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ビジネス以外の使い方へ!?アパ×東横イン変わりゆくビジホ分析

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 みなさんはビジネスホテルをよく使いますか?
 私は出張だけでなく、日本の国内旅行や「今日は飲む日!」と決めた日などは駅近のビジネスホテルを取って、終電など気にせず飲みに行くことがよくありました。
 今回は日本の有名ビジネスホテルについて分析したい思います。

≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫


ビジネスホテルの認知率と満足率

Knowns Biz調べ:国内ビジネスホテルの認知率と満足率

 Knowns Bizを用いて国内ホテルのジャンル検索をしたところ、認知率では「アパホテル」が1位(75.4%)、2位は「東横イン」(72.7.%)、70%を越えるのはこの2つのビジネスホテルでした。
 どちらも駅前や繁華街など、どこへ行っても目にする機会の多いビジネスホテルですよね。
 「アパホテル」と「東横イン」どういった違いや共通点があるのかみていきたいと思います。

Knowns Biz調べ:7Journey
左:アパホテル 右:東横イン

 7Journeyの競合比較で見てみると、直近1年以内の購買である現在利用者層(ロイヤル+離反予備軍)は「アパホテル」が上回っています。
 一方で現在利用していないものの利用意欲がある層(巻き戻し)は「東横イン」の方が多い結果となっています。

Knowns Biz調べ:デモグラ
左:アパホテル 右:東横イン

 さらにデモグラフィック分析も見てみます。上記グラフではアパホテルと東横インの回答割合を比較し、同一の場合は100、多い場合は青字、そして少ない場合は赤字で"特徴度"という値で表しています。
 このグラフから、「アパホテル」は女性の顧客の比率が多く、「東横イン」は男性と子供のいる顧客が多いようです。
 また年齢層は「アパホテル」は20代・30代後半・60代以上の割合がやや多く、「東横イン」は30代前半と40代~50代の割合が多くなっています。

Knowns Biz調べ:ブランドイメージ
左:アパホテル 右:東横イン

 ブランドイメージでは「アパホテル」が“利便・合理性”“コスパ・経済性”“ベーシック・定番的”が上位にきていますが、対する東横インも上位3つは同じイメージがランクインしており、その他で特徴的だったのは“家庭的・安堵感”“絆・親近感”のイメージとなっています。

 ではそれぞれのビジネスホテルの顧客がなぜこのように分かれるのかを見ていきたいと思います。

アパホテル

引用元:アパホテル公式サイト

 1980年にアパグループ(旧アパ株式会社)の前身である信金開発株式会社によってホテル事業を行なう「アパホテル株式会社」は設立されました。
 そして1984年に、ホテル第1号店として金沢片町にアパホテルを開業。全国にチェーン展開を広げ、ビジネスホテルを始め、リゾートホテルの経営、ホテル以外にもゴルフ場やスキー場などのレジャー施設の経営を行う関連会社を設立。
 1994年には創業者・元谷外志雄さんの妻であり、アパホテルのマスコット的存在である元谷芙美子さんが、アパホテル株式会社の社長に就任し、1997年に現在のアパグループとなりました。

アパホテルの特徴

 駅より徒歩2分30秒(東京都内平均)以内に立地。出張などビジネスで利用する方向けのため、客室はシングルルームが中心。また忙しいビジネスマンのために、自動精算機でのチェックインや、ポストにキーを入れるだけのフリーチェックアウトを導入しています。
 客室内には50インチ以上の液晶テレビ設置や幅140cm以上のオリジナルベッド「Cloud Fit」を開発・導入、館内には長期滞在者向けにコインランドリーなども併設されています。さらにアパ会員になるとホテルの滞在時間が延びるほか、優先予約などの特典やポイント還元もあります。

参考先:アパホテル公式サイト https://www.apahotel.com/brand/

どんな人に選ばれる?

Knowns Biz調べ:アパホテル利用者の個人価値観
Knowns Biz調べ:アパホテル利用者の社会価値観
Knowns Biz調べ:アパホテル利用者の消費価値観

 「アパホテル」の利用者の個人価値観・社会価値観を見てみるとコツコツと仕事を頑張り、日々忙しく倹約家な人が多いようです。
 消費価値観では"ハラオチ型消費”と地位の誇示やその地位への憧れがモチベーションとなっている“ステータス消費”と、“お得感重視消費”が上位にきています。自分が気に入っている且つアパホテルに良いイメージがある・コスパがいいと利用される方が多いようです。

Knowns Biz調べ:アパホテル利用者の声

 「アパホテル」利用者の声を見てみると立地やコスパに関するもの、全国展開しているからこそビジネス以外の用途でも使い勝手がいい、との声が多かったです。
 最近は大浴場付きのホテル展開にも力を入れているようで、大浴場に関して好評の声も男女問わず多かったです。現在は65のアパホテルに大浴場があり、従来のビジネスホテルやシティホテルでは体感できない、ゆったりとしたリラクゼーションタイムが過ごせると好評だそう。

参考:アパホテル公式サイト スパ https://www.apahotel.com/spa/

 またアメニティーの質が良いと女性利用者からの声も多く、「アパホテル」はシャンプー・ソープ類がノンシリコンで体に優しいホテルオリジナルのものを用意しており、歯ブラシ、コットン、ボディタオル、綿棒、髭剃り等、身体に直接触れるアメニティグッズは使い心地にこだわったものを用意しているそうです。
 デモグラでも女性顧客が多い理由はこういった点なのかもしれません。

引用元:アパホテル公式サイトよりアメニティー

東横イン

引用元:東横イン公式サイト

 1986年、西田憲正元会長によって「株式会社東横イン」を設立。
 当時のビジネスホテルといえば、安価であっても「古い、暗い、たばこ臭い」イメージがありましたが、そんな中、好立地、清潔、そのうえ値段も手ごろで安心して利用したいと言うニーズに応えるべく、同年の1986年に第1号店として東京蒲田にビジネスホテルを開業。
 その後、毎年多くのホテルを日本各地で開業し、ホテル運営客室数は2022年時点において日本で業界1位に。(2位はアパグループ)

東横インの特徴

 基本の立地スタイルは土地のオーナーがホテルを建て、東横インが一棟を借り上げ運営する方式のため、駅近や繁華街に面していることが多いです。
 客室はベッド下のスペースにキャリーバッグなどの荷物をしまうことができ、パソコン作業しやすい広めのデスク、ロビーには無料のPCとプリンター設置など、ビジネスで利用しやすい工夫がされています。
 また館内にレストランや宴会場を持たないため、宿泊者が近隣の飲食店を利用し地域経済の活性化、win-winの関係性を築くことを目指しているそうです。

どんな人に選ばれる?

Knowns Biz調べ:東横イン利用者の個人価値観
Knowns Biz調べ:東横イン利用者の社会価値観
Knowns Biz調べ:東横イン利用者の消費価値観

 「東横イン」の利用者の社会価値観を見てみるとアパホテルと似通っていますが、個人価値観では“アウトドア派”“モノ重視”が上位にきています。仕事を頑張りながら自分の趣味にも没頭している人物像がイメージできます。         
 消費価値観では"リターン期待型消費”とアパホテルと同じく"ステータス消費”、“リピート消費”が上位にきています。使った金額以上のプラス要素を期待、且つ「東横イン」だからこそリピートして選ぶ傾向があるようです。

Knowns Biz調べ:東横イン利用者の声

 「東横イン」利用者の声を見てみると「アパホテル」と同様、立地やコスパに関するもの、全国にありビジネス以外でも使う人も多いようです。
 デスクの広さに関する声も多く、コロナ禍のテレワークでのパソコン作業での利用や受験で宿泊する学生にも人気の模様です。
 また、朝食無料サービスに関する声も多く、「その土地の東横インならでは」の素材をふんだんに取り入れて作っているそう。無料朝食は添い寝のお子様も利用でき、この点が子供のいる顧客層にも受けているのかと思います。

実際のコスパ面は?

Knowns Biz調べ:アパホテル利用者の声

 「アパホテル」も「東横イン」もどちらも“コスパ”に関する意見が多かったですが、実際のところはどうなのでしょうか?
 双方の公式サイトやホテル予約サイトを見て比べてみました。 

 「アパホテル」は曜日によって宿泊料金は大きく変動し、土曜日は特に高額になる傾向があるようです。

 「東横イン」は曜日関わらず総合的に安いようです。また会員であれば10P貯まると1泊無料だそう。しかし同じ部屋の連泊は最大7泊まで長期滞在には不向きなのが難点のようです。

エリア別でみると?

引用元:厚生労働省「衛生行政報告」より
​​2021年度旅館・ホテル営業の施設数・客室数及び簡易宿所の施設数

 厚生労働省「衛生行政報告」によると旅館・ホテルの施設数の全国1位は東京都。2位・北海道、3位・沖縄県となっており、客室数では1位・東京都、2位・北海道、3位・大阪府となっています​​。

Knowns Biz調べ:利用者の居住地
左:アパホテル 右:東横イン

 利用者の居住地別に比べてみると、「アパホテル」は関東・近畿の利用者が多く、「東横イン」はその他地方の利用者が多いです。
 関東・近畿の人が使うということは他の地方への観光や近隣での気分転換での利用で、地方の人が使うのは他のエリアへのビジネス利用か?とも思いましたが、案外どれもほとんど観光の可能性も。

 直近でコロナ禍を機に旅行需要が激減した中、話題になっていたのが2020年に東京五輪に合わせ発売されたガイドブック『地球の歩き方 東京』、​​そして2022年に発売された『地球の歩き方 日本』です。
 そして海外には行けない状況でも息抜きしたいと国内旅行に目を向けられた中、新しくバケーションスタイル「マイクロツーリズム」​(後章でも触れます)やワーケーションも注目されました。
 様々な企業と自治体がタッグを組み成功した例も多いそうです。​​​

 ちなみに余談にはなりますが、それぞれのホテルの一番大きい施設を比べると、「アパホテル」は日本最大級の客室数を誇るアパホテル&リゾート横浜ベイタワー(全2,007室)、「東横イン」は東横INN中部国際空港IIがグループ最大の全1,286室だそうです。
 「アパホテル」は島根県、高知県には店舗がなく、「東横イン」は高知県のみ店舗がないそうです。共にほとんどの都道府県を網羅していますね。
 今後すべてのエリアに進出するのでしょうか。

他のホテルを選ぶなら?

Knowns Biz調べ:アパホテル利用者のブランドスイッチ
Knowns Biz調べ:東横イン利用者のブランドスイッチ

 それぞれのブランドスイッチ分析を見てみると、現在「アパホテル」利用者が他に検討するホテルとして選ぶのが「東横イン」「ドーミーイン」に対し、「東横イン」利用者の場合は「アパホテル」「ルートイン」が選ばれています。
 「ドーミーイン」はビジネスホテルでありながら天然温泉を備え付けている施設や“夜鳴きそば”のサービスがあり、「ルートイン」も同じく温泉施設併設の施設が多いプラス子供用アメニティやキッズチャンネル、ルームタイプが豊富など、ファミリー層向けのサービスが充実しているそうです。
 女性が多い「アパホテル」、男性・ファミリー層が多い「東横イン」のデモグラにも合った結果かもしれません。

今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ

まとめ

アパホテル利用者の特徴
・20代・30代後半・60代以上、女性の割合が多い
・コツコツと仕事を頑張り、日々忙しく倹約家の傾向
・ハラオチ型消費、ステータス消費、お得感重視消費
・利便・合理性、コスパ重視

東横イン利用者の特徴
・30代前半と40代~50代、男性・ファミリー層が多い
・仕事を頑張りながら自分の趣味にも没頭している傾向
・リターン期待型消費、ステータス消費、リピート消費
・家庭的・安堵感、地域密着型
 以上、比較分析で見られた特徴となります。

 「アパホテル」、「東横イン」どちらもビジネスだけでなくその他用途に使われるよう工夫をしていました。
 またどちらもホテル会員になることでさらにお得になり、リピーターを獲得していることがわかりました。

星野リゾート運営都市観光ホテル「OMO」

 今回の分析で旅行などでビジネスホテルを使われる方も多いことがわかりましたが、新たなコンセプトの都市観光ホテルも登場しています。

引用元:星野リゾートOMOブランドサイトより

 2018年春から星野リゾートが第4のホテルブランド「OMO(おも)」を立ち上げました。
 ビジネスホテル利用者の多くが観光目的であるとの自社調査結果に着目し、リゾート地ではなく都市部を中心とした立地、観光を目的に中堅ビジネスホテルを利用する顧客層へ向けて、 新たな旅の提案をしていく都市観光ホテルブランドとして、旭川、大塚を皮切りに全国へ展開しています。

  「OMO」は「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」がコンセプトだそうです。

 また「OMO」では遠方や海外への旅行に対し、3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル「マイクロツーリズム」をお勧めしています。 
 自宅から1〜2時間程の距離で、安心、安全に過ごしながら地域の魅力を深く知るきっかけになり、地域経済にも貢献します。保養目的で旅館やホテルに行き、温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻す滞在旅行です。
 今後のビジネスホテルは今まで以上に滞在のワクワク感が期待できそうですね!

筆者のひとこと

 私自身、友人と旅行に行く時は立地やコスパの面からビジネスホテルを利用することが多いです。
 ホテルによっては本当にアメニティも充実していて、ヘアアイロンなどの貸し出しもあり、観光重視で旅行する身としてはとても便利に感じています。
 星野リゾートの新ブランドもとても気になるので、日本国内を旅行する時に利用してみたいと思いました。

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Knowns Bizとは?

Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。

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