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貧困の連鎖を断つ 子どもの学習支援と居場所作り

 子飼商店街から少し離れた民家を借りて、熊大生を中心としたボランティアが勉強を教えている。ひとり親家庭や不登校の子どもたちに学習の場を提供する、それが「子ども支援塾 ステップ」の活動だ。活動日は毎週木曜日と土曜日。毎回5~10人ほどの子どもたちが集まる。

「ステップ」は2011年に嶋本勝博(まさひろ)さんが立ち上げた。嶋本さんは長崎出身のクリスチャン。高校の教員として働く傍ら、教会の社会参加部でホームレスの方々に炊き出しを行ったのが、活動の原点だ。その後就職斡旋も行うようになった嶋本さんは、ほとんどの人が書類選考ではじかれ、仕事に就けないことに気が付く。その理由は「高校を出ていない」からだった。私立高校は授業料が高く、公立高校は試験が難しい。経済的理由で高校進学を断念した人々が貧困の予備軍になっていると考え、「教育の機会は平等であるべき」という理念を掲げて、嶋本さんはホームレス支援から子どもたちの学習支援に軸足を移した。熊本県ひとり親家庭福祉協議会と連携し、熊大で説明会を開くなどボランティアの学生集めにも奔走した。

生徒たちが帰った後、活動を振り返る嶋本さんと学生たち=9月撮影

 「ステップ」で力を入れているのがマンツーマン指導だ。報酬のないボランティア活動では、参加してもすぐに足が遠のく人も多い。そうした人たちは「来なくていいです」と嶋本さんは言い切る。教える人が何度も変わると、子どもたちも教える側を信頼できない。関係性を築くためには継続的な参加が必要なのだ。

 嶋本さんには忘れられない記憶がある。あるホームレスの方の「食べ物が余ったから持ってきた、と言ってはいけない。あなたのために持ってきたと言いなさい」という言葉だ。子どもたちに対しても、上から目線で接してはいけない、同じ目線に立たなければいけないと考えている。

 ボランティアに参加する学生たちの動機は様々だ。コロナ対策で思うように友達がつくれず、人間関係を広げたくて来た学生もいれば、学習支援を志して来た学生や「教育でお金儲けする」学習塾に反発して来た学生、嶋本さんの人柄に惹かれて来た学生もいる。すでに卒業したある学生は卒業研究に「ステップ」を取り上げた。様々な思いが交差するのが「ステップ」の魅力の一つと言えるかもしれない。

(熊本大学新聞2023年10月23日号掲載)

【子ども支援塾ステップ 連絡先】
Twitter(X) : @kodomojuku_step 
メール : kodomojuku.step@gmail.com
寄付先 : https://syncable.biz/associate/STEP

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