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小さなお店が、集客のために半径数メートルの商圏でできるシンプルなこと

私がまだ女将になったばかりのころ、近所に新しくスーパーができたので、それまで通っていたスーパーから鞍替えする形で通うことにしたんです。

スーパーって大体どこもそうなんですけど、レジ打ちが早い人とそうじゃない人がいるんですよね。そしてレジ打ちが早い人って他の仕事もよくできるので、何回も通っているうちに「あの人はカード払い」「ポイントカードはなし」とかって覚えてくれるので、こちらの手間が省けてとても助かります。

なので仕事の合間の買い出しで利用することが多い私は、スーパーを利用する際は必ずレジ打ちの早い人を何人か見つけておいて、その人のレーンに並ぶのを習慣にしているのです。

で、その新しく通うことになったスーパーでもやっぱり何人かレジ打ちが早い人がいて、中でも50代ぐらいのある女性が手際が良くて、よく並ぶようにしていたんです。毎日のように顔を合わせているので、挨拶や雑談を交わすようにもなりました。もちろん、カード決済だとか、ポイントカードを持っていないだとかも早い段階で覚えてもらえました。

こんなふうに、互いにほどよい距離感で交流を続けていたある日のこと。いつものように店のユニフォーム姿で買い物をして、馴染みの女性店員のレジにカゴを差し出すと、こんなことを言われたんです。

「お姉さん、あそこのお店の人よね?どこの人かなぁと思ってたの。今度行っていい?」

もちろんです!と答えつつ、まぁ社交辞令だろうとあまり気にしないでいたら、なんと後日、同じ職場の女性を連れて本当に食べに来てくれたのです。しかも一度や二度じゃなく、何回もです。

元は全然知らない人だったけど、挨拶してるといいこともあるものだなぁと思ったものでした。

実を言うと、このスーパーに入ってる鮮魚コーナーのおじさんも、同じように挨拶するうちに仲良くなって、次第に毎日のように通ってくれるようになったんですよね。挨拶がきっかけでお店に来てくれるようになる人、休業前のお店にはけっこういましたし、ローカルでお店をするにあたってはそれが半ば普通のことだと思ってました。

だけど何年もこの土地で商売をしてきて分かったのは、私が当たり前だと思っていた習慣は、必ずしも当たり前ではなかったということ。

見ていると、新しくお店を始めてもとなり近所に挨拶に行かない。周辺のお店に入っても、ただ無愛想にサービスを受けるだけ。こんな人もいるのかぁと思ったものでした。


ローカルのお店の商圏は小さい。だからこそ

どんな振る舞いをしようとお店の自由ですよ、もちろん。大都会ならこれでもいいんだと思います。でもここは渋谷でも新宿でもない一地方都市。すごくもったいないことをしているなぁと思って。

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