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#ラジオドラマシナリオ
『いつものデート』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年11月9日(再放送:11月13日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
(騒々しい店内の定食屋)
店員「ご注文はお決まりですか?」
男「エビフライとヒレカツランチと、ロースカツとチキン南蛮ランチ」
店員「は、はい」
僕はいつもランチでは2食分頼む。
そして大体いつも、隣に座ったサラリーマンやOLたちに『そんなに!?』と驚いた顔をされる。
少ししたら僕の目の前には大量のカツが並んだ。
僕はベルトを緩めて、今ならひょっとしたら全部食べられるんじゃないかと思ったりする。
『秋を知る』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年11月2日(再放送:11月6日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
彼女は料理が得意だった。
女「こんなのてきとーよ。クラッカーにマリネサーディンとアンチョビ、ハラペーニョスライスを順番に乗っけて最後にミントを飾っただけ」
男「うまいよ、このスパイシーマリネサーディンのピンチョス」
ブランデーを飲んでいるとお酒にあったおつまみを彼女はささっと作って出してくれた。
ビーフジャーキーとクリームチーズのディップ。
アーモンドとレーズンのポテトサラダ。
女「このコ
『テキトーな会話』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年9月14日(RE:9月18日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
残業を終えた彼女が店に入ってきた。
フライデーナイトの店内は、いつもより賑わいをみせていた。
男 「おつかれ」
女 「パンパンよ」
男 「終わった?」
女 「どれ?」
男 「いや、あれ?」
彼女が言葉を発する前に、表情で答えはわかった。
女 「どう思う?」
あえて聞き返してきた彼女。
やりきったという表情だ。
そして、これ以上は愚問だ。
女 「それで?」
男 「いや~」
女 「そうな
オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル『カレーの口』(2021年5月25日オンエア分ラジオドラマ原稿)
僕らはこの春から同棲を始めた。
「好きな食べものは?」
「カレー、ゴーヤチャンプル、あと焼肉。いや~、ごめんね、全然可愛くないよね」
彼女は恥ずかしそうにそう言って笑った。
「全然いいと思うよ。まあ確かにかわいい食べものではないね」
「あと、お味噌汁かな。これも可愛くないか」
「ていうか、かわいい食べ物ってなに?」
「えーパスタとかパエリアとかパクチー」
「パが付いてるだけじゃん笑」
「キム
オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル『ケーキを買いに』(2021年5月18日オンエア分ラジオドラマ原稿)
僕がケーキ屋に行く理由は、だいたい1個くらいしかなくて、それは、彼女に会いたいと思っていることだ。
「いらっしゃいませ」
駅前のケーキ屋さんで、僕は彼女に一目惚れをした。
バイトなのか見習いなのか家の手伝いなのか、もちろんはじめは分からなかった。
白いコックコートを着て、ベージュのハンチングの後ろから大きな三つ編みでしばった少し長めの髪の毛が肩から前に出ていた。
彼女と目があって、慌てて目
オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル『アクリル板越しの恋』(2021年4月6日オンエア)
手元に4枚のチケットがある。
2枚はプロ野球公式戦、3月20日福岡ソフトバンクホークス対千葉ロッテマリーンズ、
2020年の開幕戦予定だったチケットだ。
知ってのとおり、この日この試合は行われることはなく、そして僕はデートに誘うことができなかった。
つまり、僕の恋愛も開幕しなかったわけだ。
僕の想いを寄せる女性は、天神のとあるデパートのサービスカウンターに座っている。
2020年は片想いの人