ハイブランド系ECサイト2社を比較!お得なYOOXと旬なBUYMA
こんにちは。元ファッションスタイリスト2女の母のNatsumiです。
突然ですが、ハイブランドを買うとき、みなさんはどこで買い物をしますか?
百貨店、路面店、セレクトショップ、ネット。色々な選択肢があるのはとても嬉しいことです。
私はもっぱらネット派ですが、ひと口にネットと言っても公式オンラインショップ、百貨店のオンラインショップ、楽天などのモール型サイト、海外ネットショップなどたくさんの種類があり、いくつも比較して最安値を探すとなると意外と労力と時間が必要だったりしますよね。
その中でも私がよく見るYOOX、BUYMAについて今日は比較していきたいと思います。
ファッションECの市場規模
YOOXとBUYMAについて語る前に、まずアパレル業界のEC分野について触れておくべきでしょう。
ファッションECの市場規模は年々拡大しており、それに伴い多くのファッションブランドがEC化を進めています。
世界的なパンデミックが起きた2020年にEC化率のグラフが急上昇しているように、ファッション業界にとってコロナがEC化の流れの大きなトリガーとなったことは明らかです。
ファッションECには大きく分けて2種類の運営方法があります。
①自社EC:メーカーやブランドが運営しているECサイト
②モール型EC:オンラインショッピングモール
自社ECはユニクロやZARA、BEAMSなど自社のプロダクトを扱うもので、オンライン上の路面店のようなものです。
モール型ECはさまざまなショップを1つのサイトでみることができる、オンライン上の"ららぽーと"や"イオンモール"のような施設と思っていただけるとわかりやすいと思います。
手のひらで世界中のものが買えるオンラインショッピングは、消費者にとってとても便利ですよね。
企業から見ても、実店舗ではなかなか集めにくい顧客情報をより正確で簡単に収集できたり、店舗にかかる人件費や賃料、電気代などを削減できるなど大きなメリットがあるEC化。
世界規模でますます拡大していくマーケットといっても間違いありません。
YOOXとBUYMAについて
YOOXとBUYMAはどちらもハイブランドをオンラインで買うことができるサービスを提供していますが、実は販売システムが根本から違っています。
その他にもファッションECとしての立場や成り立ちについても比較してみましょう。
販売システム
YOOXはイタリアのハイブランドを中心に世界中のブランドを扱うセレクトショップのような感じです。基本的にはシーズン落ちした"新作ではないもの"が常識はずれな割引率で大量に売られています。
一方BUYMAは世界のバイヤー(ショップ)が商品を売るためのプラットフォームです。値段設定はバイヤー次第ですし、発送元も世界中さまざまです。発送までのスピード感やラッピングサービスの有無や質、関税の支払有無なども販売元によって異なります。
上記の写真のように、YOOXではYOOXが販売元ですので各商品ページは1ページ、値段設定も1つです。
BUYMAでは同じアイテムを複数のバイヤー(ショップ)が出品しているため、同じ商品のページが複数あり値段も様々です。
YOOXの割引率やばくないですか?笑(まあ定価をそのまま信じてはいけないとは思いますが、、笑)
ファッションECの中での立ち位置
YOOXとBUYMAは、どちらもモール型ECに分類でき、割と"ニッチ"なところを攻めているサービスだと思います。
前述していますが、YOOXはブランドが抱えきれなくなった在庫を、BUYMAは対日本人に特化したパーソナルショッパーが商品を提供しています。
そんな2つのサービスは、ファッションECの中でどんな位置にいるのでしょうか?
先日YOOXには大きな動きがありました。
Farfetch(ファーフェッチ)というのは、YOOXのようにハイブランドを扱うモール型ECです。
YOOXと違う点としては、在庫を抱えていないことがひとつ。
そしてもうひとつ大きな違いは、全世界のセレクトショップがFarfetchに集っているため、オンシーズンのものも購入できる点です。
参考:https://www.farfetch.com/jp/about_us
ラグジュアリーファッションECの中では大きな存在感を示しているYOOXとFarfetchですが、FarfetchがYOOX(リシュモングループ傘下)の株式を過半数取得することで、どんなマーケットを築こうとしているのか?は注目したいところです。
一方BUYMAは、これまでバイヤーが商品を販売するプラットフォームを提供してきたのですが、2019年にはBUYMA TRAVELというサービスをスタートさせています。
BUYMAを運営する株式会社エニグモは、主に海外に住む日本人が日本人に向けてブランド品やツアーパッケージを販売するということで、「対日本人向けサービス+駐在日本人への仕事の提供」をしている会社と位置付けられます。
なのでどっぷりファッション企業かというとそういうわけではなく、あくまでもファッションECは事業の一部と言えそうです。
Knowns Bizデータで見るYOOXとBUYMA
EC化時代の中で、日本では手に入りにくいものが購入できるという点で共通しているYOOXとBUYMAについて、ここからはKnowns Bizのデータを用いて掘り下げてみます。
認知率はYOOXは8.1%と低く、知る人ぞ知る。といったところ。
BUYMAも28.4%と高いとは言えません。
好感度はYOOXが3.47/5.0、BUYMAが3.41/5.0、満足率に関してもYOOXが73.7%、BUYMAが76.2%と高い水準です。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
顧客の特徴とは
・世代分析
YOOXでは、35~49歳の認知率が高いようです。
好感では20~24歳、35~39歳。購買経験では20代と35~49歳と幅広い世代に購入者がいることがわかります。
また、60代の認知、購買率も気にしたいポイントです。
(YOOXでは、イタリアのブランドの取り扱いが多く、上質な皮革製品を得意としていることや、上品な大人のブランドというイメージのマックスマーラ、ミッソーニ、エミリオプッチなど、マダムな雰囲気のブランドが豊富なことが理由でしょうか?)
一方BUYMAの世代分析を見ると、認知、好感、購買に関して総じて25~29歳が一番高くなっています。
そこから年代が上がるにつれ、パーセンテージも全体的に下がって行く傾向があります。
・7Journey分析
YOOXは認知拡大が大きな課題ではありますが、認知している人の中で購買意向ありが71.3%、実際に買っている人も32.2%、購買経験のある人の中の59.7%が現在購買あり(過去一年以内に購買している)となっており、認知されれば購買までつながりやすい傾向があると分析できます。
BUYMAも認知拡大は同じく課題ではありますが、20.9%いる潜在顧客に働きかけることで顧客の割合を増やすことができそうです。
実際に株式会社エニグモで運営しているファッションメディアであるSTYLEHAUSを使って、潜在顧客へのアプローチや購買へのリーチを狙っていると考えられそうです。
・ソシエタス分析
価値観分析を見てみると、YOOXでは"モノ重視"、"チャレンジャー"、"お得新品消費(主義)"、"コスパ消費"、"ブランド消費"、"ステータス消費"、"オンリーワン消費"などの項目から「人と被らないデザイン性のあるものをお得な価格で購入したい」「ブランド物をお得に買いたい」という消費者の価値観が見えます。
BUYMAの価値観分析ではYOOXで触れた項目と共通している点も多く、"モノ重視"、"オンリーワン消費"、"ステータス消費"、"ブランド消費"など、やはり「ブランド物が好き」な人が利用しているようです。
YOOXと異なる点として、"損得判断家"や"トレンド・限定重視消費"の値が高い点は特筆すべき特徴だと思います。
BUYMAでは現在市場に出回っている新作を扱っている点、さまざまな価格で出品されているので多くの販売元を比較して購入に至る点を考えると、"トレンド重視"や"損得判断家"という価値観がとても当てはまるのがわかりますね。
・SNS利用分析
SNSの利用状況を比較すると、かなり明確な差が見られました。
YOOXを利用した経験がある人の中で、最も閲覧されているSNSがYouTubeに対し、BUYMAではInstagramが1位です。
また、SNS未利用やTwitterやFacebookのパーセンテージがYOOXの方が多く、InstagramやTikTokではBUYMAの方が上回っていることから、世代分析の結果にもあるようにBUYMAの方が若い利用者が多くSNSに対しても流行に敏感だと言えます。
ブランドの特徴とは
ここからはYOOXとBUYMAというブランドについて、もう少し詳しく見てみます。
・ブランドイメージ
YOOXもBUYMAもハイブランドを中心に扱っているサービスですので、比較的似ている項目が上がっています。
YOOXは過去シーズンのものを扱っていると前述しましたが、中にはデザイン性が高すぎたり、派手すぎて売れ残ってしまったものなども多く(それがファッション好きの間では受けていたりするのですが!)"個性的・他にない”や"インパクト・衝撃的"という項目が特徴的です。
こういった着こなすのが難しそうな服がちょっと覗くだけでたくさん見つかります。
こういった点は"インパクト・衝撃的"といったイメージに繋がっていると強く感じます。笑
また、BUYMAが個人バイヤー(法人もある)などが多く、YOOXは法人販売という話もしましたが、YOOXは配送が早く返品・交換可能でしかも手続きが簡単などカスタマーサービスが充実しています。
この点は"安心・安全"と評価されていると言えると思います。
BUYMAのイメージ分析では"ラグジュアリー・贅沢"や"トレンディー・憧れ"の項目があるように、旬のハイエンドブランドの最新作が手に入ると広く認識されていると分析できます。
例えば、CHLOEの現在人気のWOODYというラインのバッグで見てみると、BUYMAにはたくさん出品されていますが、YOOXでは見つかりませんでした。
やはりBUYMAの方が定価よりも安く買えそうな感じですね。(関税が追加でかかるものもあるので注意)
YOOXでは、CHLOEのバッグ(バッグチャームなども含む)だけで61アイテムありましたが、過去シーズンのもの、派手な色やデザイン(逆にシンプルすぎる?ものもあった)が多いです。
・相関性のあるジャンル
YOOXと相関性があるのは、メイクやスキンケア、G-IPなどビューティ系とセレクトショップ、デザイナーズブランド、ハイブランド・ラグジュアリー、靴、バッグなどファッション系とビューティー系の2つの分野が上位10項目の大部分を占めています。
美意識の高い利用者が多いと考えられますね。
BUYMAも似たような結果ですが、ビューティやファッション系の他にバラエティショップ・雑貨やフリマ・オークションアプリなども入っています。
フリマアプリやオークションサイトとも並行して比較検討している人もいると思いますし、鮮度の高い商品が多いので数回使ってフリマアプリに出品したり、イメージと違ったなどの理由で未使用で出品する人もいるかもしれません。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
まとめ
海外ブランドを買うときに便利なサービスであるYOOXとBUYMAについて比較してきました。
両者の共通点や相違点をまとめてみます。
共通点
海外ハイブランドの取り扱いが充実している
顧客は、"モノ重視"、"オンリーワン消費"、"ステータス消費"、"ブランド消費"の価値観を持っている
"期待感・ワクワク"、"かっこいい・イケてる"、"利便・合理性"のイメージがある
相関性のあるジャンルはビューティー系やファッション系が上位をほぼ独占している
相違点
運営方法が異なる→YOOXは販売元がYOOXひとつ。BUYMAはバイヤー(ショップ)が商品を出展するプラットフォーム
認知率の高い世代→YOOX:35−49歳が高い。BUYMA:25-29歳が最大。
好感率の高い世代→YOOX:20-24歳が最大。BUYMA:25-29歳が最大。
購買率の高い世代→YOOX:20代と35−49歳、60代と幅広い。BUYMA:25-29歳が最大。
→BUYMAに関して認知、好感、購買全てで25-29歳が最大となっている。
特徴的な価値観→YOOX:"チャレンジャー"や"お得新品消費"、"コスパ消費"など。BUYMA:"損得判断家"や"トレンド・限定重視消費"。
利用されているSNS→YOOX:YouTube。BUYMA:Instagram。
イメージ→YOOX:”個性的・他にない”、”インパクト・衝撃的"、"安心・安全"、BUYMA:"ラグジュアリー・贅沢"や"トレンディー・憧れ"
このように、共通点もありながらかなり相違点も多く、顧客の世代や価値観も異なるので差別化されている印象があります。
個人的には今後も両方とも利用させていただくと思いますが、"旬なもの"が欲しい時にはBUYMA、人と被らないちょっと変わったものが欲しい時にはYOOXと場合によって上手に使い分けたいです!
筆者のひとこと
以前、韓国アイドルとハイブランドの関係性についての記事を書いたのですが、韓国アイドルって割と「ロゴどーーーん!」っていう服を着ていることが多いと思うのです。なんでだろう?
いつからかそんな風に小さな疑問がずっと胸の奥にいます。
昔よりロゴファッション(の若者)が増えたと思うんです。(肌感覚ですが絶対に増えた!)
私が子供のころ、親は財布を買うとき「大きなロゴは恥ずかしいからさりげないやつがいい」と言っていました。
学生のころ初めて海外に行ったとき、中国人団体旅行者を見かけたらみんなロゴ!ロゴ!ロゴ!ピンク!黄色!みたいにロゴパーティファッションがすごく派手で驚いた記憶もあります。
ああ、中国人はこういうファッションが好きなんだ。と新しいジャンルを見た気がしました。(日本のファッションではない概念だなと)
でも、今SNSがこんなに広まり世界中のファッションも片手でみられる時代になりましたが、若い人の間でロゴファッションがかなり主流なように見えます。
先日8個年下のいとこが恋人を紹介してくれたのですが、二人してDIORとCELINEのロゴTシャツを着ていました。
K-POPスターなど著名人に憧れ着る子、そんな友達や周りのファッションを見て取り入れる子、自分で意識していないけどその感覚が刷り込まれている子、ロゴファッションをしている子のなかでも、それを着るようになった経緯は様々あると思いますが、ビジネスの面から考えると「あれ?これって対中国のマーケティングだったりする?」そんなことをふと思いました。
世界最大の人口を誇る中国ですからね。マーケティングの中心になることは至極自然なことだと思います。
だから、もともとロゴ好きの中国に世界の(日本の若者の?)ファッションが寄って行ったのかな?なんて。(しらんけど。笑)
今度これについてはじっくり調査してみたいと思っています。
ついでと言っては何ですが、K-POPアイドルが夏にハイブランドのセーター着たりする現象も気になっています。
ファッション業界では半年前(今やどんどん早まっていますが)に新作を発表しているので(例:2023年夏に2023年の冬物を発表)、夏に出した曲を冬物を着て披露している姿を見るたびに「あー新作着せられたのかな」なんて思っています。
でも、いくらなんでも暑苦しくないですか?笑
タレントもマーケティングのパズルの1ピースなんだなと妙に考えてしまう悟り世代(ちょっと使い方違う?笑)の独り言でした。笑
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