おそらく、ちあきなおみの「復帰なき理由」のひとつに、文豪・芥川龍之介の自死を重ね合わせて見ているのは私だけであろう。 だが、ちあきなおみが断歌を決意する局面において、〝ぼんやりとした不安〟がなかったとは言い切れまい、と思うのである。 芥川龍之介氏は明治・大正・昭和を生きた小説家であり、その自死の原因には諸説あるが、私なりの見解としては、文学に対する真摯な姿勢というものである。詳しくは本執筆の
2022年11月8日 10:35
「ちあきなおみという歌手が、もし歌いつづけていたら、今どのようになっていただろうな・・・・」 ぼんやりと思いを巡らせる私を現実世界に引きもどそうと、ゴッド(友人)が敢えて声に出して変化球を投げ込んできた。「もし、などということには答えられないな。ただ・・・・、今の歌謡界が変わることはなかったにしても、なにか別の、ちあきなおみという新しい潮流を示しただろうと思う。そして、その潮流に寄り添って
2022年11月3日 11:01
今後、ちあきなおみの芸能界復帰はあるのであろうか。 時折、なんの根拠もなく【ちあきなおみ復帰】とか【復帰か?】などと、ファン心理を翻弄するかのようなタイトル記事がタブロイド紙などに太文字で踊ることがあるが、こういった芸能ジャーナリズムの姿勢には、私は些か白々しさを感じる。このようなファンへの無責任な匂わせ、煽りさえも、エンターテインメントの世界とするならば、それは大きな間違いであり、ただ適当