クレームを出して去ったお客さんは、本当はもう一度戻って来たい
仕事でこんなことがありました。
あるお客さんの話です。
そのお客さんは、一度、取引がありました。
しかし、注文いただいた商品の納期が指定日時より遅延したために、
キャンセルになった方でした。
「納期の指定をしたから、その日は商品が届く準備をしておいた。
それなのに、なんの連絡もなく、届かないのはどういうことだ!
こっちだって時間をとっていたんだ、その日以外だと時間が取れないんだ!」
その時のクレームは激しかった。
お怒りになって当然のものではありましたが、
非常にエネルギーのいるものでした。
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◆一度怒った。けれども、本当は戻って来たいこともある
そのお客さんは、もう二度と、戻っては来ないだろうと思っていました。
しかし、およそ2ヶ月後。
戻って来たのです。
こちらは顧客情報が残っているため、
そのお客様の対応履歴があります。
『あ、このお客さんは、一度激しいクレームになった方だ』
こちらは相手のことがわかっている。
けれどもそのお客様は初期対応時から、
こちらを一度利用したことがあることを、見せないようにして来たのです。
『このお客さん、なにも無かったかのように来てくれている。
そうか、本当は注文したかったんだ。戻って来て利用したかったんだ。
でも、一度クレームを出したから戻りにくい気持ちを抱えていたんだな。』
ぼくはそのお客さんに対して、
当社がまったく初めての利用であるという態度で対応しました。
結果的にそのお客様から、通常通りのご注文を頂くことになりました。
去り際にそのお客さんから。
『はい、じゃあよろしく、ありがとう』
この言葉で、なんの問題もなく終わったのです。
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◆相手が嫌いなのではない。その時、許せなかっただけだ。
このお客さんの気持ちは、とてもよくわかりました。
ぼくも以前、同じ経験があるからです。
いつも利用しているお店で、
対応が気になったのでその場でクレームを言ったのです。
そのときは、とても不愉快な思いをしたので、
真剣に、お店に対してクレームを言いました。
そのときは、もう二度と利用するのはやめようとも思いました。
でも、そのお店は今まで何度も利用していた。
お店を嫌いなわけでは、まったくないのです。
ただ、その時に、許せなかったのです。
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クレームを出したとき、
相手方に対して全面的に否定することは稀です。
たいていは、その時に(ある個人に)不愉快な思いをしただけです。
でも、クレームを出したら、再びはどうも戻りにくい。
一度、相手側に強く出たから、また同じように行くのも気が引ける。
人間の心理として、
一度怒りを向けたお店(人)に対して、
もう一度戻っていくことはためらいを感じるものです。
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◆人間の、普通の心理を感じよう
一度、離れて行った後に戻るとき。
ためらい、照れ、恥じらい、後ろめたさ、、、
そういう感情を抱きます。
その、感情のひだ、細やかな気持ち、切なさや悲しみ、
これを相手に感じることができたら、少し相手の見方が変わってきます。
クレームを出した人は、ためらいを抱きながらも戻ってきてくれている。
相手は、本当は戻ってきたいのです。
クレームを出したお客さんを受け入れることで、ワンステップ上がります。
相手の気持ちの機微を感じて、何事もなかったかのように接すること。
これが、精神的にワンステップ上がるポイントです。
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