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こどもホスピスのことを伝えるプロジェクト「Koe」をスタートします

こんにちは。フリーライターの佐藤愛美です。
2024年7月より「Koe」と題し、こどもホスピスの取り組みを紹介する連載企画を始動します。

この連載では、こどもホスピスの活動に取り組まれている方や、利用者の方などを取材し、それぞれの想いや活動について紹介していく予定です。

連載開始に先立ち、私がこのプロジェクトを立ち上げた経緯について少しだけお話させてください。

決して遠い世界の話ではないと気づいた

私が「こどもホスピス」に興味を持ったのは、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっていた2020年頃のこと。コロナ禍の東京で妊婦になった私は、当時の自宅から通いやすかった国立成育医療研究センターで出産することを決めました。

成育医療研究センターは日本で最大規模の小児・周産期医療施設としても知られる病院です。
妊婦健診で何度も病院を訪れ、そのときに私が目にしたのは、重い病気と闘う大勢の子どもや、その子を支える家族、そして医療従事者たちの姿でした。

保護者と離れて一人きりで入院している小さな子どもたち。子ども用の車椅子を押して外来窓口にやってくるお父さん、お母さん。付き添いのきょうだい。生まれてからずっとNICUに入院している赤ちゃん。難病の子どもと家族が利用できる宿泊施設。病児に寄り添う病棟保育士やファシリティドッグ。

私は過去に子育て支援の現場で働いた経験があり、難病の子どもたちへの支援や小児緩和ケアについて知る機会は過去に何度かありました。

しかし、そういった世界は自分とはどこか遠くにあるものだと、自分の人生には関係がないものだと、心の中で線引きをしていたのかもしれません。

実際には、私の暮らしと地続きの場所にあった。
遠い世界の話ではなかった。
病院の待合ロビーでそう気づき、自分の視野が狭かったことを自覚しました。

そして、病気と闘うあの子たちの命と、私のお腹の中にいる子の命。両者を重ねて考えるようになりました。

東京都世田谷区大蔵にある国立成育医療研究センター。敷地内にはいわゆる「医療型こどもホスピス」と呼ばれる「もみじの家」が併設されている。

残された時間をその子らしく、子どもらしく生きられるように

その後、病気と闘う子どもたちとその子の家族を取り巻く現状について調べ始め、現在の日本には数多くの問題があることを知りました。

以下はその一例です。

・医療施設では患児や家族の医療的なケアはできても精神的なケアまでは手が回らないこと。
・病院と自宅を往復する日々に疲弊してしまう両親が多いこと。
・患児のきょうだいが精神的な負荷を抱えやすくなること。そのため健全な成長発達に影響が出るおそれがあること。
・医療・福祉・教育の領域における制度はあるものの、患児や家族が心から安心して過ごせる環境を得るには不十分であること。

こういった数々の課題の解決策の一つとなり得るのが「こどもホスピス」の取り組みです。

こどもホスピスという名前から、「病気の子どもを看取る場所」「小児がん患者の緩和ケアをする場所」といったイメージを抱く人が多いと思います。私自身も当初は、こどもホスピスに対して看取りや死のイメージを持っていました。

しかし実際に訪問して目にしたこどもホスピスの現場は、死のイメージとは真逆の明るい雰囲気で満ちていました。

命を脅かす病気と闘っているはずの子どもたちが、家族と一緒にクッキングを楽しんだり、思い切り水遊びをしたり、おじいちゃんやおばあちゃんも呼んでみんなでお泊まり会やパーティーをしたり。

病院や家庭では実現が難しい「こんなことをやってみたい!」という子どもたちの思いを実現し、普段は看病で忙しい家族やきょうだいにとってもリフレッシュの場所となる。そんな前向きであたたかい場所でした。

認定NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトが運営する「横浜こどもホスピス うみとそらのおうち」は、日本で2つ目のコミュニティ型こどもホスピス。

現在、日本には寄付によって運営されている「コミュニティ型」と呼ばれるこどもホスピスが大阪市と横浜市に1つずつ存在しています。
また、各地域においても、施設はまだないものの、こどもホスピスの理念を掲げて活動する団体が増えているようです。

欧米と比較すると日本ではまだこどもホスピスの数が少なく、知名度も低いのが現状です。令和6年になってようやく国が初めて実態調査をスタートしたばかり。法の整備や公的な支援制度の拡充にはもう少し時間がかかるだろうと予測されています。

子どもたちの小さな声を、取りこぼすことがないように

このプロジェクトが、こどもホスピスが世の中に広まるための一助になれたらと思っています。
まずはnoteの配信からスタートし、いずれは冊子の形にすることが目標です。中高生や、医療や児童福祉の担い手となるであろう10〜20代の方々にも情報を届けていけたらと構想しています。
走り出したばかりの企画ですが、見守っていただけたら嬉しいです。

そして。
「Koe」というプロジェクト名は、子どもたちの声に由来します。

聞いてもらえなかった声。
なきものにされてしまった声。
声にならなかった声。
子どもたちの声は透明化されてしまいやすいからこそ、取りこぼすことのないように。
病気と闘う子どもたちの声も、その子のきょうだいである子どもたちの声も。

プロジェクトのロゴマーク

活動に興味を持ってくださった方は、お気軽にお問い合わせください。応援や共感のメッセージも大変励みになります。

収益目的のプロジェクトではありませんので、その点はご理解いただけますと幸いです。

主催の佐藤のSNSやポートフォリオなどはこちらにまとめてあります。


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