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モノの時代からコトの時代へのシフト@しもつけ随想

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僧侶井上広法が2019年7月から12月まで下野新聞に連載していた「しもつけ随想」のアーカイブ
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記事一覧

時代の狭間で苦しむあなたへ@第1回しもつけ随想

時代の狭間で苦しむあなたへ@第1回しもつけ随想

地元の新聞(下野新聞)に連載していたしもつけ随想が年内で終わったので、
ここに残しておこうと思う。

■時代の狭間で苦しむあなたへ −死にたくなっていませんか?−

あなたは自分の人生を生きていますか?なんとなく代わり映えのしない毎日を淡々と過ごすだけになってはいませんか?やる気が出ない、なんとなく生きているだけ。生きる意味が見つからず、壁にぶつかるたびに「死にたい」と思ってしまってはいませんか?

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ものの見方を調える@第2回しもつけ随想

ものの見方を調える@第2回しもつけ随想

■ものの見方を調える

前回は、モノからコトへシフトしている時代について、そして、そのはざまで生じる苦しみについて概観しました。今回は、コト、つまり体験や経験、さらには意味付けなどについて考えていきたいと思います。

■レンガ職人の寓話

イソップ童話に「3人のレンガ職人」という話があります。ある旅人が、れんがを積む3人の男たちに「あなたは何をしているのか?」と尋ねます。最初の男は、生活のためにや

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空気の力@第3回しもつけ随想

空気の力@第3回しもつけ随想

■空気の力 −娘の短冊−

「プリキュアになりたい」と幼稚園で七夕の短冊に書いたのは私の長女。プリキュアとは、幼稚園の女児たちに大人気のアニメです。通常は微笑ましく思えることなのですが、しかしながら私はそら恐ろしくなってしまいました。なぜなら、娘はプリキュアを一度も見たことがないのです。さらには別のアニメ(アイドル戦士)のヒロインになりたいといつも言っています。

これは一体どういうことなのでしょ

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「助けて」と言える社会@第4回しもつけ随想

「助けて」と言える社会@第4回しもつけ随想

「助けて」と言える社会

先日の台風19号の被害に遭われました方々に心よりお見舞いを申し上げます。私どもの寺である光琳寺から車で10分ほどの宇都宮市千波地区でも床上浸水等の被害がありました。人々が長年住み慣れてきた住居が浸水と汚泥によって変わり果ててしまわれたことに心を痛めています。さらには住居の被害のみならず、被災された方々の心の傷もいかばかりかと心配しております。

ほぼ毎年、いままで経験した

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奇跡であるかのように生きる@最終回しもつけ随想

奇跡であるかのように生きる@最終回しもつけ随想

画像出典:https://feely.jp/

■あたりまえにモノゴトをみるココロのクセ

私たちの心にはいくつかの癖のようなものがあります。そのなかでも「ものごとをあたりまえにみる」心の癖について考えてこの随想を閉じたいと思います。たとえば、子どもの頃を思い出してみてください。道端に生えている草、そこにいる小さな生き物。あるいは空を飛ぶ鳥たち。通りすぎる自動車。目に映るすべてのものが新しく、その

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