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百物語 第五十一夜~第六十夜

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百物語 第五十一夜から第六十夜までをまとめたマガジンです。
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#小説

百物語 第五十一夜

仕事帰りに、猫の集会に遭遇したことがある。

時刻はたぶん、午前を少し回った辺りだった。新月の上に星も見えず、道行がずいぶん心許なかったことを覚えている。

目の前を、一匹の猫が横切っていった。

真っ白な猫で、暗闇の中に浮かびあがっているように見えた。

もともと猫が好きだったこともあり、無意識に、その行き先を視線で追ってしまう。

白く長いしっぽを高々と持ち上げながら、猫は空き地へと入って行っ

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百物語 第五十四夜

三年前、地区社協に入っている友人から、ボランティアをしてみないかという誘いがありました。

週に一度、一人暮らしのお年寄りの家を訪問する、“見守り”活動。

長いこと趣味もなく、仕事と家事だけをやってきた私は、新しい世界を覗いてみたい気持ちもあり、二つ返事で引き受けました。

思い返してみれば、最初の頃は大変でした。

近年、お年寄りを狙った犯罪が増加していることもあってか、新顔の私は大いに警戒さ

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百物語 第五十五夜

上の娘がまだ二歳だった頃、家のあちこちに「お化けがいる」と言い出したことがあった。

居間のドアのガラス部分には「お顔お化けちゃん」、部屋のそこここをうろちょろする「ねこちゃんお化けちゃん」、そして廊下には「目玉お化け」。

小さい子ども特有の微笑ましい想像の産物だろうと思っていたが、それなりに怯えて廊下を嫌がったりするので、このままでは完成しかけていたトイレトレーニングが頓挫するのではないか、と

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百物語 第五十六夜

友達の家の犬が苦手です。

一見何のかわりもないただのチワワですし、病気もなく、しつけもきちんとされていて、無駄吠えもありません。

私にも恐らくなついていると思います。
私もそれまでは遊びに行く度によく可愛がったものです。最近は少し…距離をおいて接しています。

以前遊びに行った際、友人がお茶の用意をしてくれている間に、私が抱っこして撫でていました。すごくおとなしく私に撫でられていましたが、友人

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百物語 第五十七夜

久々にKさんから連絡があった。
私は残業を切り上げ指定された居酒屋に向かった。

Kさんは私の元上司の友人であり、私が当時勤めていた会社の取引先社長でもあった。あの頃まだ大学を卒業したてで生意気盛りだったぺーぺーの私をなかなか気に入ってくれ、入社後半年もするとしょっちゅう二人で夜の街を飲み歩くようになっていた。

その後、同棲していた彼女と別れたことを機に、私が会社を辞めた後も、Kさんとの交流は無

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百物語 第五十八夜

夜勤の仕事をしていた頃の話だからもう十年以上前のことだ。

昼夜逆転の生活は当時若かった私にはそれほど苦ではなかったが、それでもストレスが溜まっていくのが自覚できていた。
夜のシフトに回される以前、少なくとも週に一度は友人たちと遊びに出かけていた。
昼夜逆転の生活となってしまってからは、友人たちとはメールでのやり取りくらいで、直接会えることはなくなった。

職場とアパートの行き帰り。
たまの休みも

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百物語 第六十夜

黄金色

夜明け前

輝く空

輝く地面

父さんが買ってくれた靴

あなたの大好きなイチョウ

あなたの大好きな父

あなたの大好きな父が買ってくれた靴

あなたの嫌いなギンナン

地面に転がったギンナンをよける身軽なあなた

そのあなたの様子

夜明け前

この銀杏並木のあなた

気持ちを冷めさせる秋の空気

つぶれたギンナンの匂い

人の内側の匂い

人が腐っていく匂い

僕の生家は戦前から

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